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なぜ今ごろ? 昭和レトロの代名詞「フルーツサンド」が人気再燃したワケ

  • 2021.7.13
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昭和創業の古い喫茶店で出されるメニューというイメージの強かったフルーツサンドが近年、さまざまな進化を遂げて再び人気を獲得しています。その背景と東京都内のおすすめ店を紹介します。

火付け役となった「萌え断」ブーム

ここ数年、SNS映えするなどの理由から注目されているフルーツサンド。断面が美しい「萌え断」と呼ばれるフルーツサンドも多く、都内でも新店舗が数多くオープンしています。

若い世代にとっては、ここ数年で流行(はや)り始めた新しいスイーツのように感じるかもしれませんが、およそ30代以上の大人世代はご存じの通り、昔からある定番のメニューのひとつです。

レトロメニューのはずのフルーツサイドが今、再び大人気に。いったいなぜ?(画像:写真AC)

見た目のインパクトは変化しているとはいえ、古くからあるフルーツサンドのニーズがなぜ今、拡大しているのでしょうか?

筆者が考える理由は大きく三つ。

まず、お皿やフォークを必要としないので、手間がかからず仕事の合間や外出先で気軽に食べることができること。また、差し入れやお土産にもぴったりなこと。

そして、生の果物はお取り寄せができないため、店舗まで足を運んで購入することが特別感を感じさせ、多くの人への興味を引き、商品価値が高まることにつながったのではないでしょうか。

昔も今も変わらない魅力。今回は、昔ながらの良さが詰まったフルーツサンドと、昨今の進化系フルーツサンドのお店をそれぞれ紹介します。

1. 有楽町「はまの屋パーラー」

JR有楽町駅から徒歩1分、新有楽町ビル地下1階にある「はまの屋パーラー」(千代田区有楽町)は、2021年で創業54年を迎える喫茶店です。

2016年には帝国ホテルプラザ内に2号店、昨年には渋谷パルコ内に3号店をオープンしています。レトロな店内は、レコードプレーヤーからジャズが流れる昭和風情あふれるお店です。

はまの屋パーラー有楽町店(画像:にょっきちゃん)

サンドウィッチのメニューは玉子や野菜、ハムを使ったトーストサンドからフルーツサンドまで7種類。

長年愛され続けるフルーツサンドは、新鮮なフルーツがごろごろと入っていて、シロップ漬けの黄桃とパイナップルがホイップと一緒に挟まれた王道のフルーツサンドです。

甘さは比較的控えめなので最後まで飽きずに食べられます。歴史あるお店なので、目立たない立地でも常連さんが多く、ランチタイムには満席のことも多くあるそう。

前店主から続く人気のサンドウィッチは、レシピと技だけではなく、心までもしっかり受け継いでいると感じさせられる同店。有楽町のビルの地下にいつまでもあり続けてほしい……。そんな気持ちにさせてくれる老舗喫茶店です。

2. 赤羽「プチモンド」

1938(昭和13)年に果物店として開店し、その後1985年に東北新幹線開通に伴いフルーツパーラー・喫茶店として開店した創業36年の老舗フルーツパーラー「プチモンド」(北区赤羽台)。

2013年に放送されたドラマ『孤独のグルメSeason3』の北区赤羽の回の前半でこのお店のフルーツサンドが出てきたことから、フルーツサンドがこのお店の看板メニューとなったそう。現在でもドラマの影響で聖地巡礼に訪れる人も多くいるのだとか。

看板メニューのフルーツサンドはとにかくフルーツが惜しげもなく使われていてなかなか豪華です。ひと口頬張ると、しっとりとした柔らかいパンの食感とフルーツのみずみずしさがケンカすることなく口の中で優しく広がります。

フルーツをコーティングしている生クリームはたっぷり使われていますが、非常に軽く自然な甘味は、フルーツの味を邪魔せず、ほどよい舌ざわりをプラスしてくれているので、甘過ぎるものが苦手な方にもおすすめです。

3. 表参道「INITIAL」

次に紹介するお店は、札幌“〆パフェ”ブームの火付け役「INITIAL」が表参道にオープンさせたお店(渋谷区神宮前)です。

パフェ以外にも、フルーツでお花をあしらったフルーツサンドも人気で、このフルーツサンドを写真に収めるべく訪れるお客さんも多いそう。

昔のフルーツサンドは果物のカットが細く小さいものが多いですが、最近のフルーツサンドは果物が丸ごとごろんと入っていて、インパクトの強いものが多いのも特徴。

フルーツサンドに使われている食パンはきめ細かい生地で、ソフトな食感。ほんのり甘さがある北海道産の生クリームとフルーツの相性も抜群。

INITIAL表参道の、みかんのお花(画像:にょっきちゃん)

このお店のフルーツサンドはテイクアウトもできるようなので、ちょっとした手土産にも喜ばれるはず。旬の食材を使用した、その時期しか味わえない季節限定のスイーツをお酒のシメ、デートのシメなどで食べてみるのはいかがでしょうか?

4. 下北沢「フツウニフルウツ」

2019年6月、急に閉店してしまった中目黒の人気店が、2020年5月下北沢に再オープンした「フツウニフルウツ 下北沢店」(世田谷区代沢)。

フルールサンドというと最近は500円以上の豪華なものが主流ですが、価格帯は400円からと手軽に購入できます。こちらのお店は、表参道にある有名カフェ「パンとエスプレッソと」の系列店なので、フルーツサンド以外にもパニーニや食パンなども購入することができます。

フツウニフルウツ(画像:にょっきちゃん)

系列店がパン屋さんというだけあって、フルーツサンドで使われている食パンもふんわりやわらか。生クリームは硬めでしっかりしていて、フルーツとのバランスも抜群です。

季節のフルーツや、あんこを使ったフルーツサンドなどその時々でさまざまな味が楽しめるので毎回違うメニューを注文してみるのも楽しそうです。

変化しつつも変わらない存在感

時代とともに変化をしつつも、変わらず愛されてきたフルーツサンド。あるときはスイーツとして、またあるときは食事として、各店の個性によってさまざまな味わいやキュートな断面がその魅力を底上げし、特別感を盛り立てていることは間違いないでしょう。

きっとこれから先も、女子ウケする見た目はもちろん、手軽なお土産や軽食としても多くの人に愛され続けるのではないでしょうか。

にょっきちゃん(東京ライター)

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