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「土日と連休を無くせば最強のコロナ対策になる」医師がそう断言するワケ

  • 2021.4.22
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ゴールデン・ウィークを前に、コロナの第4波が到来。今年もステイホーム週間となりそうです。年末年始に続いて連休が来るたびに叫ばれるステイホーム。医師で『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』の著書のある木村知先生は、「この際、大勢が国の定めた国民の休日に従って一斉に休みを取り、大移動するという『半ば常態化した異常事態』を見直すべきです」と指摘します――。

ゴールデンウィーク
※写真はイメージです
3度目の緊急事態宣言が視野に

3月21日に緊急事態宣言が全面解除されて以降、感染拡大に歯止めはかからず、4月5日に大阪府、兵庫県、宮城県、12日に東京都、京都府、沖縄県の3都府県にまん延防止等重点措置が適用されました。さらに20日には、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県の4県もこれに加わり、10日あまりの間に10都府県に重点措置が適用されるに至りました。期間はゴールデン・ウィーク(GW)後までのおよそ1カ月間です。2020年末から年始の帰省シーズンは国民の自粛まかせでしたが、さすがに変異株の流行拡大を目の前にして「Go To」をごり押しするわけにも行かなくなったのでしょう。第4波を頑なに認めようとしない菅政権ですが、現状はきわめて深刻です。3度目の緊急事態宣言さえ視野に入ってきました。

とはいえ、私たちにできることは、ステイホーム、同居している家族以外との食事(ランチ、お茶、夕食、飲み会)を控える、会話時はマスク着用、十分な手洗い手指消毒など、これまでと変わりません。ただし今回はこれに、まん延防止等重点措置の対象地域への不要不急の移動を避ける、を追加してください。

お互いの命を危険にさらすGWにならないように

皮肉なことに、気象庁の長期予報によると今年のGW期間は全国的に晴れの日が多く、うまく有休を使えば7連休から11連休、余裕がある人は最大16連休まで取得できるようです。この「超」大型連休を感染収束に向けて「家に閉じこもる」2週間にしたいところですが、昨年の年末年始と同じ轍を踏みかねない危うさがあります。

GW中は、例年通り街の診療所や公的医療機関が休診体制に入ることに加えて、今年は医療者と高齢者へのワクチン接種という業務が加わります。これらの負担が増えた医療機関へのアクセスは例年に増して難しい可能性があります。まして大学病院など基幹病院に「不急の手術」を延期するよう要請を出した大阪府をはじめとする感染拡大地域では、COVID-19重症患者でベッド数が不足し医療崩壊の瀬戸際にあるため、最悪の場合、救急搬送の受け入れ拒否という事態もあり得ます。お互いの命を危険にさらすGWにならないよう、気を引き締めて過ごしましょう。

「土日祝日に一斉に休む」を見直すべきときにきている

そしてこの際、大勢が「国の定めた国民の休日」に従って一斉に休みを取り、レミングよろしく大移動するという「半ば常態化した異常事態」を見直すべきです。

こう書くと、「学校の授業形態を変えないと無理」「子どもの休みに親が合わせないといけないことを忘れているのでは?」という声があがります。前回の記事「医師が提言、「土日祝日の廃止」がコロナ対策と働き方改革につながる最強策である」にも、そうした反響が寄せられました。

しかし、ちょっと立ち止まってみてください。本当にそうでしょうか。「今日は家族で過ごすので、学校を休ませます」「お母さんが会社を休むので休みます」では、なぜダメなのでしょうか?

先日、NHKのネットニュースで見つけたのですが、青森市と八戸市、弘前市の公立中学校では、今年度は「休まず頑張った」を表彰する皆勤賞を取りやめることにしたそうです。無理な登校による感染拡大を防ぐことがその理由で、NHKの取材によると、表彰を取りやめた学校の校長は「皆勤賞のために無理に登校して体調を崩したり、ほかの生徒に感染させるのを避けるため『生徒には申し訳ないと思いながらも』表彰を取りやめた」とコメントしています。

その一方で、表彰を続ける方針をとった学校の校長は「3年間休まないということは簡単ではないし、その努力を認めてあげたい。皆勤賞があることで、規則正しい生活を送るなど健康管理につながることも期待できる」と話しています。

かしわ餅
※写真はイメージです
「休まない努力」を讃える考えの根本にあるもの

後者の皆勤賞を賞賛する言葉には一理ありそうですが、この「休まない努力」を讃える考えの根本には、「休むことは悪である、サボりは、生産性を下げる行為である」という兵器の増産体制を支えるために“産業戦士”に「無欠勤」を奨励してきた戦時中の価値観がこびりついているように思えます。

物心がついた頃からこうした価値観を刷り込まれて育つと、「カゼでも絶対に休めない人へ」「24時間、戦えますか」といったキャッチコピーに煽られ、感染症に罹っても、発熱しても、出社しようとする大人に成長してしまうのではないでしょうか。

