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芸能人にも多し! 甲状腺のホルモン異常「バセドウ病」の症状と治療法

  • 2015.6.15
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【女性からのご相談】

この前、バセドウ病という病気を耳にしました。芸能人でもかかっている人がいるとのことですが、どのような症状があるのでしょうか。教えてください。

●A. 『バセドウ病』は若い女性に多い病気ですが、治療すれば比較的予後は良好です。

こんにちは、スチューデントドクターのひでくらてすです。ご相談ありがとうございます。

ヒトは咽頭に甲状腺という臓器を持ち、そこから“甲状腺ホルモン”という、生きていく上で欠かせないホルモンが分泌されています。バセドウ病はその甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。今回はバセドウ病についてお話しします。

●『バセドウ病』ってどんな病気?

バセドウ病は、甲状腺に対する自己抗体により甲状腺ホルモンの分泌が亢進(こうしん)する病気です。20〜40歳代の女性に多くみられます。“バセドウ”は19世紀にこの病気を発見した医師の名前でですが、もう1人の発見者にちなんで、“グレーブス病”と呼ばれることもあります。

バセドウ病のように甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患を“甲状腺機能亢進症”と言いますが、甲状腺機能亢進症のうち、最も割合が高いのがバセドウ病です。

●『バセドウ病』の症状は?

バセドウ病の症状には以下のようなものがあります。

(1)びまん性甲状腺腫

(2)眼球突出

(3)頻脈

(4)体重減少

(5)多汗

(6)動悸

(7)息切れ

(8)振戦(手の震え)

これらは甲状腺ホルモンの中毒症状としてみられます。さまざまな症状がみられることからも甲状腺ホルモンの作用が多岐に渡ることがうかがえます。特に(1)〜(3)の症状はバセドウ病に特徴的と言われています。

また、(1)の“びまん性甲状腺腫”は、

・甲状腺の肥大が見た目でも分かる

・触ると弾力がある

・痛みがない

などの特徴が、他の甲状腺疾患と鑑別する上で重要となります。

●治療方法は2つ

バセドウ病の治療はまず抗甲状腺薬による薬物治療を行い、薬物治療が効かない場合や副作用の影響などで抗甲状腺薬が使用できない場合は手術を行います。

●薬物療法

薬物治療は、外来で治療できること、ほとんどのバセドウ病患者に適用できることなどが利点です。

しかし、病気が治りきらず、長期間薬の服用を行わなければならないケースが多いことは欠点だと言えます。また、薬の副作用として“無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)”という白血球が減少するケースがあり、この場合、感染症が重篤化してしまいます。

●手術療法

手術療法は確実性があり、効果は高いのですが、手術時に神経を傷つけることで声が枯れてしまう“嗄声(させい)”や、甲状腺の機能そのものが低下するため逆に甲状腺ホルモンの投薬が必要になる場合があります。また、バセドウ病を合併した妊娠は、妊娠初期や出産後にバセドウ病が悪化する場合があり注意が必要です。

バセドウ病は的確な治療を行えば比較的予後が良好な疾患です。ですが、放置した場合は死に至る危険性もあります。心当たりがある方は早めの受診をおすすめします。

【参考リンク】

・バセドウ病(Graves病) | 日本小児内分泌学会

●ライター/ひでくらてす(スチューデントドクター)

関東の某大学医学部在籍中。映像制作や広告などの社会人経験を経た後、突然「医者になる」と路線変更を宣言。同僚や家族を驚かせる。現在は大学病院で実習中。

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