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恋愛における「責任」って本当にとれるの?【ひとみしょうの余談ですみません】

  • 2021.4.24

「お腹の子どもはあなたの子なの。だから責任とって」というような少々重たい話から、「冷蔵庫のプリン食べた? わたしのだったのに。責任とって!」というライトな話まで、カップルにはなにかと「責任」がついてまわりますね。

そこで今回は、恋愛における責任って、本当にとれるの?ということについて、みなさんと一緒に見ていきたいと思います。

責任なんて取りようがないし取れない

責任って、恋愛においても仕事においても、なににおいても取れないものなのです、本当は。

よく世間では「責任をとれない行動はしないようにしましょう」なんて言われますが、責任をとれない行動とは「すべての行動」のことですから、つまり「すべての行動をしないようにしましょう」と言われているのです(本当は)。

だってそうでしょう?

冒頭に挙げた例でいえば、冷蔵庫に入れておいたプリンを彼氏が勝手に食べた、という行動に対して、彼氏が責任をとる、というのは、プリンをコンビニで買ってきて返すだけ、ではないですよね?

彼女がコンビニでプリンを買った、その時間と労力も、プリンとセットにして返却して、「まあまあ合格」ですよね?

それに加えて、本当は、冷蔵庫のなかにプリンの不在を発見して気落ちして荒れ狂った、その「時間」も、プリンとセットにして返却しなくてはいけません。その時間は、彼氏のせいで、実際に、「無駄」にしてしまったわけだから。

でも、時間を返却するというのは、誰にとっても無理です。できません。不可能です。「わたしのあの5分、返してよ」と言われても、返しようがないですし、そもそも何を返せばいいのか、わからないですよね。

だから、より厳密には、どのような小さなことにおいても、責任なんて、誰も取れっこないのです。

では恋愛における「責任問題」って、どう対処する?

恋愛における責任問題って、究極的には「時間を返してよ問題」です。

長く付き合った彼と、彼女は結婚するつもりでいた、結婚してくれるとばかり思っていた。しかし、ある日、彼が「別れよう」と言った。

「わたしの時間を返せ」

しかし、先にも述べたとおり、時間なんて誰も返せません。時間は過ぎ去ってゆくばかりで戻ってこないから。

では彼氏はどうすべきなのか?

とりあえず、謝りたおすしかないでしょう。ほかになにもできないはずです。彼女のために新しい、結婚向きの彼氏を用意する? そんな話、聞いたことがないですよね。というか、できないですよね。

彼女はどうすべきなのか?

一番理想的なのは、その彼のことをはやく忘れて、新しい生活をはじめ、その生活のなかで出会った結婚向きの男性と付き合って、すぐに結婚する、ということでしょう。

ということを読んでいて、虚しい気持ちになる人もいると思います。というか、たいていの人は虚しくなると思います。

カップルとか恋愛って、結局はそういうことなの?と思って。

カップルにおける責任問題

それもそのはず。責任って、結局は契約がベースになっているから、そう思ってしまうのです。

保険の契約とか、契約社会における契約みたいに、なんの情緒もない「言った言わない」を避けるための、あの無機質な世界……。

恋愛がそんなんじゃ嫌だと思いますよね。

ではどうすればいいのか?

ある程度は「自分も良くなかったのだ」と思うしかありません。

彼氏がうっかり冷蔵庫のプリンを食べてしまったのは、わたしがプリンに名前を書かなかったからだ、彼氏も愚かだけど、わたしも良くなかったのだ、と思うしかないでしょう。

というようなことを突き詰めていくと、カップルにおける責任って「半々」なのであり、どっちも良いし、どっちも良くないのです。(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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