G’s FILM REVIEW コロナ禍自粛中のアメリカで、圧倒的な支持を得たラブコメ『パーム・スプリングス』etc.

4月のエンタメをレビュー！GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。

『ミナリ』

1980年代、アメリカン・ドリームを胸に、韓国から農場へとやってきた家族が通ってきた道を、移民によって建国されながらも分断が進む現代のアメリカ、そして私たちに向け、ノスタルジーに浸らせ過ぎることなく映し出す。「A24」と「PLAN B」のタッグで送る、韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン監督、スティーヴン・ユアン主演作品。『ユン食堂』のユン・ヨジョンによる、最上級にチャーミングなおばあちゃんに出会えて幸せ。
TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中。
©2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

『ノマドランド』

キャンピングカーで労働現場を渡り歩く、高齢のノマド生活者たちを追ったジェシカ・ブルーダーのノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』が原作。実在する車上生活者の中に、フランシス・マクドーマンドが身を投じ、中国出身でアメリカ在住のクロエ・ジャオが監督した。資本主義社会から落とされたにせよ、抜け出したにせよ、誇りを持って生きるノマドの孤独な旅は、厳しくも壮大な大地に支えられ、自由な美しさを湛える。
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中。
©2020 20th Century Studios. All rights reserved.

『パーム・スプリングス』

昨日も明日も今日の繰り返し……と多くが思っていただろうコロナ禍自粛中のアメリカで、圧倒的な支持を得たラブコメ。妹の結婚式の祝福ムードになじめないサラ（クリスティン・ミリオティ）と、花嫁の友人の恋人として同伴していたナイルズ（アンディ・サムバーグ）が、結婚式当日のタイムループにはまってしまう。1人でも別に平気でも、平凡な日常が少しでも楽しくなったり幸せな瞬間があったりするのは、自分以外の誰かがいるからなのだ。
4月9日（金）より新宿ピカデリーほか全国公開。
©2020 PS FILM PRODUCTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

GINZA2021年4月号掲載