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オンライン演劇「スーパーフラットライフ」終了。その物語を徹底レポート

  • 2021.4.13
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多視点オンライン演劇「スーパーフラットライフ」が4月3日(土)、4 日(日)の2日間に渡って行われた。俳優の秋元才加さん主演、結婚を通した多様な生き方の提案をテーマに挑んだ本作。オンライン公演ということで、視聴者はリアルタイムでコメントを投稿しながら、テーマについて一緒に考えることができた。その様子を交えながら、2時間に渡るストーリーをまるっと振り返る。

従来の結婚観に切り込みを入れた「スーパーフラットライフ」

今回フォーカスしたのは、わたしたち日本人の結婚観。時代の変化とともに結婚に対する価値観は変化している。「適齢期がきたら結婚しなければならない」という昭和時代の“当たり前”から、「なぜ、結婚するのか」と考える人も増え、世の中のムードも変わりつつある。近代の婚姻制度が成立したのは1898年のこと。経済や社会は目まぐるしく変わり生活様式も変化しているのに対して、肝心のルールが追いついていないのは否めない。そんな従来の価値観に切り込み、結婚に新しい選択肢を投げかけたのが本公演「スーパーフラットライフ」だ。

主人公は、秋元さん演じる保険会社勤務のエリ。30歳に差し掛かり結婚を意識し始めた、いわゆる“結婚適齢期”の女性である。物語は、そんなエリが同居人であり親友のトモコ(平田薫)と一緒に、いま流行りの婚活サイト「SUPER FLAT LIFE」に会員登録をしたことから動き出す。
会員登録の際にこのサイトで聞かれる質問は、一般的な婚活サイトと少し異なる(上記写真)。性に関する質問などにも赤裸々に回答しなければならなく、登録作業を行いながら思わず困惑する2人。そんななかエリは、ボタンの操作ミスによってサイトのカウンセリングを受けることになる。

そこで現れるのが婚活サイト「SUPER FLAT LIFE」の支配人を名乗る、アキラ(中山咲月)だ。アキラに導かれるまま、エリはさまざまな質問に答えていく。結婚相手に求める条件を聞かれる場面では、「年収1000万、ルックスは清潔感があって偉そうじゃない人、長男じゃない人」など、多くの条件を述べていた。これに対して視聴者のコメントには、「エリのように結婚の条件を自分で設定して、それに囚われていることは確かにあるよね」などと呟く声が見受けられた。

そして最後に聞かれたのは、「エリさんにとって、結婚ってなんですか?」という質問だった。その場で考え込むエリに対して、視聴者たちも「いままで、あまりちゃんと考えたことがなかった」「難しくて答えがパッと出てこない」などのリアクション。

エリが導き出した答えは、「結婚は生命維持装置」という実にリアリストな答えだった。「家族を持ってお互い支え合っていくために必要なシステム」と率直な意見を述べる。この極端に割り切ったエリの答えに、視聴者たちも共感している様子だった。

相性99%といわれて紹介された人は女性だった

アキラはAIを使ってエリの結婚条件にマッチする、相性99%の相手を紹介する。アキラから「今から会ってみたほうがいい」とゴリ押しされるままに、エリはその相手とZoomを介して対面することになる。

Zoomにアクセスするとそこで待っていたのはなんと女性だった。視聴者たちもこの展開に、「えっ!? 女」「これもありなのね!」とリアクションし、コメント欄が少々ざわついていた。

もちろんエリも、すかさずチャットでアキラに「なんで女性が出てくるのか」と確認する。アキラからは「弊社は相手の性別を問わず、マッチング率でお相手を選んでいるので」という返事のみだった。困惑しつつも、その女性、ゆりえに誘導されるように話を進めていくのだが、会話のキャッチボールをしていくうちに、自分が話した結婚の条件にゆりえがぴったり当てはまっていることに気づく。

続けてゆりえが述べたのは、「結婚って支え合って一緒に生きていくパートナー選びですよね。その相手が男の人か女の人かなんて関係ないですよ」というパワーワードだった。つまり、恋愛対象=結婚というわけではなく、一緒に居て心地いいと感じる人であれば、男女問わず結婚するのはありだということだ。

ゆりえから衝撃的な意見をいわれ、すぐに受け入れられない様子のエリ。一方で、視聴者の反応は意外にもフラットで、「新しいけれど、ありかも」「共感できる」などの意見がコメント欄に殺到した。

あなたにとって普通の結婚ってなんですか?

ゆりえとのZoomを終えたエリは、同居人のトモコを呼んで、ゆりえとの一連の会話について報告する。そしてこんな変なサイトは懲り懲りで、登録を解除したいとトモコに切り出す。好奇心旺盛なトモコは、「楽しそうじゃん」とエリを引き留めて、ちょうど開催中の婚活サイト主催のオンライン合コンに無理やり一緒に参加させる。

そこで出会うのが、トランスベスタイトのコジロウ、性転換をしたユウタ、契約結婚を希望するダイキ、別居婚を望むハルなど、個性豊かな面々だ。さまざまな価値観を持つ人々と交流していくなかで、なんとエリは元彼だったマモル(池田直人)と鉢あわせする。別れたばかりのふたり……。いきなり修羅場の展開となり、エリはチャットをオフにし、オンライン合コンの場から逃げてしまう。視聴者たちも、「気持ちが分かる」とエリに同情するリアクションが多かった。

