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これからの時代に必要な『記述力』 小学生の内から身に付けるための方法とは

  • 2021.5.28

日本の小学生の国語力低下が懸念されています。特に2020年から導入された新学習指導要領では「思考力・判断力・表現力」がキーワードとなっており、書く力との関係性は無視できません。

中学受験を考えている子はもちろんのこと、考えていなくても読書感想文や宿題の絵日記などで文章を書く機会は増えていきます。文章を書くことが苦手であると、その後の高校受験・大学受験にも影響が出てくるでしょう。記述力の重要性を改めて認識すると共に、向上するための方法を見てみましょう。

考えを明確化する力がますます求められる

大学入試の新テストが2020年から導入されました。記述式問題が多く出題されます。これからの時代はSNSの発達により自分を発信する機会が増加しており、加速していくと考えられます。

さらにこれからのAI社会で我々人間に要求されることはコミュニケーション能力です。自分の考えを相手に的確に伝え、相手の意図も読み取ることが必要です。そのために欠かせないのが文章力です。

この文章読解力が大きく低下していることが問題となっています。経済協力開発機構が実施した学習到達度調査で、日本の読解力ランキングは2012年の4位から2015年に8位に順位を落としました。東京都総合教育会議では、数学の知識はあるのに文章が理解出来ないために問題を解けない子どもの実態が報告されています。

国際的に求められる学力とは、単に知識があるというだけではなく、それらを活用して自分の考えをはっきりと言葉にし、それをもとに行動していくことが問われています。こういった力は、書くことによって形成されていきます。書かれたことをまとめるためには、短時間で自分が思うことをきちんと言葉で表現できることが大切です。

読解力向上のために行うこと

記述力をつけるためには読み解く力を高めることが必要です。読解力を高めるために必要な3つの力は「語彙力」「要約力」「思考力」です。どのように高めたら良いのでしょうか。

・会話をする

「読解力」というと、どうしても読み書きに意識がいってしまいがちですが、苦手な子にいきなりやらせるにはハードルが高いかもしれません。最初は親子の会話を意識して変えましょう。

子どもが自分で考えていることを話させて、それに対して質問をしながら掘り下げていくようにします。聞き上手になることで、子どもが自然と思考する体制を作りましょう。普段のコミュニケーションが大切ですね。

・文章を読む

多くの文章に触れて読むことが大切です。さらに飛ばし読みをしないように、音読をしましょう。音読が最初は苦手だったり声に出せない状況だったりした場合は、指やペンで文字をたどりながら読むのも効果的です。正しく文字を追って読むという習慣をつけましょう。

・知らない言葉はすぐに調べる

語彙力とは、読解力を根底で支える能力です。文章内に知らない言葉が1つか2つであれば文脈で想像することもできますが、それが増えてしまうと理解が困難になります。思考する際に言葉を使うことは避けられません。

語彙力を高めるためには、知らない言葉と出会ったら調べることを習慣づけることが必要です。最初は語彙数が少ないものでも良いので一緒に調べる習慣をつけていきましょう。

・要約トレーニング

文章はいくつかの文を段落にし、その複数の段落で構成されています。長い文章は言いたいことを読み取ることが難しくなりますが、各文の主語と述語を正しく読み取ることが出来れば、その繰り返しを行うことで書き手の意図を読み取ることが出来ます。

最初は短い文章から、主語と述語を抜き出すトレーニングを始めてみましょう。読解力向上に効果的です。

・文章を読んで考える

読書をする際には思考力を働かせて文章を読み取っています。同様に、新聞やネットニュースの記事を読み、考える習慣を身に付けましょう。ただ読むのではなく「どう感じたか」「自分ならどうするか」を考えながら読むことで、読解力が伸びていきます。

