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新学習指導要領にも登場している「NIE」ってどんな活動?

  • 2021.7.23

購読していれば毎日届いて読むことのできる新聞。最新のニュースを知ることができ、そのカテゴリも政治、経済、社会、スポーツなど様々で、さらに生活面や小説、投稿欄などもあります。

正しい日本語で書かれており良質な文章であるため、日本語力・読解力の向上にも役立ちます。この新聞を教育に活用しようという活動を「NIE」と言います。新教育指導要領に取り入れられたことで注目されている活動ですが、どのようなものでしょうか。

世界で注目されている「NIE」

NIE(エヌアイイー)とは「Newspaper in Education」の略で、1930年代にアメリカで「新聞を教材として活用する」ことが始まり、現在世界80ヶ国以上で取り入れられている活動です。

NIEは多くの国で「民主主義を支えよりよい市民を作る」と考えられています。アメリカ、フランス、ノルウェーではNIE週間を設け、新聞記者が学校で記事の書き方を指導したり、教師向けセミナーなどを開催したりしています。実際に授業で使う新聞の提供を実施しているところもあります。

日本では1985年に静岡で開かれた大会で提唱されたことで広まり、全国の多くの学校で実践されるようになりました。今では47都道府県全てにNIEの推進協議会が設置され、教育界と新聞界が協力して各種事業を実施しています。

NIEの実践校に指定されると、新聞社から新聞が無料で提供され授業に使える制度があります。89年に3校でスタートし、04年には目標の400校を達成、07年には500校を超えました。

新学習指導要領にも取り入れられているポイント

2020年に新学習指導要領が導入されました。小学生の英語教科化やプログラミングの導入などに注目が集まっていますが、小中高全ての総則で新聞などの活用を図ることが初めて明記されています。指導要領改訂のポイントと合わせて、見ていきましょう。

(1) 何ができるようになるか

まず1つは「何ができるようになるか」が明確にされています。具体的には「知識・技能」をA型学力、「思考力・判断力・表現力」などをB型学力、「学びに向かう力、人間性」などをC型学力と呼んでいますが、特にB型学力と呼ばれる「思考力・判断力・表現力等」の育成において新聞読解や新聞づくりの活動が大変効果的となっています。

ニュースの背景について「なぜ、どうして」と読み解くことや、「どうしたらよいか」について意見や考えを述べることが可能となるからです。新聞づくりについても、取材という情報収集を基に考えをまとめることが、まさにB型学力の育成に有効となるのです。

(2) 何を学ぶか

2つ目のポイントは「何を学ぶか」です。新学習指導要領では、児童・生徒が社会人となる2030年前後の近未来に対応する学習内容の開発が求められています。

具体的には、「グローバル化・多文化化への対応」、「持続可能な社会の実現」、「若者の投票率低下と18歳からの有権者育成」、「人口減少社会を支える新たな価値の創造」などが、大きな社会的課題になると考えられます。

新聞はこういった新しい学びの材料を常に提供してくれます。「グローバル化」「持続可能性」「防災・減災」などの課題は、新聞が最も得意とする分野だと言えるでしょう。

(3) どのように学ぶか

3つ目のポイントは「どのように学ぶか」です。特に注目されているのが「アクティブラーニング」で、主体的・対話的で深い学びが主流となってくる点です。

新聞を通して「なぜ・どうして」と熟考し「どうしたらいいか」を判断し「意見や考え」を表現・発信していくことが可能です。

主体的でありながら深くない学習が多くみられる中、意見や考えの異なる仲間と対話しながら原因や解決策を深く考え、より良い未来の実現を目指して行う学習につなげるために、新聞が大いに役立つのです。

新聞の学習効果

指導要領にも活用が明記されている新聞ですが、その特徴と学習効果を見ていきましょう。

なぜNIEが学習に効果をもたらすかは、新聞の特徴が理由です。新聞には「一貫性、俯瞰性、網羅性、即時性、詳報性、解説性、地域性、国際性、分析性、携帯性、保持性、記録性、再読性、啓発性、相互性、加工性、吟味性、信頼性」など大変多くの特徴があります。ここから次の様な効果が考えられます。

