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行動力のある人ほど危険「セルフチェック付き」あなたの中に潜む"老害因子"

  • 2021.7.4
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アンガーマネジメントの第一人者、安藤俊介さんは「年齢的には若くても老害の萌芽が見え隠れする人がいる。“自己顕示欲が高い人”は要注意だ」と言います。「自己顕示欲」をセルフチェックする方法とは――。

※本稿は、安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)の一部を再編集したものです。

チェックリスト
※写真はイメージです
あなたにもある「老害因子」

「老害」とは何ともきつい言葉です。自分が老害と呼ばれるようになるとは思いたくもありませんし、自分がそうなるとは若い頃は誰も思っていないでしょう。

私が若い頃は、上の世代を見ながら、「なんて頭の硬い人たちが多いのだろう。自分は絶対にこうにはならない」と思ったものでした。私はまだ高齢者ではありませんが、若い世代からすれば老害と呼ばれる年代にはなっていると思います。

果たして自分は老害と呼ばれるようになってしまっているのか、はたまたまだそうはならずに済んでいるのか、いつも自分で確認しなければいけないと自分に言い聞かせているところです。

さて、ではどのような人が老害と呼ばれる人物になるのでしょうか。老害になる人が本来穏やかな人であるとは思えません。何らかの怒りの問題を抱えているからこそ、その怒りを老害になるように発露させていると考えられます。

若くても老害の萌芽が…

1つ前の記事で、高齢者が怒りっぽくなる個人的な理由のキーワードとして「執着」「孤独感」「自己顕示欲」の3つを挙げました。今回はこのキーワードのうちの「自己顕示欲」をもう少し深く見ていくことにしましょう。ここではセルフチェックという方法を取っていきます。今はまだ年齢的に老害になり得ない人でも、すでにその萌芽が現れている可能性があります。老害が発生するメカニズムを来るべき自分のこととして理解することは、困った高齢者の内実をより正確に把握するとともに、自分自身を予測するきっかけにもなります。

「自己顕示欲度」のセルフチェック表

あなたの「自己顕示欲度」をセルフチェックしましょう。

次の質問で当てはまると思うものにチェックをして下さい。少しでも当てはまると思ったら、当てはまると回答して下さい。あまり深く考えず直感的に答えて下さい。

● あなたの「自己顕示欲度」チェック
□ 自分の意見を言うことにためらいを感じない方だ
□ お節介と言われたこと、或いは思われたことがある
□ 会議、会合といった場ではよく発言する方だ
□ ニュースなどを見ていると、この人わかってないんだろうなと思うことがある
□ 知っていることがあるなら教えてあげたいと思う
□ 目立つことは恥ずかしいことではないと思う
□ いつまでも誰かの役に立ちたいと思う
□ 間違っていることをしている人を見ていると正してあげたいと思う
□ 自分なりに得意としていることがある
□ 人の役に立ちたいと強く思う
● あなたの「自己顕示欲度」結果
→0~2個のチェックがついた人:自己顕示欲の小さい人
→3~4個のチェックがついた人:自己顕示欲のやや小さい人
→5~7個のチェックがついた人:自己顕示欲のやや大きい人
→8個以上のチェックがついた人:自己顕示欲の大きい人

自己顕示欲は自分のことを認めて欲しいがあまりに周りに対して自己主張をすることです。さらには自己主張するだけでなく何かしらの行動を起こし、その見返りを欲しがることです。

自己顕示欲が強ければ積極的に周りに何かしらの行動をしますので、老害になる可能性はとても高くなります。

「自己顕示欲」と「行動力」の関係性

自己顕示欲は行動力の強弱、承認の強弱によって表すことができます。

自己顕示欲
出典=安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)より。

「行動力がある人」は積極的に周りに何か行動を起こします。自分が役に立つと思っている、自分が出ていく責任がある、自分が言った方がいい、自分が助けてあげるといった思いが強く、それを周りに訴えたいと思っているからです。

逆に「行動力がない人」は仮にそう思ったとしても、そこまで強く行動しようとは思いません。結果、求められてもいないのにしゃしゃり出るようなことはしません。

承認度合いの強弱は、「自分が起こした行動に対してどの程度認めて欲しいと思っているか」です。

「承認度合いを強く求める人」は、自分の行動に対して自分が満足するような応対を期待しています。例えば自分が手を貸すといったら、相手はそれを喜んで受けなければいけないし、感謝もしなければいけないといった具合です。相手から不要と言われるなんて、あってはならないことだと考えていますし、ありがた迷惑と思われるなんて、想像もできません。相手に自分の価値観を強く押し付けるとも言えます。

逆に「承認度合いが弱い人」は、自分が一方的に行動しても、相手からの見返りをあまり求めていません。自分が行動することに意味があると思っているからです。相手がどう思うか、どう捉えるかを気にしていないという点で、相手に対する配慮や相手の気持ちを推察することが苦手とも言えます。

