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吉岡、浜辺、山之内…おちょやん効果?で女性タレントのコメディエンヌ化進行中

  • 2021.3.6
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吉岡里帆さん(2019年1月、時事通信フォト)、浜辺美波さん、山之内すずさん
吉岡里帆さん(2019年1月、時事通信フォト)、浜辺美波さん、山之内すずさん

ジャンボ宝くじのCMに出演中の女優・吉岡里帆さんが話題です。「ジャンボ兄ちゃん 渡す練習」編ではあざとかわいい路線が展開されますが、「ジャンボ兄ちゃん あの人」編ではぎこちないツッコミを連発。それ自体がボケになっていて、妻夫木聡さんに「あれだな、ツッコミが下手だな」とツッコミを入れられます。これに対し「いや、うまいだろ」と、またまたぎこちないツッコミを返すというもの。いわば「あざとおもしろい」路線という新境地です。

かと思えば、日本テレビ系連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(毎週水曜 後10:00)で浜辺美波さんが意外な姿を見せました。2月10日放送の第5話冒頭でいきなり、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)のパロディーに挑戦。タマネギ頭のかつらをかぶり、「話は変わるけどね、あーた」と早口でまくしたてるなど、黒柳徹子さんになりきり、芸達者ぶりを披露したのです。

お笑い通だからこその“ツッコミ”

そんな2人のコメディエンヌぶりから連想するのが、NHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土 前8:00)です。ヒロインのモデルは喜劇女優の先駆けというべき浪花千栄子さんで、杉咲花さんが演じています。

作品の見どころの一つが、劇中劇。杉咲さんの笑いが取れる芝居勘の良さは、芸人出身の星田英利さんと比べても引けを取りません。序盤では、駆け出し女優ゆえの拙さを分かりやすく表現してもいました。

そんな杉咲さんには「お笑い的運動神経」が感じられます。成功した芸人に学生時代、運動部で活躍した人が多いように、お笑いには身のこなしや間の取り方など、スポーツに通じるところがあり、コメディエンヌにもそういったセンスが必要なのです。

同じ朝ドラ枠で、やはり、お笑いがテーマだった「わろてんか」(2017年度後期)では広瀬アリスさんにそれを感じました。演じた役のモデルは元祖女芸人の一人であるミスワカナさん。劇中では、松尾諭さんが扮(ふん)したアコーディオン奏者とコンビを組み、プロ顔負けの音曲漫才をこなしていたものです。

こうしたセンスは努力によっても磨かれますが、天性、さらには生育環境も大きいと考えられます。例えば、前出の吉岡さんは京都出身。インスタグラムでは「私自身関西人なのもありお笑いが大好きで(略)ちなみに家族で一番見たお笑いはやっぱり『ごっつええ感じ』と『吉本新喜劇』です」などと明かしています。

なお、このインスタグラムは昨年8月、イベントでかまいたちの2人と共演した際に投稿されたもの。彼女は18歳のときにライブを見て以来、彼らの大ファンだそうです。「人間のおかしみが絶妙な温度感で伝わってくるのが本当に好きで。でも今日はそういうこと以外にもよく分からない部分で笑ってしまってました。笑」と鋭い批評もしていました。

そんなお笑い通だからこそ、CMであのボケのようなツッコミを繰り出せたのでしょう。

浜ちゃんとの共演に大興奮

そういう意味で今後、期待したいのが山之内すずさんです。神戸出身の彼女は、関西弁でのおしゃべりも売り。昨年12月に出演した「おかべろ」(フジテレビ系)では「何よりも芸人さんとお仕事させていただけるのが一番うれしいです」と語りました。

中でも、ダウンタウン・浜田雅功さんとの共演については「やっぱ関西人として、浜田さんに名前を呼んでもらえる(略)『すずーっ!』って叫ばれたときにすごい幸せを感じました」と大興奮でした。

また、3月3日放送の「ノンストップ!」(フジテレビ系)では「私、家で東京03鑑賞会をよくしてるんですよ(略)YouTubeでずっと流してます、ご飯食べながら。この間、2時間ぐらいずっと見てました」と発言。関西系だけでなく、お笑い全般が好きなことが伝わってきました。

TikTokで大ブレークした彼女は、幸運の持ち主のように見られがちですが、動画がバズったのも、お笑い鑑賞で培われたセンスが生かされたからでしょう。短い時間で興味を引きつける瞬発力があるのです。そのあたりは、自動車関連会社・アップルのCMで太鼓をたたきながら、最後に「待ってるドン」とつぶやく姿からも感じ取れます。

女優としては、TBS系連続ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(毎週火曜 後10:00)にヒロインの妹役で出演し、新鮮な印象を残しました。かわいさと面白さを併せ持つ女優として、オファーが増えていきそうです。

かわいさと面白さといえば、奈緒さんもそんな女優の一人。ドコモのCM「一人でリハーサル」編で見せる、おちゃめな新人スタッフぶりには和まされている人も多いでしょう。

また、本田翼さんのように、コメディエンヌとしてもその才能が評価されつつある人もいます。芸能界のトップクラスで活躍するには今や、お笑いのセンスが不可欠なのかもしれません。まして、今はまだコロナ禍が続いています。そんな世の中を明るくしてくれる若手女性タレントのコメディエンヌ化、大歓迎したいところです。

作家・芸能評論家 宝泉薫

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