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「がんばりすぎることは人生のリスク」周囲の評価に振り回されない私になる思考法

  • 2021.5.20
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「また失敗した」「あの人みたいにうまくできない」……。何事も全力投球をする人ほど「できない自分」に厳しくなりがちです。産業医の井上智介さんは、「自己肯定感が低い人ほど、自分の強みに気づいていない」と指摘。マイナス面だけではく、自分の強みにクローズアップするにはどうしたらいいのでしょうか――。

※本稿は、井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)の一部を再編集したものです。

過去の成功体験、忘れていませんか?

成功する人の多くは自信家です。しかも、なんの根拠もない強い自信をもっています。

人は自信があると、「やる気」を促す脳内物質ドーパミンが分泌されます。するとモチベーションが上がって仕事がはかどり、いい結果につながります。結果が評価されると承認欲求が満たされるので、脳内ではさらにドーパミンが分泌されます。

どの道に進んでも、胸を張っていい
井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)より

こうして自信は好循環を生み、実績となって積み重ねられていきます。

とはいえ、自己肯定感の低いHSPさんは、自信をもつのは難しいものです。そこで、自信をもつために、過去の成功体験を呼び起こしましょう。「仕事が早く終わった」「親切にしてほめられた」など、うれしかったことを思いだすと、「私、いいかも」と、自信がもてるようになります。

成功体験が見当たらなければ、これから積み重ねていきましょう。まず、「1カ月間、上司に明るくあいさつする」など、小さな目標を定めます。家族や友人に伝えておくと、成功率がアップします。

達成後は延長するか、さらなる目標を掲げてください。小さな目標を達成するたび、確固たる自信が築かれていきます。

「失敗した=自分の価値が下がる」は間違い

自己肯定感の低いHSPさんは、失敗すると激しく落ち込んでしまいます。

そんなとき、失敗で自分の価値が下がると考えていたら、それは大きな間違いです。失敗は、気づきと学びの機会。必要以上にネガティブになっては、せっかくのチャンスを生かすことができません。

世の中には、一度も失敗を経験せずに成功した人はいません。人は失敗をくり返しながら学び、成功にたどり着くからです。長い目で見れば、失敗は「成功の途中」といえるでしょう。また、失敗した人は、人に自分の経験を伝えることができます。あなたの失敗は、多くの人にも貴重な財産なのです。失敗から多くを学ぶために、失敗に対する考え方を変えましょう。

失敗を分解すると、自分の“ほめポイント”が見つかる

自分の思ったような結果が得られなかったとき、「どうしてダメだったのだろう」と考えると、失敗ばかりに意識が向いて、さらにネガティブになってしまいます。

まず、全体のプロセスをふり返り、1企画、2社内調整、3プレゼン、4商談、のように、細かく分解してみましょう。

そして、まずはうまくいったところに注目し、どこまで成功だったのかを評価します。

そうすれば、「ここは前回よりもよかった」と、自分の成長に気づくこともできます。

冷静になって心に余裕ができたら、うまくいかなかったところを考えましょう。周囲にも協力してもらうと、ひとりでふり返るより生産的な知見が得られるかもしれません。

ひとつの失敗からは、とても多くの学びが得られます。次に生かしていきましょう。

自己肯定感が低いと、「あの人みたいになれたらなぁ」と、いつも人と比べがちです。

そんな「ないものねだり」がクセになっているとしたら、「あるもの感謝」の発想に転換しましょう。たとえばいま、あなたの衣食住が満たされている環境は、多くの人の力で成立しているはず。また、あなたが「もっていて当たりまえ」と思っているものにあこがれている人も、たくさんいるでしょう。

なにが足りないかを考えるのではなく、自分がもっているものに気づき、感謝しましょう。

ありのままの自分を肯定できるようになります。

「がんばりすぎる」ことは人生のリスク

多くの人は、防災グッズや保険でリスクに備えていますが、人生には見落とされがちなリスクがあります。それは、「がんばりすぎる」ということです。

井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)
井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)

私たちは「がんばることはいいこと」と、教え込まれ、心にムチを当てて走り続けます。エネルギーには限界があるので、いつしか枯渇してしまいますが、それでもがんばり続け、心身ともに危険な状態になる人もいます。

そうならないために、どこかでスパッと割り切って、あきらめる勇気をもちましょう。「あきらめる」という決断は、いわば人生レベルでの重要なリスク管理なのです。

そもそも人の能力には個人差があり、誰にも得手不得手があります。仕事でのがんばりの先に必ず幸せが待っているわけではなく、がんばらなくても幸せな人はたくさんいます。

HSPさんは、周囲の評価にふりまわされて自分のことがおろそかになりがちですが、もっと自分を大切にしましょう。

とりかえしがつかなくなる前に、苦手なことは苦手だと認めて、ありのままの自分を優先してあげてください。

“繊細だからこそ”の強み

HSPさんは、他人に対して細やかな気配りをするだけでなく、相手から受ける恩恵にも敏感です。

井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)より
井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』(ナツメ社)より

HSPさんはけっして「やってもらって当たりまえ」とは思いません。どんなに小さな気配りにも気がつき、ありがたみを感じることができます。「ありがとうございます」という心のこもったHSPさんの一言は、周囲の人を一瞬で幸せにできるのです。人は、自分のことで頭がいっぱいになると感謝の気持ちを忘れがちです。店員さんが親切にしてくれても、「客なんだから親切にされるのは当たりまえ」と、傲慢な気持ちになることもあります。

敏感体質だからこそ、ピンとひらめく

「勘が鋭いね」と人から言われたことはありませんか。HSPさんは五感が敏感なだけでなく、「第六感」といわれるようなひらめきや直観力に優れています。といっても、スピリチュアルな話ではありません。人は、経験などで蓄積した情報をもとに物事や人の気持ちを判断していますが、HSPさんは感度のよいアンテナをもっていて、多くの情報を蓄積することができます。敏感なアンテナが反応するたびに豊富な情報を検索するので、人よりも多くのことに気づき、勘が鋭くなると考えられます。

つまりHSPさんは、五感が鋭いために直観力が鋭いわけです。

直観力は、仕事をするうえで大事な武器になります。とくに意識もせずに顧客ニーズを的確につかんだり、誰も気づかなかった業務のムラやムダを発見し、改善策を思いついたりします。

またHSPさんには本来、「物事を深く考察して本質を見抜く力」があり、深い考察力と直観力が組み合わさると“ピン!”とひらめくことがあります。

HSPさんが思いつくアイデアの鋭さに驚かされる人も多いでしょう。

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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