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時代の犠牲になってきた、女性の奮闘を描き出す。

  • 2021.3.30
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同性愛者役に体当たりで挑戦した、限りなく美しい若き演技派。

シアーシャ・ローナン|俳優

13歳にして『つぐない』(2007年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされて以降、26歳の若さで4度のアカデミー賞ノミネートを経験しているシアーシャ・ローナン。常に新しい世界を開拓し続ける彼女の新作『アンモナイトの目覚め』は、19世紀初頭イギリスを舞台にした女性同士のラブストーリー。ローナンは、孤独な古生物学者メアリーと出会ったことで生きる希望を見いだす、若い妻シャーロットを演じている。

「直前に撮った『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』と同じ時代が舞台なの。ジョーは自分の好きなことをやって言いたいことを言う自由な女性だけど、シャーロットは真逆。個人的には、そこが非常にチャレンジングだった」

イギリス南西部の海辺の町で暮らすメアリーは古生物学者として一目置かれる存在だが、土産物用のアンモナイトで生計を立てる日々。ある日、裕福な化石収集家に依頼され、流産のショックから立ち直れない妻シャーロットを預かる。やがてふたりに親密な感情が生まれるが……。『アンモナイトの目覚め』は、4月9日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。

時代に虐げられた、女性たちに共感して。

正反対の女性の生きざまを対比させる本作は、時代劇ながら現代女性にも生き方を問うフェミニズム映画であり、女性同士の連帯を描くシスターフッド映画としての評価も高い。

「シャーロットは、時代の犠牲者。彼女はそれまでの生活をつまらなく感じていたはず。私自身はいままであまり女の子っぽい役柄を演じることがなかったから、彼女を演じることで多くのものを学んだけれど」

いっぽうで、ウィンスレットが演じたメアリーには共感したという。

「19世紀は、女性にとって生きづらい時代だった。そんな中で奮闘してきたメアリーからはインスピレーションをもらったの。彼女が発掘した化石は男性の名前で発表されたし、偉大な功績を残したにもかかわらず、名前が記された記録はあまり残っていない。男性にも時代にも虐げられた人だけど、仕事を辞めることはなかった。踏みつけられながらも愛する仕事をずっと続けたことは、どの時代の女性にも励みになると思う。私も幼い頃から演技を始め、この仕事以外を知らないけれど、彼女の仕事に対する姿勢には共感できる」

互いを癒やし合うふたりが美しいが、赤裸々なラブシーンも話題だ。

「セックスシーンに関しては脚本に具体的な記述がなく、フランシス・リー監督は私とケイトにすべてを任せてくれた。自分たちで何をしたいか話し合い、動きをメモして準備したの。これまで異性なり同性なりのセックスシーンを演じた時は動きも決められていたから、こんなに自由に演じられたのは初めて。自分で成し遂げたという達成感があったわ」

若き演技派は、女性の躍進が目覚ましい映画界において、しなやかに成長しているようだ。

シアーシャ・ローナン/Saoirse Ronan1994年、ニューヨーク生まれ。『レディ・バード』(2017年)など、グレタ・ガーウィグ監督のミューズとしても知られる。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19年)では、4度目のオスカー候補となった。

*「フィガロジャポン」2021年5月号より抜粋

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