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必要ない、意見が増加?「お中元」の由来や意味、今後の必要性は?

  • 2021.7.14
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お中元はなぜこの時期?
お中元はなぜこの時期?

日本では7月、お世話になった人に感謝の気持ちを込め、贈り物をする「お中元」という慣習があります。12月には、1年間お世話になった人に贈り物をする「お歳暮」もあり、つまりは年に2回、贈り物をして感謝の気持ちを示す機会があるということです。しかし、お歳暮は贈り物をする意義が分かりやすいですが、お中元は暦も中途半端で、意義が分かりにくいです。その影響でしょうか、お中元に関する意識調査でも「お中元を贈る必要はない」と考える人の割合が年々増えているようです。

「お中元」は今後も必要なのでしょうか。女性の美しさやマナーをテーマにした講演も行う、人材育成コンサルタントの高岡よしみさんに聞きました。

道教の行事「中元」に由来

Q.そもそも、「お中元」という慣習はどのようにして生まれたのでしょうか。年末に贈るお歳暮とは異なり、中途半端な時期のように思えます。

高岡さん「お中元の由来は中国の道教の行事『中元』(旧暦の7月15日)にあります。道教では、この日に神様にお供え物をすることで、現世での罪が許されるとされてきました。この中元が、仏教の先祖を供養する行事『盂蘭盆 (うらぼん)』 と結び付き、日本では、お盆の行事と中元の文化が結び付いたのです。

お盆に先祖供養のお供え物を分かち合う風習が派生して、親や知人、さらには上司など目上の人へ食料を送る贈答習慣として定着したことが起源といわれています。江戸時代、先祖への供養とともに、商い先やお世話になった人に贈り物をする風習として定着し、現在のお中元文化になったといわれています。時期に関していえば、中元や歳暮の時期は、商人にとっては決算の時期でもあることが関係しているようです」

Q.「お中元を贈る必要はない」と考える人の割合が年々増えているようです。なぜでしょうか。

高岡さん「現在は『形式的なお礼は必要ない』と考える人が多くなっており、企業間など、お付き合いとしてのやりとりは減少傾向にあります。『上司や取引先へ贈る場合には儀礼的な側面が強く負担』といった意見や、『賄賂のようなイメージがある』『お中元という機会でなくても自分のタイミングで贈りたい』といった意見が増えているようです。

大企業や公的な機関では『贈答禁止』という言葉もよく聞かれます。気持ちのこもっていない、うわべだけの習慣を廃止する風潮から、儀礼的なお中元は年々少なくなってきているようです」

Q.「お中元」という慣習は現代でも必要なものなのでしょうか。

高岡さん「離れて暮らす両親や親族、お世話になった人など、日頃の感謝を伝えたい相手へ気持ちを伝えるきっかけとして、お中元を贈る習慣は根強く残っています。大切な人への感謝を伝える文化として、お中元は必要なものだと考えられます」

Q.最近はカタログギフト形式のお中元もあります。しかし、贈り主が何を贈るのか決めるわけではなく、感謝の気持ちは伝わりにくいように思います。お中元でカタログギフト形式は避けた方がよいのでしょうか。

高岡さん「ある『お中元・お歳暮に関する意識調査』では、もらってうれしいお中元ランキングの第5位にカタログギフトが挙げられています。もらう側としては、自由度の高い贈り物が喜ばれる傾向にあるようです。

しかし、贈りたいお中元ランキングでは、カタログギフトはランク外となっています。もらう側の気持ちとは逆に、手抜きと思われることを避けたい人が多いようです。特に、近年はお中元を贈る相手が親しい間柄に絞られていることもあり、より個人の好みに合わせた贈り物が選ばれる傾向にあるようです。

とはいえ、カタログギフトが絶対に駄目ということではありません。多種多様な好みに合わせ、プロが選んだ上質な贈り物を載せたカタログギフトが増えています。他のお中元とかぶることやマンネリ化を避けるためにカタログギフトを活用するのも一つの選択肢です。カタログギフトにメッセージを添えて贈ることで、気持ちを伝える人も増えています」

Q.今後、お中元という慣習はどのようになっていくと思われますか。

高岡さん「今後も儀礼的な贈答文化としてのお中元は衰退していくと思います。一方、日頃お世話になっている人たちへ感謝を伝えるきっかけとして、よりパーソナルな慣習として今後も続いていくと考えられます。特に新型コロナウイルスの影響で遠方の人と気軽に会うことが困難になっている今は、帰省やあいさつの代わりに相手の顔を思い浮かべながら、お中元の品を選び、贈るのもいいかもしれませんね」

オトナンサー編集部

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