あらゆる分野にわたる最新・最先端の吟味された情報が載っており情報の宝庫ですから、さまざまな教育活動の場で活用ができます。しかも記事は「見出し→リード→本文」という逆三角形の構造で書かれているため、まずは見出しを見ただけで記事のおおよその内容やニュースの重要度を知ることができます。

新聞紙面では、多くの情報を一覧し俯瞰することが出来るので、自分の関心がある記事だけではなく、関心がなかった記事も目に飛び込み、新たな学びのチャンスを与えられます。それが視野や可能性を広げることにつながるのです。

まずは新聞を楽しむところから始めよう

新聞を活用しようと思っても、いきなり読みなさいと渡すだけでは当然子どもは読みませんし新聞嫌いになってしまうかもしれません。新聞が楽しいと思えるように工夫することが大切です。

低学年であれば「新聞は見るもの」とし、写真やイラストを一緒に探すところから始めましょう。子どもが興味を持ちそうな写真を見つけたら「ちょっと見てごらん」などと呼んで一緒に眺めるだけでも十分です。

「新聞って楽しいんだな」「難しいと思ったけどそうでもないな」と感じる様な機会を作っていきましょう。

切り抜く作業は、特に男の子が楽しんで取り組むかもしれません。自分で切って貼ったものが、どんどんたまっていくのは楽しいし達成感があります。写真やマンガでも構わないので、スクラップしてみましょう。

なぜそれを選んだのか、を問いかけてみるとコミュニケーションのきっかけになりますし意外な子どもの思い・興味を知ることにもつながるかもしれません。

NIEの実践事例

NIE実践校では、新聞を教材としてどのように活用しているのでしょうか。

・スクラップ

子どもが自分の興味がある記事を選び、切り抜いてノートなどに貼っていきます。慣れてきたら、横に意見や感想を書いたり記事を要約したりするといいでしょう。

低学年の内は知っている言葉や笑顔の写真を探して切り取る、などハードルを下げると楽しんで取り組めます。好きな記事だけではなく、先生がテーマを決めてそれに沿った記事を選ばせる、などとすると、より学習効果が高まります。

・スピーチ

自分で選んだ記事を担当者が1分などの決められた時間の中で紹介する活動です。要約にも近いですが、読んでいない人に分かりやすく説明する・時間内におさまるように話す(短すぎ・長すぎない)ということを考える必要も出てきます。

自分で理解しているつもりでも、他人に分かりやすく話すことが難しいということを経験できるでしょう。

・新聞クイズ

新聞から得られた知識を用いてクイズを行います。ゲーム的な要素をゲーム以外の分野に組み込む手法を「ゲーミフィケーション」とも言い、ビジネスや教育のさまざまな分野で応用されています。

クイズの方法に決まりはありませんが、例えば新聞1部を丸ごと使いクイズを作ったら、出された側は新聞をめくりながら答えを探し出題者による解説・意見交換を行うという方法があります。大人が出題しても子どもが出題しても良いでしょう。

・記事を読む、写す

習慣的に新聞を読むだけでも読解力の向上に大きく役立ちます。新聞に載っているさまざまな記事は「5W1H」が的確に表現されているので、最低限必要や情報を整理したり人に伝えたりするための良い教材となります。

コラムなどは「起承転結」の構造をしており、人を惹きつける文章を書くための参考になります。さらに余裕があれば書き写してみると、良質な文章がより自分のものとなっていくでしょう。

読解力を向上させるための取り組みを調べていたところ、NIEという活動を知りました。新聞を活用することが指導要領にまで明記されていることを初めて知りました。

取り組みとしては「新聞に親しむ」ということが大事なコンセプトになっていると思います。新聞を楽しいと感じ興味を持ってくれれば、成長していっても自然と読む習慣が身についてくれると思います。

ニュースを通じて社会に関心を持ち、それについて意見を持てるようになることは、これからの時代に必要です。まずは家族で新聞に目を通す習慣をつけましょう。

NIEについても、指定校ではなくても活動内容を知ることで色々なことに活用ができるはずです。

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