1. トップ
  2. 菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」最終話。ラブコメディじゃなかったのか!思いがけないタイトル回収

菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」最終話。ラブコメディじゃなかったのか!思いがけないタイトル回収

  • 2021.3.24
  • 4303 views

「私、行かない」

最終話は冒頭から碧(菅野美穂)に追い風ががんがん吹く。
映画化された過去作は重版され、新作「真夏の空は、夢」も好調ですっかりスランプを脱している。一ノ瀬風雅(豊川悦司)には沖縄への移住を、漱石(川上洋平)にはニューヨーク行きを誘われる。とりあえず浮かれる碧はどちらに決めても空(浜辺美波)が一緒に行くことを疑わない。けれど、空はキッパリと「私、行かない」と言い切る。碧は
「今のはナシ!毒親発言だ。子供はいつか親から離れていくものだ」
と自分に言い聞かせるが、浮かれは影をひそめ、「でも、英語喋れないしなあ」「沖縄じゃサンローラン着てても浮くだろうなぁ」と行きたくない理由を挙げ始める。碧にとって重要なのは、場所や恋の相手ではなく空の存在のようだ。

タイトルの意味が!

碧がどこかへ行ってしまうのは応援しているようにも見える空も、自分にとっての大切なものには気付く。
空が「恋愛をする」と宣言するところから始まったこのドラマだけれど、「恋人」だったはずの渉先生に「空ちゃんの気持ちここにないの見て見ぬふりしてた」と入野光(岡田健史)との関係を指して問われた空の結論は
「私 恋とかよく分からないかもしれない」
なのだ。大切で繊細な関係に無理に理由をつけずに肯定し、ドラマ自体のタイトルが思いもよらなかった意味を持ってくる。このドラマは最初からちっともラブコメディではなかった。実は血の繋がっていなかった碧と空、一緒に漫画を描くことで繋がった空と光。ゆっくりと一緒に居ることでしか築き上げられない関係性の話だ。

朝日新聞telling,(テリング)

ずっと寄り添ってきたゴンちゃん

碧に未練があるように見える一ノ瀬だが、実はすべてわかっているようにも見える。最後まで食えない男だ。一ノ瀬は碧を沖縄に誘うが、ゴンちゃん(沢村一樹)を挑発して「この町から出てけ!」「あいつらは 俺が守る!」と言わせる。ゴンちゃんも「この町」も碧と空にずっと寄り添ってきたのだ。

一ノ瀬も、そして漱石も、自分が選ばれないことを知っている。
碧も空に言われてそのことに気づくけれど、自分の中の「茨の道を歩く3つの小さい女の子」から空のにとっての茨の道を思い浮かべる。空が自分の足で歩いていることは分かった上で
「もう少し……見守ってたいです」
と自覚する。

空と光の漫画が努力賞に入選し、碧は以前空が踊った「喜びの舞」を二人に返す。二人はまた踊りで返礼する。一話目では親娘二人だけの夢の城に見えた白い部屋は、光の存在で未来への風通しがよくなったようだ。

朝日新聞telling,(テリング)

■オカヤイヅミのプロフィール
漫画家・イラストレーター。著書に『ものするひと』『いのまま 』など。趣味は自炊。

元記事で読む
の記事をもっとみる