別れたはずのマモルとオンライン合コンの現場で鉢合わせをし、ブルーなムードのエリ。管理人のアキラに婚活サイトを退会したいと相談する。するとアキラから、先ほどのオンライン合コンのなかにAI診断で相性80%の人が2名、そのうち1人は100%の相手がいたことを告げられる。反論するエリに対して「“普通”の結婚ってなんですか?」と投げかけるアキラ。コメント上にも、「改めて考えると普通が何か分からない」「普通はみんな違うもんね」「人によるから定義付けできない」などの意見が飛び交う。

続けて、エリがアキラから見せられたのは、上の写真のように何やら意味深な映像だった。それはまるで未来の出来事を映しているように、エリとトモコが誰かのこどもをかわいがっている内容。それを見て余計に自分の“普通”が分からなくなるエリだった。

愛情は恋がないと生まれないものなのか

多様な価値観を持つ人々との出会いやアキラからの問いかけにより、自分の結婚観が揺らぐエリ。後日、アキラにお願いし、再び、相性99%の女性、ゆりえとZoom上で会うことになる。そこで、ゆりえとの議題に上がったのは、「恋愛結婚の幻想と不可能性について」だった。ゆりえのプレゼンテーションによって、「愛情は恋がないと生まれないものなのか」という結婚の本質を突きつけられる。ゆりえの持論は、恋は恋、愛は愛で全くの別もの。自分の結婚観を覆すような話をされ、ますますジレンマに陥るエリだった。

たくさんある「好き」の種類。結婚はどれに当てはまるのか

右往左往しながらエリが出した結論は、元彼のマモルと寄りを戻したいということ。その理由も「マモルとだったら、“普通”の男女の結婚をしてみんなから祝福してもらえるから」というものだった。そんなことを考えていた矢先、エリの携帯にマモルから電話がかかってくる。マモルもエリと同様に「やり直したい」という意思があり、2人は急遽会うことになった。

エリの家に来たマモルは何やら落ち着かない様子。「やり直したい」という前向きな話をするはずだったのに、すごくシリアスなムードだ。視聴者も「マモルどうした」「何か言いたそう」など挙動不審な様子を勘ぐる。

マモルはエリと別れた本当の理由を話し出す。マモルの告白は、自分がゲイだということだった。男性にしか性的魅力を感じない。しかし、エリに対しては特別な愛情を持っていた。だからエリとやり直して一緒にいたいけれど、その場合セックスは必ずしも必要かという問いかけだった。いきなりそんなことを投げかけられ、脳が処理しきれないエリ。混乱したままマモルには帰ってもらう。

このシーンを見て、「苦しくなってきた」「マモルの優しい眼差しが切ない」「告白した勇気がすごいよ」などのコメントが殺到。確かに「好き」の種類にもいろいろある。性愛としての好き、恋愛としての好き、友情としての好き。もし自分が結婚するとしたら、その好きはどれに当てはまるのだろうか。視聴者に対しても、そんな問いを投げかける重要な場面だった。

恋愛と結婚、愛は異なるものなのか。エリの結末は……

そして場面は変わり、エリはアキラと再び対面する。エリ自身、かねてからずっと気付いていながらも認められずにいた、マモルとのこどもがお腹に宿っていたことを告白する。急展開に視聴者たちも「まじか」「複雑」「どうするんだ、エリ」などと驚く様子だった。

後日、マモルに2人のこどもができたことを伝えるエリ。マモルは困惑するというより、エリをひとりで悩ませていたことを申し訳なさそうにしていた。そして「僕たち結婚しよう。エリが産んでくれるんだったら父親になりたい」とエリに懇願する。「エリのことを性的に見られなくても、エリとお腹のこどもを“家族”と見ることはできる」と強く述べた。2人の役者の熱演により、視聴者たちも「泣いてしまった」「秋元さん本当に泣いている!」などのコメントが殺到した。

そしてシーンはクライマックスへ突入。アキラとエリのラストシーンだ。エリは確信をついたように、「以前アキラに見せてもらった映像に映っていたこどもはアキラなのか」と聞く。つまりアキラは、未来から来ていて、やがてエリが産むことになるこどもだった。

そして場面は変わり、エリはこの場にトモコとマモルを呼び、マモルとのこどもを、3人で育ててみたいという、“スーパーフラット”な提案をしてエンディングを迎える。

エンドロールでは、後の3人のライフスタイルを想起させる年表のスライドショーが流れる。どれも3人がパートナーとなりアキラを育てるという新しい結婚のカタチだ。ひとことで「3人で」といっても、そのカタチにもいろいろある。そんなことを視聴者も気づく瞬間だった。

さらに、上演後にはマモルを演じた池田さん(一夜目)、エリ役の秋元さん(二夜目)がオンライントークショーに登場。「スーパーフラットライフ」という作品に対しての印象を今回の総合演出・脚本を担当した島崎昭光を交えてディスカッションをした。主演の秋元さんは「エリとして考えたとき、秋元才加として考えたときと違った視点で、気づきと発見があった」と述べた。

結婚を起点とし、人それぞれ違う“普通”について説いた「スーパーフラットライフ」。結婚ってなんだろう、“普通”であることとは、と日本の結婚観に新しいテーゼを投げかけた。さらに、そのメッセージをより深みのある言葉にして伝えることができたのは、豪華キャスト陣の二夜に渡る好演のおかげでもある。視聴者からもSNSを中心に反響の声をいただき、Harumari TOKYOとしてスーパーフラットな価値観を提示する第一歩となった。

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