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携帯各社が“オンライン限定”低額プラン、店頭よりトラブルは減る?契約時の注意点

  • 2021.2.25
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オンライン契約でトラブルは減る?
オンライン契約でトラブルは減る?

携帯電話の契約や乗り換えなどのために、各社のショップを訪れる人も多いと思います。しかし、「こちらが納得していないのに、無理やり契約を結ばされそうになった」「満足な説明もなく、高額な料金プランを契約させられた」などのトラブルに巻き込まれることもあり、店頭での契約に抵抗感のある人もいるのではないでしょうか。

そんな中、携帯キャリア各社は昨年末から、オンラインでの契約に限定した低額料金プランを相次いで発表しました。オンラインで契約が完了するため、ネット上では「余計なアプリを契約させられないから楽」といった声も出ています。今後、携帯キャリアがオンラインでの契約に特化した場合、店舗での契約時に比べてトラブルは減るのでしょうか。

携帯電話の料金プランなどをオンラインで契約するときの注意点について、消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。

知識不足が原因でトラブルにも

Q.携帯キャリア各社が、オンラインでの契約に限定した低額料金プランを発表しています。今後、各社がオンラインでの契約を推し進めるようになった場合、消費者トラブルは減るのでしょうか。

池見さん「確かに、オンラインで契約すれば、店員からの不必要なサービスの勧誘や店員の説明が不十分だったことによるトラブルは少なくなります。しかし、今後、携帯キャリアがオンラインでの契約に特化したとしても、消費者トラブルそのものが減るとは思いません。

そもそも、消費者トラブルは事業者と消費者との間にある知識や情報・交渉力の差によって生じます。店舗で契約する場合は、事業者側の説明不足や強引な勧誘などがトラブルの要因になる例もありますが、オンラインの場合は店員の説明がないので、消費者が自分自身でサービス内容や契約ルールなどを熟読し、理解しなければなりません。

そのため、消費者側の知識不足や確認不足などがトラブルの原因の多くを占めることになる恐れがあります」

Q.では、携帯電話の料金プランなどをオンライン上で契約するときの注意点について教えてください。

池見さん「携帯電話の料金プランに限らず、オンラインの通信販売でサービスや商品を契約する場合、基本的にはウェブ上に記載されている内容・ルールが契約条件となります。消費者が契約した時点で『(消費者は)ウェブ上の記載内容を了解した』という前提になります。そのため、契約前に説明書きを熟読し、十分理解してから注文しましょう。『小さい文字の説明なんか読まないよ』という姿勢は一切通用しません。

少し話はそれますが、オンライン契約では近年、ネット通販の定期購入トラブル(健康食品や化粧品など)が激増しています。このトラブルも『説明・表示が分かりにくい』『購入後に業者と連絡が取れない』など事業者に不備がある場合と、定期購入という条件や利用規約、最終確認画面の内容をよく確認していない消費者側の問題と両方の原因で発生しています。

携帯電話の契約は健康食品や化粧品の定期購入よりも契約内容が格段に複雑です。より一層の注意が必要です」

Q.消費者側の確認不足や事業者側の説明不足が原因で発生するトラブル以外には、どのようなトラブルがオンラインでの契約時に起こり得るのでしょうか。

池見さん「現時点では『商品が届かない』『サービスの提供が遅れる、あるいは提供されない』『通信障害による契約漏れや重複注文』『(契約書面の電子交付化が進んだ場合)消費者と事業者との間での署名・承諾確認の行き違い』などが想定されます」

Q.オンラインでの契約後に何らかのトラブルに巻き込まれた場合、クーリングオフ制度を利用して契約を解除することはできるのでしょうか。

池見さん「オンラインでの契約(通信販売)には、特定商取引法のクーリングオフ制度がありません。クーリングオフは『不意打ちを食らって契約した』場合に、頭を冷やして考える熟慮期間を設けて、消費者から無条件で一方的に解約できる制度です。通信販売は自らネット上の店舗で商品やサービスを選び、取引条件を確認して注文、契約する建前なので熟慮期間はありません。

ただし、携帯電話の通信契約には、一定の条件に当てはまれば消費者から契約を解除できる『初期契約解除制度』があります。初期契約解除制度は訪問販売や通信販売などの販売取引形態は関係ありません。消費者が契約書面を受領した日か、事業者がサービスを開始した日のどちらか遅い日から8日間以内であれば、携帯電話の通信契約のみを違約金なしで解除できます。

一緒に購入した端末やサービス、解約までにかかった事務手数料などの諸費用は対象外なので消費者が負担します。携帯キャリア4社のうち、楽天モバイルが初期契約解除制度を行っています。一方、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社は初期契約解除制度に代えて、『確認措置』という解約制度を行っています。適用条件は『事業者の説明が不十分な場合』『電波がうまくつながらない場合』に限られます。

確認措置も消費者が契約書面を受領した日か、事業者がサービスを開始した日のどちらか遅い日から8日間以内に申し出る必要がありますが、適用するかどうかは携帯電話会社の判断によります。もし、適用が認められれば、通信契約、端末やサービスの契約、その他手数料などの契約を違約金なしで解約できます。完全にオンライン契約となった場合、『事業者の説明不十分』は記載内容の不備がない限り当てはまらなくなるため、適用されるケースが減ると思います。

なお、今回の新低額料金プランでは行われませんが、最近増えている『Zoom』などを使ったオンラインでの対面契約の場合は、クーリングオフが適用される場合もあります。例えば、事前の説明では『商品・サービスの説明をする』という話だけだったにもかかわらず、いざオンラインで話したら契約の話が突然出てきて、契約してしまった場合などが該当します」

消費生活センターへ相談を

Q.もし、オンラインでの契約でトラブルに巻き込まれた場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

池見さん「できるだけ早く、『消費者ホットライン(局番なし188)』に電話して、最寄りの消費生活センターへ相談してください。消費生活センターは、事実確認をして内容を整理した後、解決に向けた助言を行います。状況によっては、事業者に消費生活センターから問い合わせる『あっせん(=交渉のサポート)』を行う場合もあります。

相談する際はできるだけ、次に挙げる準備をしておくとよいでしょう。

(1)スクリーンショットや印刷で、証拠を保存する【保存しておくもの】・自分が注文する前に見た事業者のウェブサイトの商品・サービス説明画面・通信販売業者に義務付けられている『特定商取引法に基づく表示』や会社概要・利用規約や契約書・事業者とやりとりした全てのEメールやSNSのトーク・タイムライン・(ウェブ上の問い合わせフォームやチャットボット、会員ページで苦情を申し出る場合は)入力した画面やチャット画面

(2)利用規約や契約書は相談前にしっかり読んでおく

(3)『なぜ、その商品・サービスを注文することになったのか』『どんな説明を受けたのか』『どんなトラブルが起きているのか』などの『経緯=いきさつ』を時系列で、箇条書きのメモに書き出しておく」

オトナンサー編集部

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