記述力を高めるためのポイント

中学受験を考えた場合には、より記述力が求められます。公立の適性検査では300字以上、学校によっては600字程度の記述が求められることがほとんどです。私立受験でも、難関校では記述力を求められる試験を導入する学校が増えており、科目も国語に限りません。
受験する上で必要な記述力をつけていくためにはどうしたらよいでしょうか。

・模範解答をそっくりそのまま書き写す

最初から上手に記述できる子などはいません。また、書くことを苦手としていると長い文章を書くことが苦痛になるかもしれません。良質な文章を真似して書くことが一番良いですが、受験を考えているなら答案の模範解答を写すことが一番の近道でしょう。

書き写すことで、正しい言葉遣いや文の構成を自然と身に付けることができます。また、続けることで長文を書くことにも慣れていきます。

・キーワードに線を引く

記述問題が苦手という子も少なくないと思います。まずは答えになりそうな部分に線を引き、短くて良いのでとにかく書くということを続けましょう。国語以外でも同様です。例えば社会でグラフや表を読み取る問題であれば、かぎとなるデータを見つけたら「~で増えている」「~が伸びている」など単純な表現で良いのでまとめてみます。

読み解く、短くまとめるということを繰り返す内に、大事なポイントを素早く見つけ出せるようになりますしそれについて書くことが出来るようになっていきます。

・様々なパターンの問題を解いていく

記述問題には大きく分けて3つのパターンがあります。

一つは「要約」で、「この文章で筆者が最も言いたいことを50字以内で書きなさい」などの問題です。次に「言い換え」、「傍線アは具体的にどういうことを言っているか」などの問題です。そして「推測」、「主人公が傍線アの様な行動をとったのはどうしてだと思いますか?」などの問題です。

自宅で問題集に取り組む際には、こういったパターンがまんべんなく出題されているものを選びましょう。入試の過去問などは、こういったパターンがまんべんなく出題されるのでオススメです。

書き写しにオススメは「天声こども語」

記述力をつけるために模範解答を書き写す方法をお伝えしました。書き写す素材はどんなものでも構いませんが、オススメなのは朝日小学生新聞に掲載されている「天声こども語」です。

天声こども語とは、朝日新聞に掲載されている「天声人語」の子ども版です。天声人語は600字程度でまとめられていますが、こども版では400字弱となっています。ふりがながついており、内容も今話題のニュースやイベント、季節や地理の内容など多岐にわたります。週5日掲載されているので常に最新の話題・時事ネタを手に入れることができます。

書き写す際にはノートを準備します。普通のノートで構いませんが、天声こども語専用ノートが発売されているのでそちらを使うのがさらにオススメです。新聞のコラムを切り取って貼るスペースとマス目だけではなく、要約や感想を書く欄・出てきた単語で分からなかったものとその意味を書く欄までついています。巻頭にはこのノートの使用法だけではなく、要約の仕方・辞書の引き方などの説明が書かれています。見開きで1つの記事が完結するように構成されています。

要約や単語調べは、慣れてきてからでも良いと思います。後になって以前の記事に戻って行ってもいいですね。こうして形になっているものにあてはめて記述することで、取り組むハードルを下げてくれると思います。インターネットで購入する際は最低3冊のセットですが、購入を迷うようであれば無料で体験版がダウンロードできるので試してみるのもいいでしょう。

筆者の子どもも記述が苦手であり、週に一度書き写すためにこのノートを購入しました。最初は書くのが大変だと言っていましたが、徐々に集中して書けるようになってきましたし書き終わると達成感を味わえるようです。書いた後には、必ず自分が書いた文章を音読してみましょう。

記述力というのは「こうやる」と教えてできるようになるものでも、短期間で習得できるものでもありません。時間をかけて上達するためには、少しずつで良いので取り組む習慣をつけましょう。記述力が向上すれば、自分の意見をはっきりと簡潔に述べる力もついていきます。試験などのためだけではなく、社会に出て今後の時代を生き抜いていくために発信力を身に付けていきたいですね。

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