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なんとなくセフレで4年・・・男心を教えてください【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2021.8.3

“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中から、お悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。

「あやのん24歳」のお悩み

ひとみしょうさん、こんにちは。いつもコラム読ませていただいてます。

2年くらい前にも相談させて頂きました。同じセフレくんとの関係が今もまだ続いております。かれこれ4年です。やっぱり付き合いたいと思う気持ちは変わりません。吹っ切れようとして、アプリをやったり友達の紹介で人に会いましたが、いつもセフレくんが頭をよぎり比べてしまうし、大好きなんだなと思うのです。

好きと私が言うと、今更付き合うとか無いでしょとか言われます。でも嫉妬したりヤキモチ妬いてくるしもう分かりません。相談したら怒るべき時はそうしてくれます。彼にとって私は、やはりセフレ以外の何者でもないのでしょうか?4年もこんな関係だからこのままでいいやっていう気持ちなんでしょうか?

ぜひ、男心を教えてください。

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

2年前にご相談いただいたときは、おふたりの関係に希望が持てる感じがしたので、そのようにお答えしましたが、それから2年経ってこういう状況ですか……。

彼は「なんとなく病」なんだと思います。

なんとなく一緒に過ごせる彼女がいて、その彼女といたらなんとなく温かくてやわらかくて丸いものに満たされて、なんとなく幸せ。こういった気分を客観的に見ることができないから、彼はあやのんさんの気持ちに配慮しない、つまり、たとえば「いまさら付き合うとかないでしょ」と言う、ということです。

男心の「じつは」

男心って、なんとなく温かくてやわらかくて丸いものがそばにあれば、それでなんとなく満たされるという特性を持っています。

本命の彼女としてガチで付き合うとか、その彼女とキラキラするとか、そういうことより、なんとなく温かくてやわらかくて丸いものがあればそれでOK、という気持ちを持っているのです。

その理由はひとつ。男は「女子のイデア」を探し求めているからです。

女子のイデアというのは、先ほどから何回も言っている「なんとなく温かくてやわらかくて丸いもの」です。

ガチで付き合う本命の彼女は、ときにワガママを言います。へそを曲げて口をきいてくれないときもあります。怒ることもあります。そういう女子の「嫌な面=非イデア的な側面」って、男は見たいと思わないのです。なんとなく温かくてやわらかくて丸いもののみを見たいし、愛でたいのです。

女子のイデアとは「母」のこと

女子のイデアを別の言い方をするなら、「母」なるもの、と言えます。

「母」というのは、彼の実のお母さんのことではありません。つまり、世間一般によく言われる「マザコン」のことをここで言いたいのではありません。

彼の実のお母さんが、たとえば、勉強しろと口うるさく言う人である場合、彼は「どこかに、なんとなく温かくてやわらかくて丸い雰囲気をもつ<母>がいるはずだ」と思います。

それは、たとえば、ある種の女子が「理想のお父さん的な雰囲気」を追い求めるのに似ています。

実のお父さんがやさしくて仕事ができて家族の面倒をよく見る人である場合、娘はそのお父さんと同じような性質をもつ男子を探して付き合う、というように。

あるいは、実の父親が大酒飲みで酔うといつも粗相をする人である場合、そういうおじちゃんに愛しさを感じつつも、実の父親とは正反対の性質をもつ男性と付き合いたがるように。(そして、二兎を追うものだから、やがてなんとなく病んでくる、といったように)

彼は幻を追い求めている

彼が追い求めている「母」のイデアと、現実のあやのんさんが持つなんらかの雰囲気が合致しているから、だから彼は4年間も「なんとなく」という雰囲気で問題なく過ごせているのです。

別の言い方をするなら、彼は偶然、4年前に飲み会であやのんさんと出会ったから、今あやのんさんと付き合っていますが、(ここからあやのんさんにとって哀しい現実を描きますが)、彼はべつに相手があやのんさんでなくてもいいはずです。

なぜなら、彼は「その」あやのんさんを追い求めているのではなく、「なんとなく温かくてやわらかくて丸いもの」すなわち「母」を追い求めているからです。ようするに幻を追い求めているのです。

女子も同じです

同じことが、じつは女子にも言えます。

先にファザコンっぽい女子の例を挙げましたが、ほかにも、イケメンタレントを追いかけまわす女子がいますね。そういう人は「イケメンでまあまあ面白くて、まあまあ優しければ(あるいはまあまあクールであれば)」それでOKなのであって、どうしても「その」イケメンタレントじゃなきゃ嫌、というわけではありません。

事実、Aさんというイケメンタレントが不祥事を起こして逮捕され、テレビから消え去ると、彼女はBというタレントにしれっと鞍替えするからです。

もっと極端な例を挙げるなら、ホストにハマる女子というのは、「その」ホストじゃなきゃ嫌、ということではなく、自分が理想とする雰囲気を持つホストなら誰でもいいのです。つまり、彼女はホストを「記号」として見ているのです。

「今」を生きる女子と「過去」を生きる男子

さらに別の言い方をするなら、あやのんさんは現実の彼という「今」を見ているのに対し、彼は「女子のイデア」「母のイデア」という幻想、すなわち過去を見ているのです。

今を生きるあやのんさんが、4年もかけて彼に気持ちを伝えても、彼にちっとも響かないというのは、彼が過去を生きており、現実のあやのんさんを見ていない、つまり「今」を生きていないからだ、と言えます。

こういうケースって、わりとよくあります。

男って、デフォルトとして、「母」のイデアを追い求める習性を持っているからです。

別の言い方をするなら、男は過去に生きてしまうようになっているからです。

だから、あらゆるカップルは、今を生きている女子が、過去を生きている男を引っ張っていかないとどうにもならないのです。

というようなことを、この2年間、キルケゴールという哲学者の哲学を勉強することによって発見しました。

拙著『自分を愛する方法』(玄文社)の1章(「なんとなく淋しい」の「なんとなく」ってなんだろう?)に詳しく書いたので、よかったら読んでみてください。

長くなるので解答はこれくらいにしておきますが、あやのんさんは、ご自身の心に巣食う「なんとなく淋しい」気持ちを自己処理できるようになれば、もっともっといい彼氏に恵まれます。

お互いがんばっていきましょう!

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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