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彼氏に嘘をつくのはどこまで許される?【ひとみしょうの余談ですみません】

  • 2021.7.20
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わりとよく嘘をつかれるのは、女性ではなく、男です。

と書くと、当然のように反論したくなる女性がいらっしゃると思いますが、この項は「男のホンネ」を書くものなので、女性からわりとよく嘘をつかれた男として、嘘をつくことに関して思うところを書いてみたいと思います。

今日はちょっとネコが下痢してて

「今日はちょっとネコが下痢してて」「終電が11時で終わるから」などと、男に対してしれっと嘘をつける女性のことを、男は、ある意味、尊敬のまなざしで見上げます。

その場の空気を乱すことなく、かつ意味深な嘘をしれっと言える才能、俺もほしいな、と思うのです。

さらに、反論を承知で言うと、男は、美人ほどより多くの嘘をつく、と思っています。

これは明らかに事実誤認なのですけど、でも、男はそういった認識を恥ずかしげもなく持ってしまうのです。

とは言うものの、男だって嘘をつくことがあります。「ちょっと本を買いすぎてお金がなくて」というのは、風俗で延長してしまったという事実を隠すための嘘です。

人が徐々に病むというのは

このように、わたしたちは他人に対して「効果的に」嘘をつくわけですが、それはそれでべつにいいのだろうと思います。「王様は裸っすよね」とばかり言っていたら、心身が崩壊してしまうでしょうから。

嘘に関する本当の問題は、自分に対する嘘です。

たとえば、本当はあの人に「好き」と言いたいという熱い気持ちを持っているにもかかわらず、「やっぱ言えないから好きじゃなかったことにしよう」などと思い直す――こういう「隠蔽」が、その人の精神を、徐々に病ませるからです。

あるいは、本当は「顔採用」するようなチャラい会社でなんか働きたくないけど、でもまわりがみな「キラキラ女子」だから、それに合わせないといけない、嫌でも合わせないといけない――こうやって「本当にやりたいこと・本当に目指す生き様」を自分自身に対して隠すと、徐々に病んでくるのです。

マジメでないふりをして「なんかつまらない」と思う

わたしたちはみな、なぜか、「本当はこういうことをしたい。本当はこう生きたい」という思いを持っています。そして、これまたなぜか、その思いがマジメなものであればあるほど、それを自他に対して隠すクセを持ってしまっています。

「顔採用」する会社で「リア充」を演じつつ、心の中では「こんなチャラい生き方ではなく、多少地味でお給料が安くてもいいから、地に足のついた生き方をしたい」と思っても、その思いに蓋をして、周囲に合わせてチャラくふるまう、といったように。

その周囲の人だって、じつは同じなんです。

つまり、みんな、心の中ではマジメな自分がおおいに夢を語っているのですが、でもマジメさを表に出さないようにして、チャラいふりをして、結果、みんなで「なんかつまらないね」と言い合っているのです。

合コンの帰り、女子どうして「なんか不作だったね」と言い合いながら、じつは心の中で「こんなチャラいこと、いつまで続けるんだろ、わたし」と思っている、といった感じで。

なんかつまらない

キルケゴールという哲学者は、自分に対して嘘をつくところから絶望が生まれると言いました。絶望というのは「なんかつまらない」と思う気持ちのことです。

お給料もよく、会社にはイケメンの高給取りが何人もいて、福利厚生もしっかりしていて、かつブランド企業の男子と合コンもできる。こんな恵まれた環境にいても「なんかつまらない」と思うというのは、すなわち、あなたはあなた自身に絶望しているからなのです。

ではどうすればいいのか?

自分に嘘をつくのをやめるといいのです。「本当はこうした・こう生きたい」という「マジメ」な熱い気持ちを隠すのではなく、表に出すといいのです。

ちなみに、表に出すというのは、出すか出さないかの二択であって、「出したら恥ずかしい」というのは「なし」です。

※参考 ひとみしょう『自分を愛する方法』玄文社(2020)

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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