自己顕示欲を4つのタイプ別に解説

自己顕示欲には4つのタイプがありました。

① 自己顕示欲の小さい人
② 自己顕示欲のやや小さい人
③ 自己顕示欲のやや大きい人
④ 自己顕示欲の大きい人

①自己顕示欲の小さい人

「自己顕示欲の小さい人」は自分から周りに対して行動を起こすこともあまりなければ、起こした行動に対して、何か見返りを求めることもありません。自分が役に立つこと、できることを謙虚に理解しているので、でしゃばることで相手に迷惑をかけることがありません。むしろ自分から何かすることで、相手に迷惑がかかることを警戒しているくらいです。

安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)
安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)

相手から求められれば助言することも、手を貸すことも喜んでします。ただし、それは相手からのリクエストがあってからのことです。例えば、会社で顧問になっていたとして、現役世代が何か問題を解決するのに苦労をしていたとします。それを見ながら、自分の経験からはこういうことが言えるが、それが今のこのタイミングで役に立つだろうかと客観的に考えることができます。

自分の時はこうだったのだから、こうすれば解決できるに決まっているといった押し付けや、そんなやり方ではうまくいかないといった否定をすることはありません。

自分の意見がないわけではなく、求められたら必要に応じて自分の意見を明確に伝えることができます。呼ばれてもいないのに、こちらから出ていくようなことはないということです。

②自己顕示欲のやや小さい人

「自己顕示欲のやや小さい人」は、行動力はあるものの、その行動に対して相手の反応をそこまで求めていません。自分からいろいろな物事に顔を突っ込みますが、そこで周りがどう反応するかをあまり気にしていません。

例えるなら、会議中になんだかよくわからないけど自分の意見を一方的に話していき、じゃあ後は任せると言って去っていくような人です。その人の言ったことは採用されなくても、特に問題にはなりません。

このタイプの人は、自分が何か言える場所があるということだけが大事です。自分の意見を言ったことで、かなり自己満足しています。自分が何か言うことで相手が満足している、役に立っているという自負が少なからずあります。

どこにでもいる世話好き、話し好きな人です。考えや価値観を押し付ける訳ではありません。扱いが面倒な人と思える時もありますが、総じて悪い人ではないという評価を得ています。

③自己顕示欲のやや大きい人

「自己顕示欲のやや大きい人」は、行動力はそれほどありませんが、自分が起こしたアクションに対しては強い同意や反響を求めます。

行動力があまり高くないので、直接的に誰かに自分の意見を言ったり、自分の考えを押し付けようとまではしません。そこで都合が良いのがSNSやネットニュースのコメント欄です。SNSで持論を展開したり、ネットニュースのコメント欄に正論を書いて溜飲を下げます。

スマホでコメントを入力する女性の手元
※写真はイメージです

ネット上では議論が白熱というよりも、ただお互いに罵り合っているだけの人達がいますが、そうした人達はまさに自己顕示欲を満たそうと、相手を攻撃し、自分の方が正しいことを証明するために腐心するのです。

ネットの中の世界と言えど、現実の世界とつながっています。

ネットだから、匿名だからといって名誉毀損きそんをしたり、相手を追い詰めるなどしている人達が以前よりも摘発されるようになっています。ネットの中で自己顕示欲を満たそうとしても、仮に満たせたとしても、それは仮初かりそめのものでしかありません。一時的な満足にしかならないため、次なる満足を求めてさらにエスカレートさせていくでしょう。満たされることのない自己顕示欲を満たそうと、底なし沼にはまっていくかのようです。本人は華麗に泳いでいるつもりかもしれませんが、周りからは必死に手足を動かしながら、もがき溺れ、そして少しずつ沈んでいっているように見えます。

④自己顕示欲の大きい人

「自己顕示欲の大きい人」は行動力があり、またその行動に対する反応、自分の思い通りの反応を強く求める人です。言わずもがなですが、このタイプの人は老害になります。

自分がやってきたこと、これまでの成功体験、考え方、価値観等々を人に押し付けます。行動力があるので相手に直接的に言いますし、同意を求め、言いなりになるよう強要します。

結果、事が上手くいかなければ、それは相手が悪いと考えます。自分が正しいことを教えたのに上手く行かないのは相手の努力が足りない、やり方が悪いと思うのです。これだけ時代の変化が速いと言われているにも関わらず、自分の成功体験に執着し、それがいつまでも通用すると考えています。

なぜそんな風に考えるかと言えば、人の話に耳を傾けることができず、独りよがりに考える癖がついてしまっているからです。自分の頭で考えることの大切さは言われますし、それは本当に大事です。ただ、周りが見えなくなるような考え方になってしまうのであれば、老害と呼ばれないためにも警戒が必要です。

安藤 俊介(あんどう・しゅんすけ)
日本アンガーマネジメント協会代表理事
アンガーマネジメントコンサルタント。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。ナショナルアンガーマネジメント協会では15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアジア人としてただ一人選ばれている。主な著書に『アンガーマネジメント入門』(朝日新聞出版)、『あなたのまわりの怒っている人図鑑』(飛鳥新社)、『私は正しい その正義感が怒りにつながる』(産業編集センター)等がある。著作はアメリカ、中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムでも翻訳され累計65万部を超える。

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