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奥三茶ブームの立役者!超人気居酒屋チーム発カフェ「marcoffee」

  • 2021.2.26

最新のファッションビルや世界的な観光スポットがなくても、三軒茶屋はいつも多くの人で賑わっている。駅周辺には小さな飲食店や商店が密集する一方、少し離れればすぐそこは住宅地。地元住民に愛され、街の外から来た人にも親しみを持って接する空気感こそ、この街の魅力といえる。そんな三茶から少し下北沢方面に歩を進めると、最近話題の「奥三茶」。「marcoffee」は、奥三茶ブームの立役者ともいえるチームがはじめたアットホームなコーヒー店だ。

三軒茶屋と下北沢を結ぶ代沢エリアのメインストリート、茶沢通り。「marcoffee(マルコーヒー)」は、その1本西側を並走する路地の角にある。一見すると裏通りのように思えるが、ちょうど住宅地と商業エリアとの境界でもあるこの道には、飲食店、雑貨店など小さな個人商店が点々と並び、多くの地元住民が行き交っていた。車通りの多い茶沢通りを避けて安心して歩けるこの周辺には、歩きながら楽しみたい名店が点在しているのだ。三軒茶屋の中心の商業地に比べ、少しゆったりとした空気が流れている。

すれ違い際にご近所さん同士が挨拶を交わしたり、ときどき店の前で立ち止まっては買い物をしたりする人の姿がある中で、marcoffeeの軒先でもスタッフと楽しそうに立ち話をしている地元住民が。marcoffeeを営むのは、この場所からさらに下北沢方面に向かった先の“奥三茶”を中心に、地元密着型の酒場「三茶呑場マルコ」「ニューマルコ」「コマル」の3店舗を手がける「2TAPS」。いずれも地元で愛される人気店であり、遠方からもわざわざ訪れる人が絶えない。まさに“奥三茶ブーム”の立役者といえる居酒屋チームだ。

1号店の三茶呑場マルコのオープンから5年が経った2019年、気づけば店を取り巻く人々の環境は大きく変化していたという。常連客やスタッフにも、結婚したりこどもができたり、逆に年齢を重ねて落ち着いていく人がいたり。昼を中心としたライフスタイルにシフトする人が多く見られるようになったのだ。

「でもマルコ各店には、店を通じて生まれた大切な常連客や仲間との確かなコミュニティがありました。街に住むあらゆる世代の人がいつでも集える場所があったらと考えたら、夜だけの酒場というスタイルに囚われず、昼に営業する街の食堂と、食事やお酒なしでもただ雑談したり一息ついたりして過ごせるカフェという場が必要だと思ったのがきっかけです」と、marcoffeeの店長・久保薗さんは話す。

こうして生まれたのが、昼・夜は定食と酒を提供する「食堂かど。」と、昼・夜のスキマ時間をカフェとして営業する「marcoffee」。ひとつの場所を時間帯によって2業態で分けたスタイルだ。グレーのモルタルで覆われたスタイリッシュな外観や、軒先に設けられた縁側のベンチはまさにカフェそのものだが、温もりあるオープンキッチンのカウンターに前掛け姿の気さくなスタッフが立つ様子は街の定食屋らしくもある。

三軒茶屋は実におもしろい街だ。都内はもちろん、関東各地からも食通が訪れるほどの隠れた名店も多く、特に飲食業界からは高い人気を誇る。しかしけっして街全体が美しく整備され、最新の流行をおさえた巨大な商業施設があるかというとそうではない。未だに居住地としての需要も根強く、常に住宅地と隣り合わせ。学生や子育て世代はもちろん、昔から長く住むシニア世代も非常に多い。そして何より皆、三軒茶屋の街が好きで住んでいる人ばかりだ。しかも、居住エリアに近い方が、どんどん面白くなっている。

「三茶の方々は、皆さんすごく関係性が近いと思うんです。いろんなお店を通して、お客さん同士もお店同士もつながっていて、街全体がまさに“ホーム”。僕たちも家族とまではいかなくても、赤の他人よりも一歩踏み込んで、街の人に親しんでもらえるアットホームな存在でありたい」

久保薗さんがそう話すように、marcoffeeを訪れる客とスタッフたちの間柄は実に和やかだ。「こんにちは」「おかえり」の声がけから始まり、コーヒーや弁当を待っている間に何気ない日常の会話を交わすと、「いってらっしゃい」「お疲れさま!」と見送るスタッフに、笑顔で応える客たち。ひとりで暮らす若者やシニア世代には、大手スーパーやコンビニの買い物では得られない、誰かが待っていてくれるというあたたかい“ホーム感”は嬉しいに違いない。

系列の酒場の常連客は若い世代が多かったが、食堂とmarcoffeeを始めてみると、想像以上にシニア世代に受け入れてもらったと、久保薗さんは嬉しそうに話す。「コロナの影響もあり、プレオープンでは惣菜やお弁当、コーヒーのテイクアウト販売のみを軒先で行っていたのですが、その後もリピートしてくださる方がたくさんいます。ウォールマグを持って、毎日のようにコーヒーを買いに来てくださるお客様もいらっしゃいます。客層はぐっと幅広くなりましたね」

スキマ時間の営業だからといって、カフェメニューに手抜きはなし。プロのバリスタが淹れる「COFFEE SUPREME TOKYO」(渋谷)の豆を使ったエスプレッソドリンクをはじめ、「Happa Stand」(岐阜県)の日本茶、シーズナルドリンクなどを揃える本格派だ。コーヒーやお茶を使ったオリジナルの焼酎割りなど、昼からアルコールがラインナップするあたりは食堂のカフェならでは。今後もしばらくの間は、カフェタイムにも惣菜や弁当の販売も続けるという。

静かな店でひとりでじっくり嗜むコーヒーもいいが、ここでは、縁側で偶然隣りあった誰かや親しみを持って接してくれるスタッフたちと言葉を交わしてみよう。marcoffeeを介して、新たな人と人のつながりが生まれれば、三茶はますますアットホームで魅力的なローカルタウンとなるはずだ。

取材・文 : RIN

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