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どうして分かってくれないの? それは「脳のバイアス」のせいだった!

  • 2021.8.9

「何回も言ってるのに!」「そんなことあたりまえじゃないか!」「なんでわからないのか!」――。

私たちはよく、こうしたセリフを言ったり言われたりする。なぜ何回も同じことを言っているのにわかってもらえないのか? なぜ何回も同じことを言われているのにわからないのか?

じつは、思っていることが伝わらないのは「脳のバイアス」のせいだという。

脳科学者・西剛志(にし たけゆき)さんの著書『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)は、脳科学の最新研究から驚くべき「脳のバイアス」の実態を明らかにした1冊。

「脳のバイアスが『わかりあえない』を作る。自分と相手の『脳の認識のズレ』がわかればコミュニケーションはうまくいく」

「シマウマの縞は、黒地に白か? 白地に黒か?」などの「脳のバイアス」がわかるクイズを挟みながら、面白おかしく伝えている。

「わかりあえる」は「幻想」

仕事・人間関係・パートナー・恋愛......。うまくいかない原因は、「わかってくれるはず」という「思い込み」にあるそうだ。

自分が見ている世界と、どんなに親しい間柄であっても自分以外の人が見ている世界は違う。だから、わかりあうことなど「幻想」にすぎないという。

では、「脳のバイアスが『わかりあえない』を作る」「自分と自分以外の人が見ている世界は違う」とは、いったいどういうことか? 興味深い具体例とともに解説している。

■目次(抜粋)

第1章 「脳」に操られる世界
・「マクドナルド」で思い浮かぶものはこんなに違う
・なぜ彼女はプレゼントをそこまで喜ばなかったのか?
・3種類の脳タイプを診断する8つの質問
第2章 「体」に操られる「脳」
・ピンク色の識別力は、男女で10倍も差がある
・なぜ男と女では、覚えていることにこんなにも差があるのか?
・母親を自分と同化して考える東洋人の脳
第3章 「環境」に操られる「脳」
・「見えていないもの」に影響される私たちの判断
・育った土地の気温がその人の社交性を決める
・なぜ年を取るほどに、時間の流れが早く感じられるのか?
第4章 思い込む「脳」
・占いがよく当たる人と当たらない人の違い
・1を見て10と思い込みたい脳
・「現状維持バイアス」が新しいことへの挑戦を阻む
第5章 結局人は、わかりあえない生き物である
・伝えたくても伝わらないのは、言葉のマップが違うから
・信頼関係のカギは「ミラーニューロン」にあった
・自分の見ている世界を変えると、相手の見ている世界が変わる
脳のバイアスを超えてわかりあうために

「脳のバイアス」を知る

版元のアスコム公式サイトでは、「脳のバイアスが『わかりあえない』を作る」について著者が解説した動画を視聴できる。

「うまくいく人とそうでない人の違い」を脳科学的な観点から研究しているという著者。最新研究で、うまくいく人たちの特徴は「コミュニケーション力が卓越している」ことだとわかったという。

そこで「A 散らかっている部屋」「B 臭ってきそうな部屋」のイラスト2枚を表示。「どちらが汚いと思うか?」と問う。

じつは、その人の「脳タイプ」(視覚タイプ・聴覚タイプ・体感覚タイプ)によってとらえ方が違ってくるそうだ。この場合、視覚タイプはゴチャゴチャしたAの部屋を、体感覚タイプは食べ物のゴミが中央に集中したBの部屋を、汚いと感じることが多いという。

このほか、右利きと左利きで左右どちらの視野を優位に見るかが違う、日本人と欧米人で表情のどこを見るかが違うなど、本書の内容を一部紹介している。

「私たちは脳のバイアスで人とまったく違う世界を見ている」――。これを知れば、わかりあえない相手に対する憤りは、自分と違う世界を見ている相手に対する好奇心に変わるだろう。

■西剛志さんプロフィール

脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。日本の脳科学者20人のひとり。1975年宮崎県生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年博士号を取得後、知的財産研究所に入所。03年特許庁に入庁。大学院非常勤講師を兼任しながら、遺伝子や脳内物質など最先端の仕事を手掛ける。その後、自身の夢を叶えてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、08年世界的にうまくいく人達の脳科学的なノウハウを企業や個人向けに提供する会社を設立。現在は脳科学を生かした子育ての研究も行い、大人から子どもまで、才能を伸ばす個人向けサービスから、幼稚園・保育所の先生、保育士、保護者向けの講演会、分析サービスなどで1万名以上をサポート。横浜を拠点として、全国に活動を広げている。

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