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【これがワタシの生きる道】【ガンバレルーヤ よしこ】極度な恥ずかしがり屋だった私が芸人になって、今までやれてこれた理由

  • 2021.7.5

極度な恥ずかしがり屋。明石家さんまさんに憧れて

――よしこさんが芸人になろうと思ったのは、何がきっかけですか?

よしこ「生まれたときから恥ずかしがり屋で、小さい頃の写真を見ても、いつも髪の毛食べてるんですよ。髪の毛を食べていたら、誰もしゃべりかけられないじゃないですか。極度の恥ずかしがり屋で、人に見られるのも嫌で、いろいろ考えこんじゃう子でした。友達とお稽古事に通ってたとき、その友達のお母さんが車で迎えに来てくれてたんですけど、車が来ても、ドアが開けられずにじっとしてて、お母さんが降りてきてドアを開けてくれるまで動けなかったり。そのときも、『なに、あなたがドア開けてるの?』って思われたらどうしようとか、『ドアを(友達より先に)開けたら顔を見られてしまうな』とか、いろいろ考えてしまうような子だったんです。そんなとき、テレビで明石家さんまさんを見て、『こんな人になりたい!』と思ったのがきっかけなんです」

――恥ずかしがり屋とは正反対ですもんね。さんまさんの存在を知ってからは変わりましたか?

よしこ「中学校に通うようになってからは徐々にしゃべれるようになりました。さんまさんみたいになりたいんだったら、いろんな人としゃべらないとって」

――中高生だと、思春期でまた違う恥ずかしさが出てきたりしなかったんですか?

よしこ「保育園から小学校までがピークだったので、その後はそこまで気にしなかったですね」

――愛知県出身でも、NSCに入るときに東京じゃなくて大阪に行ったのもやっぱりさんまさんの影響ですか?

よしこ「毎週土曜日にテレビで吉本新喜劇をやっていて。それが大好きだったので、やっぱり関西かなって思って。関西弁もかっこいいと思ってたんですよ。憧れはずっとありました」

――他に憧れた人は?

よしこ「新喜劇だと島田珠代さんは出てきただけで面白いです。珠代さんが『相席食堂』に出られていたときのものは何度も見ました。それと、友近さんはネタでもおしゃべりでも笑わせられるので憧れます」

「私とコンビを組んでください」と歩道橋の上でまーちゃんに誘われて

「私とコンビを組んでください」と歩道橋の上でまーちゃんに誘われて

――島田さん、今ほんとにアツいですよね。いざNSCに入ってみて、思ってたのとは違うなと感じたり壁にぶち当たったりしたことはありましたか?

よしこ「もともと恥ずかしがり屋なので、NSCに入っても……今もですけど、それが出ちゃうんですね。人前でもいまいち、前に出られなかったり。NSCに入ってくる人たちは、性格的にみんなの前でぱーって喋れる人も多いので、そこのレベルまで持っていくのが大変でした。ネタをどうしようというより前に、根本をそこにもっていくのに苦労しました」

――そんな中で、相方のまひるさんとの出会いはどんなものだったんですか?

よしこ「まーちゃんも大阪以外の鳥取県出身で、NSCに入るために大阪で住み始めたマンションが偶然一緒で、そのエレベーターでばったり会って、そこから仲良くなって、毎日一緒にいるようになりました」

――その後、コンビを組むようになったのは。

よしこ「私はまーちゃんと組む前にギャルでトリオを組んでいて、でもその一人がラッパーになりたいと言うので一か月で解散になって、まーちゃんも少し後にコンビを解散して、そのタイミングで組むことになりました。まーちゃんが私と組みたいと思ってるなんて、仲が良すぎて見えてなかったですね。

――コンビって関係性が難しいといいますが。そういうことはなかったんですか?

よしこ「なかったです。ただ、コンビを組みたいと言われたときは、これで仲が悪くなるんじゃないかって不安もありました。コンビを組もうって言われたのは、NSCの帰り道で、歩道橋の上で『私とコンビを組んでください!』って。ドラマみたいだったんですけど、私は軽い女だと思われたくなかったんで、思ってもないのに『ちょっと待って』って言って(笑)。でも次の日にすぐにOKの返事をしました。そこからは、ずっと変わらずですね」

まーちゃんとはずっと一緒。同居して、もう9年

まーちゃんとはずっと一緒。同居して、もう9年

――お互いの芸風にもピンとくるものがあったんですか?

よしこ「本当に波長が合うんですよね。笑うタイミングも、面白いと思うことも一緒だし、一緒にいると楽しかったのでコンビを組みました。それからはずっと一緒に住んでいて。もう9年くらい一緒です」

――9年の間には、いろいろありましたか?

よしこ「大阪に住んでたときは、年に一回くらいは、しょーもないことで取っ組み合いというか殴り合いのけんかもしてて(笑)。若気の至りというか。でも、原因が本当にしょーもなくて。ふたりで自転車をこいでいたら、前にいるまーちゃんがいつもよりスピードが速かったので、『こいつ、私を巻こうとしてるな』って思って。それで街中でカンカンに怒って。血気盛んだったんでしょうね。今はしないですけどね(笑)」

――一緒に住んでるコンビ間で「巻く」ってあることなんですね! 阿佐ヶ谷姉妹さんにインタビューしたときも、ミホさんがたまにエリコさんを巻こうとしてるときがあるって(笑)。

よしこ「私の勘違いだったんですけど、そのときは確かに『私のこと、巻こうとしてんなー』って思っちゃったんですよね」

――今は巻かれると勘違いすることもなくなったんですね。

よしこ「一緒にスーパー行ったり、薬局に行ったり。私がスーパー行くから、まーちゃんは洗い物しててねとか、お風呂ためといてねとか。まーちゃんにはすごく支えられていますね。まーちゃんとコンビ組んでなかったら、ここまでこれてないし、やめてるかもしれない。それくらい、まーちゃんでよかったなと」

まーちゃんでよかったな

――別の友達と遊んだりとかは?

