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マイクロガーデニング? ニューヨークで盆栽ブーム。

  • 2021.5.16
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文/長谷川安曇(在ニューヨークライター)

悲しいかな、ガーデニングとはあまり縁がないニューヨーク。ハンプトンやアップステートに別荘がある人は庭を持っているが、ふつうのアパートに住んでいるニューヨーカー(バックヤードがある人を除いて)にとって、そんなものは存在しない。それでも日常に緑がある生活を求めて、部屋に観葉植物を置いたり、ルーフトップに菜園を造ったり、少しスペースがある場合はいろいろ工夫をしている。

現在ニューヨーク・ボタニカル・ガーデンで公開中の草間彌生の展覧会「クサマ・コズミック・ネイチャー」が話題になっているのも、他都市に比べて緑やガーデンと触れ合いが少ないニューヨークだから人々の緑に対する欲求が人気を後押しているのかもしれない。何か大きなイベントがない限り、ニューヨーカーがいわゆる庭に足を踏み入れる機会はほとんどないと言っても過言ではない。

そんな背景もあり、最近ニューヨークでは、盆栽がブームになっている。スペースを取らない、「マイクロガーデニング」であれば、ニューヨークのアパートでもできるし、何より見た目がカッコいいと若い世代を中心に流行っている。

2019年にはブルックリンにモダンな盆栽ショップ、ダンディ・ファーマーがオープン。伝統的な盆栽として知られる松や梅ではなく、熱帯地方の低木として知られるフィリピン産のティーツリーや、アンブレラツリーと呼ばれる丸みを帯びた葉が特徴の北米産モクレン属の木といった、盆栽としては斬新なミニ植物がそろう。鉢も四角いものではなく、どんぐりの形を連想させる白地のセラミックが定番で、家のインテリアと調和させやすい。

「やり方があっているのかわからないけど、球体の形を目指して、ハサミをシャキシャキしている時が、心が落ち着いていいんだよ」と、友人が言う。最近では「ボンサイセラピー」なる言葉も定着してきている。南アフリカ共和国のズールー大学の主任講師、キャロル・ハーマンによると「盆栽はリラクゼーション効果を促し、メンタルヘルスを向上させる」そうだ。パンデミックで在宅時間が長くなった分、自宅に庭が欲しくなる。ニューヨークでモダンに解釈された盆栽は、寿司のように、この先定着していきそうだ。

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