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コロナ禍で、パリの次世代ホテルに見るカルチャー愛。

  • 2021.4.9
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いまのパリで注目の出来事を、パリ支局長の髙田昌枝がリポート。「Essentielではない」という理由で美術館、映画館など文化施設の閉鎖が続く中、パリジャンたちの関心は、宿泊だけでなくカルチャーを楽しめるホテルへと……。

文化は必要不可欠、そのマインドは新しいホテルにも。

シネマもテアトルも、ミュゼもないパリなんて! カルチャーは人間にとって必要不可欠か否か。コロナ禍のパリで、Essentielという言葉が特別な響きを持ち始めた。2020年春のロックダウンで、政府が「Non Essentielな場所はすべて閉鎖」と発表して以来、Essentielとは? という議論がメディアを賑わせることになったのだ。その主役は、3度のロックダウンを経て閉鎖が続くカルチャー界だ。

食料品店以外の店舗が軒並み閉鎖となった昨春は、さっそく「書店が必要不可欠ではないなんて!」の声が上がった。3度目のロックダウンに見舞われ、いまも扉を開けられずにいるのが文化施設。昨年の上映ポスターが貼られたままの映画館では「必要不可欠ではないゆえ閉館中」と自虐的な張り紙をしているところもある。美術館のデジタルコンテンツや劇場のオンライン公演はプログラムを増やし、公共放送局は、100%カルチャーに捧げた期間限定チャンネル「カルチャーボックス」も新設した。南仏ペルピニャン市は、美術館の再開を宣言して話題になったが、結局閉鎖に。スペインやイタリアで文化施設が一部再オープンしたこともあり、再開を求める声は高まるばかりだ。3月12日に行われたセザール賞授賞式も、カルチャーの再開を求めるスピーチに埋め尽くされた。この1年でたった4カ月しかオープンできなかったカルチャー界は悲鳴をあげている。そして、カルチャーを失ったパリジャンも。

だからというわけではないのだろうが、ホテルやAirbnbの不振を横目に、カルチャーをテーマにした宿泊施設が話題だ。コレクターの家をイメージし、アート作品に囲まれたレンタルハウスで過ごす一日。アーティストレジデンスがあり、ワークショップも行う郊外のホテル。映画好きには、客室やスイートルームでプライベートプロジェクションが楽しめるホテルも。新たなステイの形が、夜間外出禁止でアフターワークの楽しみを奪われたパリジャンの心を潤している。

Ambroise

20世紀の有名画商の家をイメージした「アンブロワーズ」。現代アートとデザインに囲まれたレンタルハウスは、マレ地区とサンジェルマンに。2021年中に、モンマルトルとプロヴァンス地方にもオープン予定。写真はマレの家。

Ambroisetel:07 87 02 00 89マレ:30㎡ 2ベッドルーム500ユーロ~(2泊より)サンジェルマン:170㎡ 3ベッドルーム700ユーロ~(2泊より)www.ambroise-collection.com

La Folie Barbizon

19世紀にミレーらの画家が集ったバルビゾン。「ラ・フォリ・バルビゾン」は、パリのクラブシーンを牽引するリオネル・ベンスムンによる最新アドレスだ。アーティストレジデンスからスタートし、昨春、宿泊施設としてオープン。館内にはアーティストの作品が飾られ、制作中のアーティストとの交流も。

La Folie Barbizon5, Grande Rue 77630 Barbizontel:01 64 38 54 92ダブル100ユーロ~、スイート150ユーロ~www.lafoliebarbizon.com

Hotel Paradiso

客室で幅2.5mのスクリーンでプロジェクションが楽しめる「ホテル・パラディソ」。宿泊は1階の映画館での上映チケット付き。ルーフトップは屋外シアターになる。

Hotel Paradiso135, boulevard Diderot 75012tel:01 88 59 20 01ダブル100ユーロ~www.mk2hotelparadiso.com

*「フィガロジャポン」2021年5月号より抜粋

●1ユーロ=約129円(2021年3月現在)

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