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緊急事態宣言発令!職場の人間関係を気にするのは愚の骨頂である

  • 2021.7.17
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良質な「職場の人間関係」を築くには?
良質な「職場の人間関係」を築くには?

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかりません。東京には4度目の緊急事態宣言が発令されました。そのような中、私たちの生活がまた脅かされるのではないかと不安視する声も聞かれています。今、職場の人間関係で気を付けるべきことは何でしょうか。

今回は、精神科医でベストセラー作家の樺沢紫苑さんに、良質な「職場の人間関係」を築くためのヒントについて伺います。近著に「今日がもっと楽しくなる行動最適化大全」(KADOKAWA)があります。

「職場の人間関係」の最適化とは

職場の人間関係で悩んでいる人は非常に多く、ビジネスパーソンのストレスの9割は人間関係ともいわれています。逆にいえば、職場の人間関係さえうまくいけば、日々、楽しく仕事ができるようになります。樺沢さんは次のように解説します。

「人間関係をもっとシンプルに考えてみましょう。実は職場の人間関係は重要ではないのです。職場にあなたを攻撃したり、嫌がらせをしたりする『攻撃星人』が一人でもいると、ものすごく憂鬱(ゆううつ)な気分になるでしょう。職場の人間関係は極めて重要だと考える人が多いのですが、実は、あなたの人生においてさほど重要ではないのです」(樺沢さん)

「実際、私の交友関係をみると、職場で知り合ってから現在まで10年以上交友がある人は一人もいません。職場の人間関係とは『場』に関連付けられた、一時的で一過性の人間関係です。仮にあなたが会社を辞めた場合、ストーカーのように追いかけてくることはありません。攻撃星人は会社から一歩出れば、アカの他人です」

しかし、対処方法は簡単ではありません。職場での不快な出来事は確実に焼き付けられて苦しむ人が少なくないからです。樺沢さんは「今はいない攻撃星人のことで意識を奪われているとしたならば、あなた自身で招き入れているのと同じだ」と言います。

「心理学の『対人関係療法』では、最も重要な人間関係は家族や恋人、パートナーです。次に重要なのは友人。重要度が低いのが職場の人と解釈されています。これを比率で表すと『5対3対2』となります。つまり、家族や友人との人間関係が安定していれば、人間関係の8割は安定しているということです」

「そう考えれば、職場の人間関係が多少ガタガタしても、会社を辞める必要など全くないのです。職場の人間関係に注意を奪われる暇があるのなら、家族や友人をもっと大切にしましょう。そして、家族や友人と交流する時間を増やし、こうした癒やしの時間を通して、ストレスを発散すればいいいです」

「好意の1対2対7の法則」

次のような、ユダヤ教の教えがあります。「10人の人がいるとしたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを批判する。あなたを嫌ってくるし、こちらもその人のことを好きになれない。そして、10人のうちの2人は互いに全てを受け入れ合える親友になれる。残りの7人はどちらでもない人々だ」というものです。

「これは4000年前から伝わるユダヤ人の知恵ですが、私はこの教えを知る前から、自分の経験に基づいて同じことをセミナーで話していました。10人いたら、あなたを嫌う人は1人、あなたを好きな人は2人、どちらでもない人が残りの7人です。あなたの会社や所属しているグループを見ても、ほぼこの割合ではないでしょうか」

「重要なのは、どこの職場、チーム、コミュニティーに移動しても『自分を嫌う人』『ソリの合わない人』は必ずいるということです。また、よく観察すると、その2倍以上の味方、自分の応援者がいるのです。これを私は『好意の1対2対7の法則』と呼んでいます。10人全てから嫌われることもなければ、10人全てから好かれることもありません」

会社に仲良しグループはいらない

不思議なことに、多くの人は「みんなと仲良くしなければならない」と思い込んでいます。実際は、みんなと仲良くする必要などないことがよく分かります。

「会社は『仕事をする場所』であって、『仲良しグループ』をつくる場ではありません。最低限の仕事に差し支えのないコミュニケーションがあれば十分。仕事上のドライな関係でいいのです。もちろん、何人かの気の合う人と仲良くするのはよいと思います。しかし、無理に全員と仲良くする必要など全くないのです」

「私は自分を嫌う人がいた場合、『ああ、10人に1人がここにいたのか』と思うだけで、スルーします。たくさんの人と会えば会うほど、一定の確率で出現する攻撃星人。あなたの精神エネルギーと大切な時間は、あなたを嫌う人のためではなく、あなたにとって大切な人のために使うべきなのです」

新型コロナウイルスの影響で、私たちの日常は大きく変化しました。さて、職場の人間関係で気を付けるべきことは何でしょうか。嫌な相手には「ありがとう!」と声をかけ、満面の笑みでスポイルしましょう。この機会に、必要な行動を学んでみませんか。

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所客員研究員 尾藤克之

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