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家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.23 アミ 小さな宇宙人

  • 2021.3.5
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クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。25歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回は vol.22 緊張との付き合い方

vol.23 アミ 小さな宇宙人

1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。

足早に過ぎ去って行くこの時期の忙しなさを上手く喩えた言葉だなぁ、と感心している間に3月になっていた。

新型コロナウイルスが出現して1年が経った。

去年の今頃、行くはずだった留学を仕方なく見送って。出鼻を挫かれたような気持ちで日々を過ごしていた。そんな時に読んでみて、とおすすめされた「アミ小さな宇宙人」(徳間書店)

はじめてそのタイトルを聞いた時は、どんな内容の本なのか想像することが出来ず、頭にクエッションマークが。

ネットで検索すると、さくらももこさんが描かれた可愛い挿絵の文庫本が全く可愛くない値段で売られていた。

絶版になっているからこの価格な訳ねー、と画面をスクロールしながら呟く。少し迷ったけど、留学の費用に比べたら!という勢いに身を任せ購入ボタンをクリックした。

数日後、届いたその本は今では私のバイブルになっている。

「アミ 小さな宇宙人」は、「これから語る全てのことは単なるファンタジーにすぎず、子供のおとぎ話です」という書き出しで始まる。

「注意(おとなのみにむけた)読み続けないように!きっとおもしろくないでしょう。ここに書いてあるのは、すばらしいことばかりだから。」と。

2020年は地球に住む全ての人にとってターニングポイントになった1年だったと思う。

今も、事態収拾への道筋は見えないままだけど、それでも立ち止まってはいられない。誰もが新しい時代の到来に備え、自分らしい生活の在り方や働き方を探している。

状況も規律もどんどん変化してしまう中で、現実を見据え選択を繰り返す毎日は、思っている以上に体力を奪われてしまう。

でも、そんな今だからこそ、サンタクロースや魔法使いや宇宙人!の存在を心から信じなくちゃいけないのは、きっと、子供たちじゃなくて、大人たちの方だ。

夢を見たり、きらきらした未来を語ることは、子供がすることで、これから起こり得るであろう問題を予測し現実のみを生きるのが大人のすること?

「注意(おとなのみにむけた)読み続けないように!きっとおもしろくないでしょう。ここに書いてあるのは、すばらしいことばかりだから。」

夢や真っ直ぐな気持ちを、馬鹿にせず、怖がらず、いつだって、おもしろがる、私でいたい。

大人たちみんなが、サンタクロースや魔法使いの存在を心から信じている時代が来たとしたら、きっとその世界には、お腹を空かせている人も、暴力に怯えている人もいないんだろうなぁ、と思う。

そんなの綺麗事かな?なんて考えるより先に。
すぐそばにいるあなたに愛を伝えることから始めてみよう。

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