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日本サッカー「53年ぶり銅メダル」へメキシコ撃破のカギ握る選手と秘策

  • 2021.8.6
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東京五輪サッカー男子準決勝で(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

日本サッカー初となる五輪決勝をかけた、スペイン代表との準決勝。

延長戦までもつれた試合は、アセンシオの一撃で終焉となったが、そこに至るまで様々なプロセスがあった。だが、その振り返りは一旦置こう。東京五輪はまだ、銅メダルを賭けたメキシコ戦が残っている。

2012年ロンドン五輪でも、今大会同様に準決勝で敗れた。そして、目標を銅メダルに切り替えることが上手くいかずに、メダルを獲得できなかったと言われている。

3位決定戦に向け、日本はどうすべきなのか。(石井紘人 @ targma_fbrj)

「中2日」疲労回復術はコレだ

中山雅史、服部年宏、久保竜彦――。元サッカー日本代表の名選手を見てきた動作解析のスペシャリスト・夏嶋隆氏に、銅メダルをかけたメキシコ戦に向けてのポイントを聞いた。

――スペイン戦後、久保建英選手が「(3位決定戦に)切り替えられるほどまだ強くない」と語っていました。多くの選手の本音だと思います。夏嶋先生なら、どのようにマネジメントされますか。

夏嶋 3位決定戦が始まれば、選手の頭は目の前の相手に向かいます。ですが、試合までに体力が回復していないと、徐々に考えがネガティブになります。たとえば、「体が重いな」から始まり、「守備に戻らなくてもいいか」と妥協が生じる。そういう選手が一人でもいると、チームは勝てません。ですが、選手は自ら「疲れています」とは言わないものです。森保一監督やコーチ、トレーナーが一体となって、選手の疲労度を見極めなければいけません。

――どのように疲労をとれば良いでしょうか。

夏嶋 当たり前ですが、バランスの良い食事と睡眠です。ベテランの選手は、そういったルーティンがしっかりしています。だから、若い選手より体はきつかったとしても、試合にはしっかりと回復して臨めるのです。一方で、若い選手は、そういった経験が少ない。それもあって、たとえば数人で集まって、話し込んだりしてしまう。過密日程時に考えるべきは、栄養と休息をとること。メディアなどの雑音が気になっているようではだめです。
選出された選手の技術に大きく変わりはありません。(試合が)始まる前の過ごし方で、一流と二流に分かれていくと思っています。

吉田麻也がどれだけ引っ張れるか

――メキシコ戦に向け、「メンタルが大事」という論調があります。夏嶋先生は、けがの悪化で走れなくなった中山(雅史)さんを再び走らせるために、長い時間を過ごされました。中山さんはメンタルが強いと言われますが、何がすごいでしょう。

夏嶋 自分の生きざまにシンプルに向き合っていることです。テクニックを求めたがるアスリートが多いなか、ゴン(中山さん)はボールをゴールに入れることしか考えていません。目の前で起きたことを、竹を割ったような性格で次に向かって考えられるのです。メディアに持ち上げられようとも、惑わされなかったですよね。五輪代表選手たちも、メキシコ戦に向けて、雑音を気にしないことが大事です。

――「ゴールを守って、ゴールを奪う」に没頭すれば、メンタルが保たれるかもしれないですね。それから、夏嶋先生は以前、久光製薬バレーボール部を率いていました。チームスポーツの内部を見てきた経験から教えてください。このような状況下で、3位決定戦のキーとなる選手は誰でしょうか。

夏嶋 キャプテンの吉田麻也選手がどれだけ引っ張れるかですね。本人も、試合直後に「銅メダルをとるぞ」と発信していたように、意識していると思います。

筆者が選ぶ注目の3選手

東京五輪サッカー日本代表、最後の試合。

オーバーエイジとしてチームをけん引してきた吉田、酒井宏樹、遠藤航。チームの顔である久保と堂安律は多くのメディアに取り上げられ、フォーカスされてきた。

そこで筆者は、これらの選手以外で今大会ブレイクし、メキシコ戦で注目の選手を挙げたい。

中山雄太
長らく長友佑都が君臨してきた日本代表の左サイドバックだが、その後継者に最も近づいたと思う。メキシコ戦では、酒井同様の「プレスをいなす縦パス」とビルドアップに期待したい。

林大地
ポスト大迫勇也。大学時代に身につけた「競り」を駆使し、ボールが収まるワントップに名乗りをあげた。足りないのは得点のみ。メキシコ戦でも「競り」を使った起点は機能するはず。あとはゴールをとれれば、一気に世界に羽ばたいていくだろう。

相馬勇紀
大事なグループリーグ二戦目のメキシコ戦でのPK獲得はもちろん、スペイン戦でもスピード、ドリブル共に通用していた。強いて言うならば、スペイン戦はもっと自信をもって、もっと仕掛けても良かった。そう思わせてくれるくらい、期待感があった。メキシコ戦でもファウルをもらいに行かない、タフなドリブルでサイドから得点機会を演出して欲しい。

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