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辻 仁成の"パリ・スープ"|第二十四回"冷製ギリシャ風スープ"

  • 2021.7.18

食欲のない暑い日でも、このスープを飲むと元気になれるのだという。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。その辻さんは「パリはスープの宝庫」と言います。パリに住んで18年の辻さんによる、やさしいご馳走“パリ・スープ”のレシピです。

辻 仁成の"パリ・スープ"|第二十四回"冷製ギリシャ風スープ"

■これからの季節に飲みたい元気が出るスープ

ぼくはギリシャの、特にエーゲ海に浮かぶ島々、ミコノスとかサントリー二島が好きで、もちろん、風光明媚というのは当たり前なのだけど、人々が純朴で心が洗われ、何より食材の宝庫で、心にも目にも胃にも最高なのである。

サントリーニ島などは、傾斜地にだんだんに建てられた白い家々が有名だが、その一軒を借り、波立たない静かな海をただじっと眺めるだけで、人生がリセット出来るというものである。当然、そういう場所だから、食べ物も凝ったつくりのものはほとんどなく、だいたいはグリル料理になる。釣れたての魚があんなに美味しいのだから、野暮なソースなどかけず、焼いて塩コショウで、そのまま食べるのが一番なのだ。

ともかく、フランスにあるギリシャ料理店は、高級店というよりもどこか惣菜店という感じのところがほとんどで、大きい店になると惣菜店の横にちょこっとテーブル席が付いていたりする、程度がせいぜい……。レバノン料理やトルコ料理にも通じるところがあるけど、味はシンプルで日本人向きの味、胃袋が疲れている時など、軽く済ませたい時なんかに便利で、ぼくはむしろ真夏の暑い時に、胃袋を休めたいなぁ、と思うと近所のギリシャ料理店にギリシャ風サンドイッチとか、グリルされた野菜とか魚を買いに行くのだけど、その中にフランス人にも大人気のザジキ(チャツキー)という名前のきゅうりとヨーグルトの和え物がある。


見た目は日本の白和えみたいなものだけど、ハーブが効いていて、頬張ると口の中に清涼感が生まれる。欧州の人は、夏の暑い時期にこれをパンに塗って、白ワインと一緒につまむ。このザジキをスープ状にしたような一品が今日紹介するギリシャ風スープということになる。冷蔵庫で冷やして、食欲のない暑い日などに、これを飲むだけでも、にんにくも入っているし元気が回復する。しかも、とっても簡単なのである。これからの季節、ぜひ、ご自宅で試していただきたい。

□冷製ギリシャ風スープのつくり方

◇材料 (2人分)

きゅうり:1~2本(150g)
ギリシャヨーグルト:150g(またはブルガリアヨーグルト)
にんにく:1/4片(みじん切り)
レモンの搾り汁:1/8個分
ミントの葉:10枚
塩:適量
黒胡椒:適量
オリーブオイル:大さじ1と1/2


(1)すべてをつぶす
きゅうりは乱切りにし、オリーブオイル以外のすべての材料をボウルに入れ、ハンドブレンダーで丁寧につぶします。

すべてをつぶす
すべてをつぶす
すべてをつぶす
すべてをつぶす

(2)冷蔵庫で休ませる
なめらかになったら冷蔵庫で1時間ほど休ませてください。

(3)仕上げる
オリーブオイルを加え、さっと混ぜて、え???はい、もう完成なのです。器に注ぎ、みじん切りにしたきゅうり(分量外)、ミントの葉を飾り、オリーブオイルを一筋垂らしてから、召し上がれ。

完成
完成

ジトッとした真夏の午後を癒す美味しい一皿となりますよ。ボナペティ!

文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac

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