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転勤に退職…ペアローンで住宅購入した夫婦を襲った想定外の事態とは?

  • 2021.3.30
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生涯でもっとも高額な買い物の1つとされる、不動産。共働き世帯の場合、夫婦2人でローンを組むという場合も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、ペアローンでマイホームを購入した筆者知人のお話。次から次へと予想外な出来事に見舞われた夫婦の話をもとに、ローンを組むときに気をつけたいことについて考えていきます。

▼Fさん夫婦プロフィール
・夫32歳 会社員
・妻31歳 会社員
・子供4歳

夢のマイホーム購入!共働きでローン返済も楽観

結婚2年目でマイホームを購入したFさん夫婦。当時は子供もおらず、妻も正社員で働き続ける予定だったため、マイホーム購入時には夫婦2人の収入を合わせてローンの審査を受けたそうです。

共働き世帯では、Fさんのように夫婦2人で住宅ローンを組むというケースも多いもの。ここでは、夫婦2人でローンを組む際によく比較される「ペアローン」と「収入合算」の違いについておさらいしておきましょう。

「ペアローン」と「収入合算」の違い

表:筆者作成

住宅ローンで2人の収入を合わせると、借入額を増やせるというメリットがあります。
Fさん夫婦は、ローン契約時の手数料は2倍になるものの、もしものときにローン返済の免除などが可能となる「団体信用生命保険」への加入や、税金の支払いが軽くなる「住宅ローン控除」が夫婦それぞれで対象となるペアローンを選択。翌年には子どもが生まれ、家族3人でマイホームでの暮らしを満喫していたそうです。

予想外の事態が次々発生!ローン返済はどうなる?

夢のマイホームで子育てを楽しんでいたFさん夫婦でしたが、次々に予想外の事態に見舞われてしまいます。

予想外の事態1:産休育休で妻の収入減!

ローン契約後まもなく、産休育休を取得した妻。当初は、産後6か月ほどで職場復帰する予定だったそうです。ところが、Fさんの住む地域は、Fさんと同じように共働きの子育て世代が多数暮らす保育園激戦区。ただでさえ定員の少ない0歳児クラスは、常に満杯の状態でした。

予定していた産後6か月での復帰はおろか、子供が1歳になっても待機児童のまま。妻の貴重な収入源だった育児休業給付金も、育休開始6か月以降は支給率が引き下げられてしまい、家計を圧迫し始めていました。

予想外の事態2:会社の状況が急変し、夫が転勤!

妻が職場復帰できず先行きに不安を抱えていたころ、夫にも大きな変化が訪れます。夫の勤め先は転勤の可能性がほぼない会社だったものの、妻の育休中に親会社に吸収合併されることになり、転勤しなければならなくなったのです。

買ったばかりのマイホームを空き家にしたくない思いと、妻の職場復帰のことを考えると、単身赴任せざるを得ないという結論を出したFさん夫婦。生活拠点が2か所となったことで生活費が増え、ますます支出は増えていったそうです。

予定外の事態3:ワンオペでの育児と仕事の両立が限界に…妻の退職

夫の単身赴任開始と同時期に、ようやく仕事に復帰できることになった妻。夫のいないマイホームで子供を育てながら、慣れない保育園通いに仕事にと奮闘していました。もともと体力には自信があった妻ですが、半年ほど経過した頃、ついに体調を崩してしまいます。

まだ幼く、体調を崩しやすかった我が子。保育園からの急なお迎え要請がかかることも少なくなく、そのたびに会社を休まざるを得ませんでした。病児保育も空きがないことが多々あり、月の半分ほど休んでしまうということもありました。思うように進まない仕事に歯がゆい思いをする一方で、幼い我が子に無理をさせているのではないかと思い悩む日々。ワンオペでの育児と仕事の両立に、限界を感じたそうです。

ひとまず、休暇をとって体調が回復するのを待った妻。夫も週末のたびに帰宅し、できる限りサポートをしましたが、根本的な解決には至りませんでした。夫婦でよく話し合った末、妻は退職することを決意。しばらく専業主婦として暮らしながら、心身ともに回復することを第一に優先したのでした。

マイホームを手放すしかないの?夫婦が下した決断とは

妻が退職してしまい、大きな収入源を失ってしまったFさん夫婦。月々の住宅ローンの返済も厳しい状況に追い込まれてしまいましたが、このままマイホームを手放すしかないのでしょうか?

もちろん、何度となくマイホームを手放すことを検討したというFさん夫婦。しかし、今マイホームを売りに出したとしても、ローンを完済できるほどの売り値にはならないのが現実でした。
仮にマイホームを手放して賃貸に住み替えたとしても、手放したマイホームの住宅ローンの返済にプラスして、賃貸家賃の支払いが必要となります。今の状況では、マイホームを手放すことが必ずしも正解ではないという結論に至りました。

そこで、ついに親に相談したFさん夫婦。ご両親からお金を借り、何とか滞りなくローンを返済し続けることができました。親子間でお金の貸し借りや贈与をする場合、贈与税がかかる場合もあります。Fさんは贈与税がかからない110万円以内に借入金額を抑え、必ず返すことも約束しました。

こうしてピンチをしのぎ、休養していた妻の体調も徐々に回復してきたそうです。子供が3歳になるのを機に幼稚園に入園しなおし、現在はパートとして仕事に復帰。正社員の頃と比べるとやはり収入は減ったものの、無理のない範囲で育児と仕事を両立させながら、何とか自力でローンを返済できるようになったそうです。

ローン契約時に気をつけておきたいこと

両親の力を借りて何とか急場をしのいだFさん夫婦ですが、このような窮地に陥らないためには、何に気をつければよかったのでしょうか?ここでは、ローン契約時にぜひ気をつけておきたいポイントを見ていきます。

自分の収入に見合った借入金額を設定する

住宅ローンを組むときは、自分の収入で借りられる最大金額を借りる必要はありません。借りられる金額=返せる金額ではないからです。一般的には、年収の25%以内に住宅ローンの返済額を抑えたほうがいいと言われています。夫婦の収入を合わせると、確かに借入金額は大きくなりますが、それが自分たちの身の丈に合った金額かどうかも、しっかり見極めることが大切です。

「生活予備費」を用意できる金額を考える

「生活予備費」とは、予想外の事態が発生して収入源がなくなったとしても暮らしていけるために、備えておくお金のことです。会社員なら生活費の3~6か月分、自営業なら1年分ぐらいの備えがあれば安心とされています。

まずは、住宅ローンの頭金に手持ちの貯金をつぎ込んでしまい、生活予備費ゼロ!という事態は避けましょう。そして、返済プランを考えるときも、月々の手取りから貯金に回すお金を差し引いても返済可能かどうかを考えてみてくださいね。

想定外の事態にも対応できる準備を!住宅ローンの見極めは慎重に

夫婦2人で住宅ローンを組むと、1人でローンを組むときよりも、借入金額を増やすことができます。しかしそれは、返していく金額も1人のときより大きくなるということを、きちんと理解しておかないといかせません。

契約時には、無理のない計画が不可欠です。多くのメリットがあるペアローンですが、人生には想定外の事態がつきもの。夫婦どちらかが働けなくなっても生活の基盤を守れるよう、自分たちに見合った額のマイホームを見つけたいものですね。

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