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自己肯定感を上げる方法【ひとみしょうの余談ですみません】

  • 2021.6.27

自己肯定感について書かれてある本がわりとよくベストセラーになっているので、今回は自己肯定感について簡単に解説したいと思います。本を買って読む手間が省けるかもしれませんよ。

「私が私でよかった」と思えること=自己肯定感

自己肯定感って、自己啓発や心理学があれこれむずかしく定義していますが、ようするに「私が私でよかった」と思える気持ちのことです。

それが高いと幸せだし、低いと不幸だ、というのが、自己啓発や心理学の一般的な見解です。

がしかし、「私が私でよかった」と思えるか否か、という二択なんです、本当は。そういう気持ちが強いか弱いかではなく、「私が私でよかった」と思えるか否かの二択。

その中間なんていう答えは、じつは存在しないのです。

どうすれば「私が私でよかった」と思えるのか?

キルケゴールという哲学者は、「私が私でよかった」と思え「ない」気持ちのことを、端的に、絶望と言い表しました。言い方を変えると、「この私ではなく別の私になりたい」と思う気持ちのことを、彼は絶望と呼んだのです。

では、絶望状態を卒業する方法とは?

ひとつには、「悩む」ではなく「考える」をしよう、とキルケゴールは言います。

悩むというのは、同じところをグルグルと回ることです。たとえば「どうして私には彼氏ができないのだろう。ああ、彼氏がいる人がうらやましい」こういう思いをいつまでも持つことを悩むと言います。

他方、考えるとは、問いのサイズを適切にすることを言います。たとえば、彼氏を作ろうと思えばまずは男子と出会う場所に行かなくてはならないが、私にとってそれはどこか?という「問いのサイズ」にしてあげるのです。そしたら、自動的にそのあとのことを考え出すでしょう?

恋愛の問題に限らず人生の問題も同じ

恋愛の問題に限らず、人生の問題も同じです。

「なんか」仕事がつまらない、「なんか」コロナ禍でイライラする、「なんか」将来が不安……多くの人はおそらくこのように思っていると思います。

この場合は、「なんか」を具体的に考えるといいのです。

たとえば、なんか仕事がつまらないという悩みであれば、ではどういう条件が揃うと私は仕事にやりがいを見出すのだろうか?という問いを立ててみるのです。

そうして、なんらかを考えた結果、お給料が多少安かろうと、世間に名前を知られていない会社であろうと、そういうのはどうでもよく、子どもに関係する仕事であれば楽しく働けるはず、との結論が得られたなら、実際にそういう職場を具体的に探すといいのです。

「わかったふうなこと」が私たちを不幸に陥れている

「悩む」ではなく「考える」をすることで私たちは絶望の外に出ることができるとキルケゴールは言います。

考えるというのは、先に述べたとおり、問いのサイズを適切にしてあげる作業から始まります。

気をつけないといけないのは、世の中にたくさんある「わかったふうなこと」を信じたいと思うあなたの気持ちです。

たとえば、いつも笑顔でいるよう意識すると自己肯定感が上がります、という「わかったふうな」言説がネットにありますが、笑顔と自己肯定感ってなんら関係ありません。

がしかし、多くの人は、その言説がもつ雰囲気を疑わないどころか「まあそうかな」と肯定しちゃいますね。そしたら、そこからどこにも行けなくなるのです。「なんか雰囲気がいい物言い」は、私たちの思考をそこで止めてしまうからです。

そうなるともう、絶望の外に出られなくなります。

「悩む」ではなく「考える」をする――これが、一見大変そうに見えて、じつはとても簡単かつシンプルな自己肯定感を持つ方法なのです。

※参考 ひとみしょう『自分を愛する方法』玄文社(2020)

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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