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あいまいな感じの彼は何が目的でわたしと不倫しているのですか?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2021.6.13
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中から、お悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。

「はるかさん43歳」のお悩み

こんにちは、いつも楽しく拝読させていただいています。

1年半ぐらいまえから同い年の職場の上司と飲みに行っているうちにそういった関係になり、最初は楽しかったのですが、最近はこの関係を冷静に考えることが多くなり、彼が何を考えているか分からなくなっています。

私は同い年の夫と小学校高学年の子供がおり、家庭は円満、不満はないです。彼は7歳下の奥様と2歳の娘さんがおり仲もよさそうです。家庭はあるけどこれは恋愛だからと言われ、熱心に誘われ、おでかけに連れていってくれたことではじまりました。

コロナや彼の異動などありつつも、2.3週に1回ぐらいのペースでお酒を飲んで楽しく話しています。こういった関係になり1年半ですが、ホテルに行ったのは2.3回ぐらいで、飲んで手を繋いでキスをして帰るのがいつも。そこまで私に性欲を感じてないのかなと思い、また、彼からも以前ほどの熱量も感じないので、いっそ触れ合いを全くしない、ただの飲み友達になろうと提案しました。

私も彼に前回のように誕生日を祝ってほしいとか色々期待してしまうので、この関係には落胆も大きいからと話しましたが、この日もキスをされてうやむやに終わってしまいました。そのあとも変わらずで、年末ホテルで仲良く1日過ごしたものの、わたしのほうもやはり気持ちが前ほどではなく、年明けからずっと連絡をしませんでした。

先日誘われて久しぶりに食事に行き楽しかったのですが、もう彼からは手を繋いだりキスもしてこなくなりました。ただ別れたあと、やはりまだ一緒にいたいから戻ってと私が言うと、乗っていた電車を折り返して戻ってきたりもします。

彼がリスクをはらってまでなんの目的でこういう関係を望んでいるのか、別れたいのか続けたいのか、よくわかりません。長文ですみません……。

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

恋愛に「キラキラ」を求める女性と、「ゆったりとした癒し」を求める男性の差ですね。

女性は恋したら「女」としての気持ちが解き放たれて、抱いてほしいとか抱きたいとか、なんらかときめきを求めるのに対し、男はほっとしたいとしか思わない(思えない)のです。

つまり、彼はリスクを冒してまで、ほっとしたいと思っているから、はるかさんと一緒にいたいと思っているのです。

では、なぜ、男性は恋愛に「キラキラ」ではなく「ゆったりとした癒し」を求めるのでしょうか?

男性の基本は強烈な「あれかこれか」

男性が恋愛に「キラキラ」ではなく「ゆったりとした癒し」を求めるのは、男性の基本が強烈な「あれかこれか」だからです。

あれかこれか、とは、すなわち、葛藤のことです。

男性はつねに葛藤しているのです。しかも女性より強い葛藤です。

女性だって、あれかこれかでつねに葛藤しているでしょうけど、でも女性は、いったん恋愛が始まると「飛べ」ますね。彼と「キラキラ」を求めて、日常を忘れたかのように「飛ぶ」ことができますね。

しかし、男性は、女性よりも強い葛藤を持っているので、飛ぼうと思っても飛べません。飛べても「ちょぼちょぼ」です。

では、男性は何に葛藤しているのかと言えば、女性とまったく同じです。

家庭のことに葛藤し、仕事のことで葛藤し、会社における人間関係のことで葛藤しています。言ってみればそれだけのことに葛藤しています。

でもその葛藤の重さというか強さは、女性のそれよりかなり「重症」です。別の言い方をすれば、男性は女性に比べて、自分の人生にかなり絶望しているのです。

女性だって、会社の人間関係に疲れて、「もうこの会社辞めようかな」などと思うことがあるはずですが、適当なところでうまく気持ちを切り替えますよね。

しかし男性は、一度「この会社辞めようかな」と思えば、なかなか気持ちが切り替わらないのです。だからずっと「辞めようかどうしようか」と悩みます。しかもその悩みを他人に打ち明けません。家族に打ち明けると家族が心配するし、同僚や部下に打ち明けると、陰でなにを言われるかわからないからです。

想像力の欠如が生む男性の「貧困」

ではなぜ、男性の絶望は女性のそれより深いのでしょうか?

答えは、想像力が欠如しているからです。

女性は、一般的には、男性より豊かな想像力を持っています。

たとえば、食について。女性はおいしいお店をたくさん知っていますよね。あそこのお店のあの食べ物がおいしいとか、さっと言えますよね。コンビニの食べ物についても「Aというコンビニのプリンはおいしくないけど、BとCというコンビニで売っているプリンはおいしい」とか、そんな「細かなこと」まで、よく知っていますよね。

それは、女性が、食が自分の生活や感性を豊かにしてくれると知っているからでしょう。つまり、食というものを、想像力をとおしてみずから豊かに捉えており、それが女性の人生をさらに豊かなものにしているのでしょう。

他方、男性は……食べられたらなんでもいい、と言う男性って多くないですか?

プリン? なんでもいいよ。わざわざ銀座まで行ってプリン買ってくるとか意味わからないし。こういうことを言う男性って多くないですか?

彼は想像力が欠如しているものだから、食というものを感性で豊かに捉えることができないのです。その必然の結果として、女性に比べて貧しい食生活を送ります。その結果、彼の人生は食によって豊かにされません。ずっと想像力を欠いたグレイの世界にいます。

恋愛(不倫)においても、まったく同じです。

彼はようやっとゲットした美しい女性と一緒にいるのだから、その美しさを愛でるべく、ホテルで裸になって、彼女とキャッキャと騒ぐといいものを(眼前に彼の想像をはるかに超える美しい裸体があるのだから!)、彼は想像力が欠如しているものだから、「エッチ?べつにしてもいいけど」と言います。

「そういう人なのだ」と思えるかどうか

ひとりの大人の想像力が欠如しているからといって、それを他人が補填しようと思っても無理です。想像力が欠けている人は、この世を去るまでずっと想像力が欠けたままです。

なので、はるかさんは、彼のことを「そういう人だからしかたない」と思うしかないです。それが無理ならお別れするしかないでしょう。

がしかし、ほとんど全員の男性は想像力が女性に比べて乏しいので、相手を変えて不倫しても「キラキラ」はしません。「ちょぼちょぼ」です。

同様の不倫相談にこれまで何回となく答えてきましたが、ホント男性って「キラキラ」しないんですね。「ちょっとした癒し」「ちょっとした人生の避難地帯」を求めて不倫するんですね。

「ちょっとした」といっても、不倫相手にさほど価値を感じていないわけではないのです。彼は不倫相手におおいに感謝しているし、おおいに癒されているし、なんなら不倫相手なしでは生きるのが困難だとまで思っているのです。

でも、彼女の前に出ると「ちょぼちょぼ」なんです。

男ってそういう生き物なんです。ごめんなさい。

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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