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贈り物にしたくなる線香花火が生まれるまで【国産花火のひみつ・前編】

  • 2015.7.7
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今、おしゃれなセレクトショップや雑貨店などで話題になっている高級線香花火のことを、ご存じですか? 今回は福岡県みやま市にある“国産”“手製”にこだわった「筒井時正玩具花火製造所」を訪ねました。

すべて手製の線香花火工房へ

今や手持ち花火の国産のシェアはわずか1%足らず。全国に十数社の業者があり、そのうち線香花火をつくっているところは愛知と群馬と福岡にある3社のみ。なかでも、デザイン性が高く、すべての原料を国産にし、手製の線香花火を製造しているのが福岡県みやま市にある「筒井時正玩具花火製造所」です。

この製造所は、福岡市街から車で1時間ほど、九州自動車道みやま柳川ICを降りて10分ほどの田園地帯にあります。赤くてモダンな三角屋根のギャラリー兼直売ショップで、ご主人の筒井良太さんと、奥様の今日子さんが迎えてくれます。

40本1万円以上でも品薄になる高級線香花火とは

「筒井時正玩具花火製造所」の代表作であり、注目されるきっかけとなった線香花火は、全4種類で展開する「線香花火 筒井時正」シリーズ。最高1万800円という高級品ですが、シーズン中はたびたび入手困難になるほどの人気の商品です。

この高級花火の魅力は?

ひと目見て、誰もが気づくはずです。これまでになかった色彩、形、パッケージのおしゃれさ。

火薬を包む紙縒(こより)は地元八女の手すき和紙を使っていて手触りがよく、やさしい色合いはえんじゅ、くちなし、蘇芳(すおう)など天然素材を使った草木染によるものです。花弁や蕾を模した撚(よ)り方、パッケージなどは、デザイナーを交えて何度も試作したといいます。

火を点けてみると、さらにその素晴らしさがわかります。シェア99%ともいわれる安価な中国産線香花火と比べて品質は格段に上。伐採後に30年以上ねかせた宮崎産の松の根からつくる希少な松煙を原料に、手練の職人のみが手作りした線香花火は、少々手がぶれても火の玉は落ちずに、火花が四変化するのです。

大きく膨らむ“蕾”、パチパチと大輪の花を開く“牡丹”、次々に火花が飛び出す“松葉”、やがて静かに最後を迎える“散り菊”へ表情を変えてゆきます。

ちなみに、天然原料でつくった花火は、原料そのものが湿気を吸ったり吐いたりするため、購入時のパッケージに入れておけば長期保存が可能。むしろワインのように時間が経つほどに熟成し、どこかやわらかく、あたたかみのある火花を咲かせます。あえて時間を置いて、お楽しみを先にとっておくのもいいですね。

人気は「線香花火 筒井時正」シリーズの「花」

原料も職人も、すべて国産にこだわった「線香花火 筒井時正」シリーズは、お中元はもちろん、結婚式や内祝いなどの慶事のほか、お盆の送り火のかわりや鎮魂の意を込めて法事などにも用いられるそうです。

最高級品の「花々(はなはな)」は線香花火40本に、和ろうそく1本、ろうそく立て1本が付いて1万800円。ろうそくはハゼからつくる和ろうそく、ろうそく立ては福岡県大川市の伝統工芸として知られる大川家具の職人の手によるものです。線香花火の先を花びらのように広げ、束ねることで花束を表現したもので、2段重ねの桐箱に入れられています。

春夏秋冬をイメージした4色がセットになった「蕾々(らいらい)」は各色8本、計32本入りで3780円。蕾のように撚り上げた形が可憐です。

「花々」と「蕾々」の線香花火を一つにパッケージした「花(はな)」は、贈答用に人気が高い商品。2種類どちらも楽しめて、値段は5400円とプレゼントに手ごろです。

「蕾」は蕾をかたどった4本の線香花火を2本ずつ詰め合わせた計8本のセットで、ちょっとしたお礼に、あるいは自分用に買い求める人が多いそうです。

次回[後編]では、「筒井時正玩具花火製造所」の新作花火に迫ります。

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