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LGBTQ+の本を理由に本屋に罰金、編集者が国外脱出…ハンガリーで何が起きている?

  • 2021.7.14
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ハンガリーでLGBTQ+の家族が描かれた本を置いていた書店が、行政から罰金の処罰を受けた。ハンガリーで起きている、恐ろしい動きとは?(フロントロウ編集部)

LGBTQ+の家族は“普通じゃない”?

ハンガリーの書店チェーンであるLíra Könyvが、同性の両親を持つ子供が登場する絵本を“適切”ではない方法で販売していたとして、約9万円の罰金を課せられたことを公式Facebookで明かした。

処罰を決定したペスト郡のリチャード・ターナイ氏は、テレビ局Hír TVに対し、書店側が本に「常識を逸脱した内容」が含まれていることを明確に表示しなかったことが問題だったとし、「他のおとぎ話の本に混じって置かれていた」ため、「この本が普通の家族とは違う家族について書かれていることを知る由もありません」とした。

今回処罰を受けたのは、ローレンス・シメル著の『Bedtime, Not Playtime!』と『Early One Morning』のハンガリー訳版。

この決定には、本を執筆したアメリカ人作家のローレンス・シメルがツイッターで抗議して、「(ハンガリー政府は)子供たちが住んでいる多元的で多様な世界を代表するような本を総力を挙げて攻撃し、ヘイトや偏見を常態化させようとしています」と批判。

罰金処分を受けたLíra Könyvは、「今回の個別の公式判断が一般化すれば、ハンガリーの書籍取引全体を根本的に揺るがすことになります」として、法的措置を検討していると共に、当分の対応策として、本それぞれではなく書店の入り口に「伝統的な書籍とは異なる内容の書籍」を販売しているという貼り紙をしたという。

ハンガリーの反LGBTQ+法にEU諸国が反発

画像: 6月25日、国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルが抗議のために、プロジェクターを使ってオランダのハンガリー大使館を虹色に変えた。
6月25日、国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルが抗議のために、プロジェクターを使ってオランダのハンガリー大使館を虹色に変えた。

このような驚きの出来事が起きている理由は、ハンガリーで6月に可決され、7月より施行された法律のせい。この法律は、学校教育において同性愛やジェンダー移行について話題にあげることや、18歳以下の目に触れる広告やメディアにLGBTQ+のレプリゼンテーションを含めることを禁じるもの。LBGTQ+に対して厳しい姿勢を見せるヴィクトル・オルバーン首相は、この法律は“子供を守る”ためのものだとしている。

しかしこの法律は明らかな差別であり、子供を守るどころか、政府が決めた1つの型にハマらない人以外は“普通ではない”という、子供のメンタルヘルスと身体的な健康に危険を及ぼすもの。さらに、影響力がある人や団体が差別に断固としてNOと言わないと、差別する者を後押ししてしまう。ハンガリー国内の同性愛者の間では不安が広がっており、ある同性愛者の児童書編集者は殺害予告を受けた後、国外脱出を決めたと英ロイター通信に今週明かした。

画像: こちらの書店では、書籍が「非伝統的」であるという行政のルールに沿った表記をするとともに、一連の「反同性愛者・反トランスジェンダー」な出来事のため、逆に書籍が「抵抗運動の象徴」になったとして本をおすすめ棚に陳列。
こちらの書店では、書籍が「非伝統的」であるという行政のルールに沿った表記をするとともに、一連の「反同性愛者・反トランスジェンダー」な出来事のため、逆に書籍が「抵抗運動の象徴」になったとして本をおすすめ棚に陳列。
画像: サッカーEURO2020のハンガリー対オランダ戦では、オランダのファンがプライド・フラッグを観客席で掲げて抗議。
サッカーEURO2020のハンガリー対オランダ戦では、オランダのファンがプライド・フラッグを観客席で掲げて抗議。

この法案は国内外で大きな批判にさらされており、施行前には数千人規模の反対デモがハンガリーの国会前で行なわれた。それに加え、ハンガリーが加入するEU(ヨーロッパ連合)の国々からも強い反発が出ており、オランダのマルク・ルッテ首相は、「EUにハンガリーの居場所はないと私は思っています」と強い言葉でハンガリーを批難。EU議会では、「EUの価値観、原則、法律」に違反するとして、ハンガリーに対して早急な法的措置を取ることがすでに決まっている。(フロントロウ編集部)

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