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夫の浮気で妊娠10カ月のときに離婚、現夫と出会ったのは「再婚希望者限定」の婚活パーティーだった

  • 2021.4.24
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写真ACより

人生、何度でも、いくつになっても、やり直しができる。間違えても大丈夫、もう一度、立ち上がって生きていこう!――そんなメッセージを込めてお送りする連載「2回目だからこそのしあわせ〜わたしたちの再婚物語」では、失敗を糧にして「結婚」に再チャレンジし、幸せを手にしつつある人たちの物語を紹介していく。

妊娠中に結婚生活が破綻

沖田美加子さん(仮名・46歳)は、ぱっちりとした瞳が印象的で、「きれいなおねえさん」といった風情の女性だ。いまの夫とは、婚活パーティーで出会い、付き合い始めた。一緒に暮らして6年になる。当時12歳だった息子は、今年高校を卒業した。

「子どもを妊娠中に離婚してから、必死で子育てしてきました。ようやく息子が小学校に入学し、ほっと一息ついたとき、ふと『もう一度、男性とお付き合いしてみたいな』と思ったんです」

一度目の結婚は、妊娠10カ月のとき、夫から「好きな女ができたから別れてくれ」と言われて破綻した。

「『浮気してごめん』と謝ってくれたならまた違ったんでしょうけど、『別れてくれ』と言われてしまっては、どうしようもなくて……。本人としては『浮気じゃなくて本気だ』と。別居、出産、調停を経て、離婚届を出しました」

妊娠を機に仕事は辞めていたから、当時は専業主婦。貯金を取り崩しながら生活し、子どもが6カ月になった頃、介護の仕事を見つけて就職した。その後、資格を取得し、収入も上がって、気持ちに余裕が生まれた。それで母親としてだけではなく、女性としても生きてみたくなった。

「息子に聞いたんです。『お母さん、すてきな人がいたらお付き合いしてみようと思うんだけど、どうかな?』って。まだ小学校低学年ですから、無邪気に『いいよ』『弟とかできたらうれしいな』なんて言ってくれました」

再婚希望者限定の婚活パーティーに参加

とりあえず、婚活パーティーに参加してみた。普通の婚活パーティーにも行ってみたが、子持ちとわかると邪険にされるなど嫌な思いもしたので、再婚希望者限定のパーティーに的を絞った。何回目かのパーティーでカップリングしたのが、いまの夫だ。

「その日はお茶を飲んで帰りました。夫は私に『一目ぼれ』した、と。私は『いい人だな』と。2回目のデートではお昼ごはんを一緒に食べて、会話がとても楽しかったので、『次はいつにしましょうか』みたいな感じで、お付き合いが始まりました。私は息子がいて夜は出られないから、昼間のデート中心。4回目くらいのときに『お子さんも一緒に』と言ってくれたので、一緒にお台場に行きました」

その頃、子どもは小学4年生。「弟が欲しい」などと言ってくれていた無邪気な時期は過ぎていて、終始、むすっとしていた。

「それまでずっと2人っきりで生きてきたから、お母さんを取られるという焼きもちだったのかもしれません。夫が話しかけてもそっぽを向いて、私にばっかり『お母さん、お母さん』って」

それでも夫は諦めず、時間をかけて子どもとの関係を築こうとしてくれた。夫の猛プッシュで始まった交際だが、次第に美加子さんもその誠実な人柄と、ユーモアのある人間性に惹かれていった。

「元夫に手ひどい裏切られ方をしたから、とにかく誠実で安心できる人とお付き合いがしたかった。もともと私は恋愛体質というか、ドキドキハラハラする恋愛が好きだったのだけれど、もう相手に振り回されるのは嫌だな、と。いまの夫には落ち着いた愛情を感じていて、私自身、それがとても心地よかったんです」

毎週末、泊まりに来るといった形でお付き合いを続けて1年後、子どもの中学入学を機に、一緒に暮らすことにした。

「もちろん息子には確認し、承諾を得た上で、です。でも、『嫌だ』と断ることはできなかったと思うから、かわいそうなことをしたかなと思っています」

夫と子どもの距離が縮まったきっかけは高校受験

当初、夫と子どもとの関係はまだギクシャクしていたが、美加子さんが間に入って調整しながら、なんとか暮らしを立ててきた。家族らしくなったのは、子どもの高校受験がきっかけだ。

「反抗期もあって、息子の家の中での態度はあまり感じのいいものではなかったけれど、夫は息子のために高校の情報をいろいろ調べてくれたんです。『この学校は校風がよさそうだ』とか、『あの学校は最近、評判がいい』とか。そんな夫の姿を見て、息子もだんだん夫に心を開くようになりました。息子は夫のことを『ケイさん(仮名)』って名前の愛称で呼んでいて、私も夫を息子のお父さんにするつもりはなかったんですけど、一緒に暮らす家族としての信頼関係は、ここで築けたような気がします」

夫は、真面目でスポーツ好きな熱血漢。美加子さんは「松岡修造みたいな感じ」と笑う。

「けんかもしますけど、夫の悪いところってあんまり思いつかない。基本、彼が家のローンと光熱費、私が食費と息子関連――と別財布なので、それぞれのお金の使い方にはあまり口出ししていませんが、共同で買うものの出費の割合でもめることがあるくらい。お金以外でもめるのは、お風呂の温度とか。――こうやって考えてみると、あまり不満ってないですね」

いざというときに支えてくれる人がいる安心感

実はけんかをして、「別れる」と言いだすのは決まって夫。お金がらみで言い合いをしたときなど、美加子さんは深い意味があって言ったわけではなくても、夫は「人格を否定された」と怒る。そして、「どうせ美加子は、俺のことなんか好きじゃないんだろ」とすねる。「前の結婚でのトラウマがあるのかもしれませんね……」と、美加子さん。

「『もう別れる!』と夫が言うので、私が冷静に『こんな小さなことで別れていいの?』となだめて仲直り。その繰り返しで、ここまでやってきました。私、けっこう粘り強いんです(笑)」

さすがに最近、「別れる、別れない」をめぐるけんかはなくなった。

再婚してよかったのは、いざというときに支えてくれる人がいるという安心感が得られたことだ。数年前、美加子さんは仕事に悩み、心療内科に通うほど追い詰められていた。でも、それを「熱血漢」である夫には、なかなか打ち明けられずにいた。「甘えている」と、叱られてしまうのではないかと思っていたのだ。

「年に1回、夫婦で旅行に行くんですけど、そのとき思い切って話したんです。『弱い私を認めてもらえないんじゃないかと思って言えなかったけど、仕事がつらくて休んでいる。辞めようと思っている』って。そうしたら、思いがけなく『気づいてあげられなくて、ごめんな』と言ってくれて。ああ、つらいときは甘えて大丈夫なんだ、って、すごくほっとしました。直接、手助けしてもらえなかったとしても、そばにいてくれるだけで全然違う」

温かい家庭を手に入れて、それを日々慈しみながら、いま美加子さんは心おだやかに生きている。

「実はまだ籍は入れていなくて、事実婚なんです。息子が20歳になったら、私から逆プロポーズしようと思っています」

(上條まゆみ)

上條まゆみ

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