1. トップ
  2. 企業の姿勢に疑問も?折り込みチラシやCMの「注釈」、なぜ小さい?

企業の姿勢に疑問も?折り込みチラシやCMの「注釈」、なぜ小さい?

  • 2021.3.15
  • 149 views
広告の「注釈」はなぜ小さい?
広告の「注釈」はなぜ小さい?

新聞広告や折り込みチラシ、テレビCMを見ているとき、小さく表示されている「注釈」を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。例えば、商品のよさを訴える人の写真のそばに「※個人の感想です」と小さく書いてあったり、商品の性能の優位性を訴える言葉のそばに「※当社従来品と比べて」と小さく表示していたりするケースです。

商品のよさや優位性は目立つように大きく書くのに、消費者が知るべき注釈を小さく表示していると、大切なことを消費者に知らせようという意識がないように見え、企業の姿勢に疑問を感じます。なぜ、新聞広告やチラシ、CMの注釈は小さい文字で読みにくいのでしょうか。消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。

広告としての訴求力を維持

Q.なぜ、新聞広告や折り込みチラシ、テレビCMの注釈は小さい文字で読みにくいのでしょうか。

池見さん「大きく、記載するスペースと広告イメージの2つの理由があります。広告の基本として、伝えたい内容が読み手に一目で伝わることが重要です。そのため、キャッチコピーや商品の画像、商品・サービスの訴求内容などのスペースは必然的に大きく割り当てられます。一方で、細かい説明はじっくり読まないといけないため、宣伝効果上、注釈は少ないスペースになりがちです。

また、『全品半額キャンペーン!!!』とアピールしつつ、もし、同じ大きさの文字で『ただし、○○と××、△△は対象外』と注釈を入れると、お得なイメージがかなり弱まってしまいます。広告としての訴求力は高く維持しつつ、注釈も入れないといけないとなると、どうしても小さな文字になってしまう傾向があります」

Q.小さい文字だと、企業側(広告主)にとって都合が悪いことのようにも思えます。都合が悪いのであれば、無理に表示しなければよいと思うのですが、それはできないのでしょうか。

池見さん「本来は、どのような注釈でも消費者に一目で分かるように表示すべきです。この問題を考える上でぜひ知っておきたいのは、消費者基本法の考え方です。同法2条の基本理念では『消費者の8つの権利』が定義されており、その中の一つに、消費者が商品・サービスを選ぶとき、企業から、正しく適切な情報を知ることができる『知らされる権利』が明示されています。

また、5条の『事業者の責務』では、企業が『消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること』と定められています。さらに、消費者契約法3条でも、企業は『消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、(中略)消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること』と決められています。

このように、企業は販売の妨げになるようなネガティブな内容であっても、情報をきちんと伝える義務があります。そして、広告の『小さい文字』の注釈は消費者からすると、商品・サービスの『重要事項』の説明といえます。消費者から選ばれる持続可能な企業になるためには、むしろ、注釈を積極的に分かりやすく、正確に表示することが重要です」

Q.法律や国の指導で「小さく読みにくい注釈では消費者に伝わらない」として規制されていないのでしょうか。

池見さん「現時点では、広告の文字サイズについて具体的に規制する法律はありませんが、各省庁が広告の文字サイズについて、基本的な考え方や留意点を示しています。代表的なものとして、消費者庁が『打ち消し表示』に関して出している実態報告書があります。

打ち消し表示とは、広告主である企業がPRしたい内容(強調表示)に対し、例外や制約などを説明する表示のことです。この報告書では文字の大きさについて、例えば、駅貼りポスターや折り込み広告、紙媒体、動画、スマホ、パソコンなど、消費者が目にする広告媒体やシチュエーションの違いを考慮した文字サイズが必要としています。

さらに、背景や強調表示とのバランス、打ち消し表示の配置まで言及しています。罰則規定はありませんが、トラブルが発生した場合は、一つの指針として活用されます。ネット取引でも、経済産業省の『電子商取引および情報材取引等に関する準則』で『一般消費者が見落とさないようにするため、文字の大きさ、配色などに配慮し、明瞭に表示する必要がある』(抜粋)と示されています。

各業界団体では、広告の自主基準や公正競争規約で具体的な文字の大きさを指定している例もあります」

Q.小さくて読みにくい注釈がある新聞広告やチラシ、CMは現在のところ、増えているのでしょうか、減ってきているのでしょうか。

池見さん「増減に関して具体的なデータはありませんが、私の感覚では、先述した消費者庁の打ち消し表示に関する実態報告書が公表されて以降、少しずつ改善されているように思います」

Q.現状ではまだ、注釈は小さくて読みにくいものが多いと思います。消費者は注釈の内容を見逃さないために、どのような対策を取ればよいのでしょうか。

池見さん「まず、(1)新聞広告や折り込みチラシ、テレビCMを見るときに『もしかしたら、不利なことが書いてあるのではないか』と常に批判的な目で見る(2)広告の内容は契約条件であり、確認せずにトラブルになったら自分の責任(3)読んでもよく分からない、不利益を被ると思った内容の場合は申し込まない(4)『文字が小さいから読まなくもよい』という理屈は通らない――という考え方を習慣化することが大事です。

その上で、広告は常に隅々まで、きちんと読んで確認すること、不利益な内容や分からない表示がある場合は、その企業の商品・サービスを選ばないようにすることをいつも心掛けてください」

オトナンサー編集部

元記事で読む