よしこ「先輩も、コンビふたりで呼んでくれる方ばかりですね」

――男性芸人だと、コンビでかわいがってもらう先輩は別、みたいなことも多そうですよね。

よしこ「それもかっこいいですけどね。男性芸人は、そんなに仲が良くないと言っていても、舞台袖で何のネタをするかってことで、ちょっと打ち合わせただけで、本番では呼吸があってたりするのには憧れます」

――あとは、楽屋で近況を話してると、トークライブのときに新鮮に話すことができないから、あまりしゃべらない人とかもいるって聞きますよね。

よしこ「番組のアンケートとかを書くことがあるんですけど、まーちゃんと私がいつも一緒だから、なんのエピソードをどっちがアンケートに書くか、相談するときもありますね。それはけっこう不便だけど、やっぱり別行動は寂しかったりするので」

上京理由は『内村てらす』のレギュラー決定。そのキッカケはダイアンさん

上京理由は『内村てらす』のレギュラー決定。そのキッカケはダイアンさん

――ふたりで東京に出てくるのも早かったですよね。

よしこ「5年目だったので早かったと思います。その頃、大阪の劇場が漫才しかやってはダメっていうことになって、大阪のコント師がいっせいに東京に行かれたんですよ。劇場はその後、漫才以外もOKにはなったんですけど、私たちもその頃から東京に行きたいって言ってて。でも、まだ若手だし、大阪でも劇場に常に出てるような芸人ではなかったので、なかなか実現しなくて。そうこうしてたら、『内村テラス』でレギュラーが決まって、それで東京に行くことができたんです」

『内村テラス』でレギュラーが決まって、東京に行くことができたんです

――その頃、『内村てらす』を見ていましたが、最初のきっかけは何だったんですか?オーディションがあったとか?

よしこ「ダイアンさんが、おススメの若手ということで『内村テラス』で紹介してくださって。それでVTRで出演したり、スタジオに行かせてもらうようになりました。内村さんにも番組で初めてお会いして、スタンディングオベーションで笑ってくださって。本当にうれしかったです」

――推薦してくれたのがダイアンさんだったのもびっくりでした。

よしこ「大阪では、私たちが劇場に出られていないことを知ってて、たむらけんじさん主催の舞台に毎週出させてもらってて。そこでダイアンさんが見てくださってたのかなと」

――いろいろ、大阪でも見てくれる先輩がいたんですね。

よしこ「アキナさんも、最初に舞台に誘ってくれて。そこから、たむらさんにも呼んでいただけるようになったので、お世話になってます」

自分が得意じゃないことをやっているときは全然ダメだった

自分が得意じゃないことをやっているときは全然ダメだった

――芸人を始めてから、つらいことはなかったですか?

よしこ「NSCを卒業したころは、今のスタイルじゃなかったんです。前にも出られなかったし、キャラもなかったし。自分でもどうしたらいいのかわからなくなってました。もともと私は高校時代にギャルに憧れてて、最初はギャル漫才師になりたくて『なんでやねん!』ってズバズバつっこんで笑わせる人になりたかったんです。でも実際、関西の出身じゃないし、つっこみもうまくないし。まーちゃんがどこでボケてるのかもわかんなくて、それでつっこみがないコントでいこうとなったんです。自分がぶれぶれだったんですね。だから平場で前に出られなくて、一回もしゃべれないで終わることもありました」

――そこから何か前進したきっかけは?

よしこ「ある女芸人さんが、帰り道で『そんなんじゃーいかんで』『なにしに来てるの』って言ってくださって。それがきっかけで変わらなきゃって思って、今の自分がいるんですよね」

――今の自分の在り方には落ち着いてる感覚がありますか?

よしこ「その頃の自分は変につっこまなきゃとか、つっこむことで笑いをとらなきゃとか、自分が得意じゃないところをのばそうとしてたんです。そういうのに憧れもあったし。今は、自分をいかす笑いをするようになったので、だから無理はしてないですね」

ガンバレルーヤ よしこ

ガンバレルーヤ よしこ
Profile
2012年に結成された、ガンバレルーヤのボケ担当。バラエティ番組にひっぱりだこ。女優に挑戦したり、アイドルグループ吉本坂46のメンバーになったり、と多方面で活躍中。

聞き手/西森路代(にしもりみちよ)
コラム、インタビューを中心に、ユリイカ、GALAC、リアルサウンド、現代ビジネス、&M、CINRA、朝日新聞、ハフポストなどで執筆中。近著『韓国映画・ドラマーーわたしたちのおしゃべりの記録2014〜2020』『「テレビは見ない」というけれど』(ともに共著)
Twitter:https://twitter.com/mijiyooon

撮影/山本佳代子
HP: https://www.kayokoyamamoto.com/

ヘア&メイク 神谷真帆(ROI)

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