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デザイナー・舘 かおり「もの選びの基準は、30年後の自分」|クリエイターたちの快適空間に潜入 vol.4

  • 2021.8.5
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ファッションやアートなど、さまざまな分野の表現者たちが作りあげたプライベートルームを拝見。もの選びの基準、色彩へのアプローチ、スペースの捉え方。それぞれが追求する“居心地のよさ”とは?

もの選びの基準は、30年後の自分

舘 かおり
デザイナー

毎朝、部屋中の掃除が終わったら、京都・銀閣寺で買い求めた白檀のお香を焚くのが日課のひとつ。清らかな空気の漂う中、腰高窓に並ぶ花器の傍らで愛猫のムーちゃんがご機嫌よろしくまどろんでいる。

「ここに暮らしはじめてから、花をいけるのも習慣になりました。毎日水を入れ替え、切り戻しをして…。心のバランスの写し鏡のようで、生活リズムが整う気がするんです」

およそ築60年のヴィンテージマンションの一室に舘かおりさん夫婦が住まいを移して1年ほど。転居を機に多くの家具を新調した。いちばん最初に手に入れたのは〈ハンス J.ウェグナー〉のソファだったそう。

「最初は地味かなと思ったけれど、30年後に心地よいと思えるかを基準に、しっくりくるものを選びました」

ダイニングにある〈ジョージ ナカシマ〉のテーブルも、グレイッシュなガラスが美しい〈ピーター・アイビー〉の照明も、ふたりのこれからに寄り添う大事な相棒。納得のいくものに囲まれた環境は、日々のルーティンにもデザインに思いを巡らす時間にも、新鮮な風を送り込んでいる。

〈ジョージ ナカシマ〉の、エクステンション付きのバタフライテーブルは、国内にふたつしかないというめずらしいデザイン。リビングダイニングはサイザル敷き。「室内がほっこりしすぎないように」と、真鍮の家具やブラックの脚の椅子を合わせているのがこだわりだ。

クローゼットルームの一角には〈パシフィック ファニチャー サービス〉のラック。3匹の猫たちも自由に出入りしていて、本日はロンちゃんがごろり。キコちゃんは寝室に。

日本の陶芸家の作品を多く収集。アンスリウムを生けたのは吉田直嗣の花器。野口寛斎の花器(右から3番目)と高台皿(左)や高仲健一の一輪挿し(左から2番目)など、モダンなフォルムと絵付けの器が窓辺を彩る。

読書の相棒は、安藤忠雄デザイン〈カール・ハンセン&サン〉のドリームチェア。布張りのない希少な一脚。

「香りと音楽は大事」と舘さん。ホワイトセージやパロサントもデイリーに愛用しているお気に入り。東急ハンズで見つけた工具を香立てに。

レコードや本、フラワーベースやオブジェなどをバランスよく収納している作り付けの棚。「かっこつけすぎたくない」と、何回も入れ直してバランスを模索したそう。

〈ハンス J. ウェグナー〉のソファに「SUPPLY TOKYO」で見つけた手型のクッションが愛嬌を添える。

GINZA2021年7月号掲載

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