常々、取り上げている通り、季節性インフルエンザなど感染症の「陽性」「陰性」判定はグレーゾーンが広く、皆勤賞のために提出が求められる「陰性証明」は、必ずしも感染していないことを保証しません。会社員の場合は「検査が陰性なら、発熱していても会社に行ける(あるいは、無理をしてでも来い!)」が問題になりますが、子どもの場合は「陰性なのに休んでしまったら、皆勤賞が取れなくなってしまう」と親子でしょんぼりされてしまい、私たち医者もなにか悪いことをしたかのような気になってしまいます。

皆勤賞が日本から消え去る日

つまり、皆勤賞が存在することで、患者さんも私たちも診察・治療という医療とは全く異なる次元で大きなエネルギーを使わなくてはならないのです。皆勤賞がなくなれば、こうしたトラブルは解消されるでしょう。検査結果に関わらず、体調が悪いときはしっかり休ませることが感染症のまん延防止対策として基本的かつ重要なことであり、むしろ、子どもたちが「具合が悪いときは早めに身体を休め、回復を心がける」という、当たり前で現実的な健康管理を身につける機会になります。

幸いなことに、陰性証明ありきの皆勤賞のリスクは、今回のコロナ禍で広く知られる事実となりました。コロナ禍以前も、皆勤賞を取りやめる動きがなかったわけではありませんが、それはあくまでも学校単位の散発的なものでした。今回のように公立学校で同時に取りやめるという動きは、戦後初めてではないでしょうか。医療者として、また3人の子どもの父親として、皆勤賞が日本から消え去る日が待ち遠しいところです。

学校の都合に親が合わせる空気は消えていくはず

コロナ禍で学校の体制も大きく変化しようとしています。今後はオンライン授業や少人数学級、そして不登校の子どもに学習機会を提供するシステムが充実していくでしょう。オンライン授業が普通のカリキュラムになれば、不登校の子どもの選択肢を増やすことにもつながり、それこそ「学習の多様性」が拡がりそうです。

たとえば、その子のリズムや習熟度に合わせて週の3日は普通に学校に通い、残りは自由な時間に自宅学習で済ませるなど、柔軟な対応ができるようにもなるでしょう。学習の達成度は、一斉テストや課題提出などで確認できますよね。こうしたシステムが当たり前になれば「皆勤賞」や「学校の都合に親が合わせるべき」という“空気”はすぐに消えてしまうはずです。

役所や企業も土日祝日なし、365日いつでも休めるように

病院や役所、企業においても土日祝日を廃止し、各人が365日いつでも休める体制にすれば、医療や行政サービスの空白期間を解消できますし、休みを分散することで密を回避することが可能です。まずは役所から始めるのがよいでしょう。職員(公務員)の人数を増やして365日、行政サービスを提供し、順番で休みを取る交代勤務にするのです。

こう書くと、「365日働かされる」「有休さえとれないのに。ブラック企業を甘く見てはいけない」といった声があがります。でもそういう悪質な経営者が放置される仕組み自体がおかしいのですから、本来はそこに対しておかしいと声を上げるべきなのではないでしょうか。

無理な理由をあれこれ考えるのではなく、この機会を休日についてゼロベースで考える機会にしたいものです。

今年のGWはずらして休んでみる

GWの過ごし方に話しを戻すと、「今年のGWも巣ごもりをしているべきなのか」と問われれば、医者としては「そうです」と言わざるを得ません。しかし、2年続きの「巣ごもり」ではフラストレーションが溜まるばかりです。オンライン・ゲームやチャットで友達と交流できる中高生はともかく、学童や地域のイベントが縮小された小学生のお子さん達は可哀想ですね。

この場合も、GWだから有名な観光地やテーマパークに行かなくちゃ、という発想は一旦わきにおいて、まず「家族単位」、「人工的な密空間を避ける」、「屋外=自然」、「人の流れに逆行する」をキーワードにできることを探してみましょう。これを機会に家庭菜園を借りてみる、川釣りや自然散策を楽しむなど、工夫次第で密を避けながら楽しむ手はいくらでもあります。インドア派であれば家族と一緒に「ごっこ遊び」を楽しんだり、大きな地図を買ってきてバーチャルな冒険旅行計画を立てても面白いかもしれません。

どうしても観光地やテーマパークに行きたいときは、ここでも発想を変えてGWが終了した後の平日に家族の「遊休」をとってみませんか。近未来へ向けた試運転というわけです。「密」を避けながらリーズナブルに遊べますし、親と一緒に「普段は許されない、特別な1日」を味わうことで、子ども達のストレス解消にもなりそうです。

構成=井手ゆきえ

木村 知(きむら・とも)
医師
医学博士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。1968年、カナダ生まれ。2004年まで外科医として大学病院等に勤務後、大学組織を離れ、総合診療、在宅医療に従事。診療のかたわら、医療者ならではの視点で、時事・政治問題などについて論考を発信している。ウェブマガジンfoomiiで「ツイートDr.きむらともの時事放言」を連載中。著書に『医者とラーメン屋「本当に満足できる病院」の新常識』(文芸社)、『病気は社会が引き起こす――インフルエンザ大流行のワケ』(角川新書)がある。

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