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“エンジェル”廃止で刷新のヴィクトリアズ・シークレット、ショー復活の可能性

  • 2021.6.19
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より多様性や包括性に富んだ新たなアンバサダーチームの発足を発表したヴィクトリアズ・シークレット。時代と足並みをそろえる決断をした同ブランドの人気ファッションショーがカムバックする可能性は? (フロントロウ編集部)

イメージ刷新を図るヴィクトリアズ・シークレット

“エンジェル”と呼ばれるスーパーモデルたちを起用したキャンペーンを廃止し、より多様性と包括性に富んだ女性7人から成る「The VS Collective(ザ・VS・コレクティブ)」という新たなパートナーシップのプラットフォームを発表したランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)。

この劇的な方向転換は、同ブランドが約44年前の創設以来発信してきた理想の女性像が、近年ノーマライズされつつある「ありのままの体型を愛そう」「どんな体型だって美しい」といった”ボディ・ポジティブ”の思想にそぐわないという世間からの反発に応えるもの。

画像: イメージ刷新を図るヴィクトリアズ・シークレット

ヴィクトリアズ・シークレットの未来をつくるために多角的にアプローチしていくという「The VS Collective」のメンバーには、世界各国のさまざまな分野で活躍する個性豊かな女性たちが招集。

米女子サッカー代表選手であり、ジェンダー平等を訴えるミーガン・ラピノー、中国系アメリカ人でフリースタイルスキー選手のアイリーン・グー、イギリス出身のプラスサイズモデルでボディ・ポジティブの立て役者でもあるパロマ・エルセッサー、アフリカの難民キャンプ出身のモデルであるアドゥ・アケチ、イギリスで女性写真家をサポートするプロジェクトを立ち上げた俳優兼カメラマンのアマンダ・デ・カディネット、ブラジル出身のトランスジェンダーモデルのヴァレンティナ・サンパイオ、そして教育の重要性といった社会問題などに関するの著書を発表しているインド人俳優のプリヤンカー・チョープラーが名を連ね、革新的なコレクションの開発や魅力的で刺激的なコンテンツ、新たな社内アソシエイトプログラム、女性たちにとって不可欠な活動への支援などに携わっていくという。

「セクシー=美」の時代は終わり

同ブランドの成功に貢献してきた広告塔美女軍団ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェルズといえば、スーパーモデルのハイディ・クルムやジゼル・ブンチェン、ミランダ・カー、アドリアナ・リマ、アレッサンドラ・アンブロジオ、キャンディス・スワンポール、テイラー・ヒルらを輩出し、モデルたちにとっては業界での成功を保証する登竜門と言われてきた。

近年では、エンジェルたちが年に一度行なわれるファッションショーに向けてトレーニングに励み、美しさに磨きをかける様子が世の女性たちのモチベーションアップにも繋がっていたが、一般女性の現実とはかけ離れた体型のスーパーモデルたちが、“男性目線のセクシー”を具現化したかのようなランジェリーを身にまとってポーズを決める様子は、もはや時代遅れだという見方が強まった。

画像: 「セクシー=美」の時代は終わり

さらに、長年にわたりマーケティング担当を務め、“セクシー=美”をモットーにファッションショーのキャスティングにおいて大きな役割を担ってきたエド・ラゼックの「トランスセクシュアルのモデルを起用すべきではない。ショーはあくまでも“ファンタジー”だから」といった問題発言が世間から大きな批判を浴びたり、親会社であるL Brandsの創設者レス・ウェクスナーが、2019年夏に少女たちへの性的虐待や売春斡旋の容疑で逮捕され、その約1年後に獄中で死亡が確認された米投資家のジェフリー・エプスタインとつながりを持っていたことなどが指摘されたりしたことも追い打ちをかけ、ここ数年間の売り上げは大幅に落ち込んでいた。

画像: エド・ラゼックを囲むモデルたち。左から:ライス・リベイロ、サラ・サンパイオ、ラゼック氏、マーサ・ハント、ジジ・ハディッド。ラゼック氏は2019年8月に辞任している。
エド・ラゼックを囲むモデルたち。左から:ライス・リベイロ、サラ・サンパイオ、ラゼック氏、マーサ・ハント、ジジ・ハディッド。ラゼック氏は2019年8月に辞任している。

ヴィクトリアズ・シークレットの現CEOであるマーティン・ウォーターズは、The VS Collectiveの発表に合わせて出した米The New YorkTimesへの声明の中で「エンジェルズは現代の文化において無意味になっている」ことを認めたうえで、「私たちは世界の変化に乗り遅れました」「男性が求めるものではなく、女性が求めるものに応えるべきでした」と発言。

The VS Collectiveの一員となったラピノー選手は、過去のヴィクトリアズ・シークレットの方針について、「父権的で性差別的で、男性目線でセクシーさを定義していただけでなく、男性に望まれるものかどうかという視点から成り立っていた」と指摘。おもに若い女性をターゲットとしてマーケティングされていたことについて「とても有害」とコメントしている。

画像: ミーガン・ラピノー
ミーガン・ラピノー

1995年に黒人として初めて起用され、10年間エンジェルを務めたモデルのタイラ・バンクスは、ブランドの大幅なイメージチェンジについて「自分の生涯のあいだに美の改革を目の当たりできることを誇りに思う」「数えきれなくなるまで、変化を続けよう」とインスタグラムへの投稿を通じてエールを送っている。

画像: タイラ・バンクス
タイラ・バンクス

ファッションショー復活の可能性は?

ヴィクトリアズ・シークレットは、The VS Collectiveのローンチにくわえて、「シークレット・グローバル・ファンド・フォー・ウィメンズ・キャンサー」と名づけた基金の設立も発表。この取り組みは、女性のがん治療において人種・性別による不公平をなくし、新たな技術の開発を支援することを目的としており、毎年最低でも500万ドル(約5億5200万円)の寄付金を集めることを約束している。

そして気になるのが、毎年末の風物詩となりながらも2019年以降休止となってしまっているヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーの復活の有無。

画像: ファッションショー復活の可能性は?

ブランドの広報担当は、「文化面でも大きな実績を残してきたエンターテイメント・ブランドとして、将来的にどんなファッションショーが実現できるか再考しています」と英BBCに話しており、将来的にファッションショーを復活させる計画があることを示唆している。

ヴィクトリアズ・シークレットの店舗では、今後、よりバリエーション豊かな体型のマネキンを導入するほか、授乳用のブラや乳がんなどにより乳房切除手術を受けた女性のニーズに応えるブラも展開していく予定。

イメージや経営陣を刷新し、より女性目線で女性に寄り添うブランドへと新しく生まれ変わるヴィクトリアズ・シークレット。大胆な方向転換には、SNS上で古参のファンたちから戸惑いの声が上がったり、「今さら遅い」といった厳しいコメントも寄せられているが、時代としっかりと足並みを合わせることを誓った同ブランドの今後の成長に注目が集まる。(フロントロウ編集部)

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