モダンとレトロのハーモニー！草津温泉【望雲】は女性に人気の老舗宿

草津温泉の宿【望雲】は1599年に創業した老舗旅館。女性客に人気の宿としても知られます。客室は日本旅館ならではの畳敷きで、吹き抜けの廊下やラウンジなどはモダンで華やかな造り。いっぽう、玄関先に並ぶスリッパの列や、木造の大浴場、風情ある渡り階段など、ノスタルジックな雰囲気に包まれます。モダンとレトロが調和した【望雲】を、草津旅の宿にしてはいかがでしょう？

日本旅館の良さが伝わる宿

なんと関ヶ原の戦いの前年に創業した望雲は、15代続く老舗。「東海道中膝栗毛」を著した十返舎一九は、望雲に投宿して今で言う旅行ガイドブック「上州草津温泉往来」を執筆。小林一茶は江戸と故郷の信濃を行き来する際宿泊し、俳人でもあった七代目当主と親交を深めたとのことです。

▲草津の温泉街から宿へと向かう「望雲坂」

草津温泉のランドマーク「湯畑」を観光してから向かうなら、西の河原通りから分かれる「望雲坂」が目印です。木立に囲まれた坂を上ると宿の玄関が現れます。

▲玄関に入ると右手がフロント、奥がロビー兼ラウンジになっています

▲ずらりと並んだスリッパがお客さんをお出迎え

靴は玄関で預けます。きれいに並べられたスリッパの列は、近ごろあまり見られなくなった光景です。だからこそ、覚えておきたい日本の旅館の一コマです。

非日常を味わえるモダンな館内

望雲は木の風合いを活かした吹き抜けの廊下や、居心地のいいラウンジがあるモダンな宿。庭園を望むテラスや花を飾った通路など、宿泊客を飽きさせない心遣いが息づきます。

▲吹き抜けになった本館の廊下

和モダンの廊下は木の柱と梁を巡らせた見事な造り。廊下右手には客室が並び、2階は庭園に向いたテラス。正面奥は新館の「雲松庵」です。

▲本館２階の廊下兼休憩所

２階の廊下は窓の外がテラスになっていて、斜面に作られた庭園を見られます。ヘリボーン模様の木の床は、磨き込まれて輝いていました。

▲２階テラス前の庭園

浅間山の溶岩を配した庭園には滝が流れ、3,000本のシャクナゲが植えられています。

▲館内には季節に応じた飾りつけが施されます

▲玄関や館内に飾られた花々は、フラワーアレンジで内閣総理大臣賞に輝いた草津在住の土屋和貴氏（草津フラワー）が監修。花の好きな方には絶好のフォトスポットです

▲天井の高い新館３階の談話室

間接照明に照らされた談話室は落ち着いた装い。フリードリンクのコーヒーを愉しめます。

ノスタルジック！木造の大浴場

望雲は３箇所の大浴場に２種類の源泉が引かれます。「西の河原（さいのかわら）源泉」は10軒に満たない宿が引く珍しい源泉で、pH2.05の強酸性ですが、刺激の少ない湯ざわりです。一方の「万代鉱（ばんだいこう）源泉」は草津で最も湯量が多い、超強酸性のpH1.77。硬い湯ざわりで、肌のピーリング効果や殺菌作用を期待できます。

▲大浴場「万代の湯」に向かう渡り階段は、郷愁を誘う雰囲気

３軒の湯殿は草津では珍しい木造建築。ノスタルジックな雰囲気を楽しめます。

▲３つの大浴場の中でももっともモダンな湯殿「遊山の湯」

ゆったりとした「遊山の湯」。それぞれ万代鉱源泉と西の河原源泉を引く湯船があり、左手にあるガラス戸の向こうは、西の河原源泉が注がれる半露天風呂になっています。源泉を入りくらべて湯触りの違いを確かめてみましょう。大浴場はすべて露天風呂を併設しています

▲遊山の湯には掛け湯も用意。西の河原源泉と万代鉱源泉が投入される混合泉です

▲「万代の湯」はとてもレトロな雰囲気です

以前、万代の湯は、浴舎の中央を壁で仕切って男女別のお風呂として使われていたため、湯船の形が独特です。タイル張りの湯船や連なる窓が、レトロな雰囲気満点です。太い梁を組んだ立派な天井を見上げながら湯浴みを楽しめます。

▲万代の湯の露天風呂。その名の通り万代鉱源泉オンリーの大浴場です

▲西の河原源泉が注がれる大浴場「西の湯」

▲万代の湯の湯上がり処はレトロモダンな造り

３箇所の大浴場には個々に湯上がり処が設けられ、火照った身体を休めることができます。

▲各脱衣場にはフェイスタオルを備えます

和室を中心に多彩な客室を用意

望雲は２部屋の洋室と４部屋の客室露天風呂を備えた全42室を用意します。

▲新館「雲松庵」にある露天風呂付和室「泉水」

西の河原源泉が掛け流される露天風呂付きの４部屋は、テラスも設けた一番人気の客室です。とりわけ写真の「泉水１」は、NHK「ブラタモリ」の草津温泉編で、望雲に伝わる武田信玄の書状を披露したお部屋です。

▲「泉水」の客室露天風呂

露天風呂付和室のお風呂は西の河原源泉を掛け流し。いつでも温泉を満喫できますね。

▲露天風呂からも出られるウッドテラスを用意します

▲雲松庵の洋室はツインベッドの客室です

ベッドを利用したい方には、洋室を１部屋用意。このほか和室とツインの洋室を備えた「和洋室」も１部屋あります。

▲雲松庵の一般客室は12.5帖＋広縁６帖のゆったりとした間取り

この他本館にはリーズナブルな和室も用意。素泊まりや朝食のみなど、予算にあわせて選べます。

▲一部の客室には食事の部屋出し用準備室がある珍しい造り

一部客室の入口には、以前食事の部屋出しをしていたころ、料理を整える準備室があるとても珍しい間取り。食事を最高の状態で提供する心遣いが見て取れます。

▲お着き菓子

▲望雲の浴衣は白地に雲

宿名が入ることもある浴衣は、温泉街では広告としての役割もあります。とりわけ白地に雲をあしらった望雲の浴衣は、草津の街でも一目で判るモダンな絵柄。有料の色浴衣も用意され、温泉街の散策を楽しめます。

モダンな館内とノスタルジックな大浴場。そして玄関に並ぶスリッパに見る伝統。草津温泉の老舗【望雲】で、日本が誇る温泉旅館の風情と矜持に触れてみてくださいね。＜text＆photo：湯川カオル子 予約・問：望雲 https://www.hotelboun.com/＞