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公立中高一貫に受かる適性とは?受検に合格しやすい子の特徴と受検対策

  • 2021.2.19
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根強い人気を誇る公立中高一貫校。2022年4月には全国初の公立小中高一貫校が開校するなど、義務教育の一貫教育の人気はますます高まっています。今後もその流れは続き中高一貫校の増加が見込まれている中、受検のための準備が早めになっていく傾向があります。公立中高一貫の受検対策とはどんなものなのでしょうか。

高まる、公立の一貫教育需要

私立の中高一貫校が増加する中、1999年に初めて公立中高一貫校が文科省主導のもと導入されました。その後各都道府県で開校が続いています。

2022年4月には初の都立小中高一貫校が開校することがニュースとなりました。公立で12年の一貫教育は全国で初となります。選考には抽選と適性検査が用いられるとのことですが、受検者は園児であることから5歳児の発達段階を考慮して遊びの要素を取り入れて作成されるとのことです。

国立大学付属小学校の受検と似ているのではないかという予測がありますが、どんな内容になるのかはまだ不明であり、今後注目を集めそうです。

公立の一貫教育が人気となっている背景には、「学費を押さえつつ質の高い学習環境を与えたい」という家庭が増える中、思いがけないコロナウイルスによる経済的なダメージがその動きに拍車をかけているとも言われています。

公立の中高一貫校は、地元の公立中学よりは費用がかかるものの、私立中学の様な金額とは比べ物になりません。家計に響かない範囲で、中高一貫の質の高い教育が受けられることから人気が高まっているのです。

私立受験とは異なる選考方法

公立中高一貫に入るための選抜方法は、私立と大きく異なります。どんな違いがあるのでしょうか。

まず私立では、大体の学校で高校・大学入試に似た教科ごとの試験が行われます。しかし公立では、学校教育法の規則により入試による学力検査を禁じられています。そのため学力をみる為の「試験」ではなく、考える力や表現力をみる為の「適性検査」と呼ばれる教科横断型の問題が出題されます。

公立中高一貫の選抜を「受検」と表記するのはそのためです。また、適性検査以外に「作文」「面接」「報告書」「グループワーク」などを組み合わせることで総合的に判断されます。

特に報告書は私立で提出を求められることはあまりありませんが、公立では多くの学校で提出が必要となるだけではなく、選考にあたって多くの割合を占めることになります。配点割合は学校により異なりますが、最低でも全体の18%、最高では30%となります。報告書に記載される対象学年も学校により異なりますが、5年・6年の成績が必要となる学校がほとんどです。

私立受験との壁がなくなってきている背景

適性検査に取り組めるのは高学年からです。というのは出題される範囲が小学校6年間で学ぶ範囲であり、それを踏まえた上で思考力が問われるからです。塾や通信教育でも専門のコースは5年生から開始するところがほとんどです(4年生からスタートする塾も増えています)。

実際の公立受検対策を始めるのは5年生から、場合によっては6年生からという家庭も少なくなく、また塾に通わずに家庭学習や通信教育のみで対策を行い合格する子もいます。

しかし、近年はこの事情が変わってきています。どんな変化があるのでしょうか。

・地域によって難易度の差がある

公立中高一貫校の倍率は、どの学校でも3倍から人気の所では7~8倍など高くなっています。また、適性検査が取り入れられるのも全国で相違はありません。しかし都市部と地方ではその偏差値が異なることはあまり知られていません。

適性検査という方法を取ることから偏差値が一概に合格に関係しているとはいえませんが、目安の偏差値としては低いところでは50台前半、都立で最難関の学校では70などかなりの差があります。問題文の量や資料の複雑さなどで難易度を変えていることにより違いが表れます。

つまり公立受検と一言で言っても、学校によって対策を変える必要があり5年生からの対策で遅いケースもあるのです。

・私立にも適性検査を導入する学校が増加している

私立中学の受験を考える場合は、一般的に3年生の2月から(4年生から受験カリキュラムがスタートし、塾の年度は2月で新しくなる為)塾通いをして対策をとることが多いでしょう。3年間以上、受験勉強を行っている私立志願者はそれだけ知識もありますし勉強やテストにも慣れています。その上適性検査を導入する私立校が増えており、早くから適性検査を見据えた対策をする私立志願者が徐々に増えているため、併願で公立を受検するケースも増えています。

・難関私立志願者が公立を併願する

以前は、私立受験向けの勉強をしている子が公立受検をしても、形式が全く異なるため合格することは難しいと言われていました。近年は大学入試改革の影響で、適性検査導入とまではいかなくても私立の問題が徐々に公立の問題に寄ってきている傾向があります。

特に難関私立の問題は思考力を求められるなどの傾向になってきており、難関私立の勉強をしながら公立の対策を行って併願して合格するというケースが増えてきています。

つまり私立、公立という壁が徐々になくなってきている為、高学年から対策をした受検者は私立対策をしている子に敵わなくなってきているのです。

公立受検に合格しやすい子の特徴

知識を詰め込んで暗記することが出来れば合格に結びつくというわけではないのが公立受検です。どんな子が比較的合格しているのでしょうか。

・論理的に物事を考えることが出来る

適性検査では、受検者の思考力や表現力を問われます。これは一生懸命勉強して得られる力ではなく、普段から物事について様々な角度から思考する習慣によって得られます。

社会への出来事について常に関心を持ち、物事を論理的に考えることが出来る子が有利です。そのため、比較的精神年齢が高い子の方が合格する傾向にあります。

・長い文章を書くことが出来る

多くの学校で、300字から600字程度の記述問題が出題されます。文章を書くことを苦にしない子の方が有利でしょう。また、ただ自分の感想を書くのではなく、与えられた文章に対しての考え方を記したり要約したりということが必要である為、読解力も必要です。

自分の体験などを踏まえて記述する問題もありますが、これは直接体験していなければいけないものではありません。読書などを通じて疑似体験を多く持っていることが必要です。

・取捨選択が素早く出来る

適性検査では、膨大な量の資料などから瞬時に必要なものを読み取り応えることが必要です。必要なもの、不要なものを見分け全体を見る力が必要です。実際、答えるにあたって必要のない資料が掲載されている場合もあります。

前半に時間をとりすぎて後半に時間が足りなくなることを防ぐために、1問あたりにかけられる時間を考えて場合によっては諦めて次の問題へ進むという決断も必要になってきます。

・基礎学力がついている

小学校での成績が優秀であることは絶対条件となります。成績が悪ければ報告書で合格基準から外れる可能性があるのはもちろんのこと、小学校で学ぶ知識は適性検査を解く上で必要だからです。

・勉強だけ、にならない

内申が選考にあたり多くの割合を占めるとお話ししましたが、合格の判断基準として勉強以外の活動も必要です。ボランティアや児童会、クラスの活動などに参加することで、積極的に行動できる子だと判断されることが多いのです。

また、報告書には国語や算数などの主要教科以外に体育、音楽、図工、家庭科の成績も反映されます。テストの勉強だけやっていて他がおろそかであると、適性検査が同じ点数だった場合には選考から漏れてしまう可能性が高くなります。

受検学年前に出来る対策とは

都市部や偏差値の高い公立受検を考える場合には、高学年からの対策では遅い可能性があるということが分かりました。では4年生までにどんな対策をしておくことが出来るのでしょうか。

・ニュースや社会の出来事に関心を持つ

私立受験でも時事問題などが出題されることが多くありますが、それに応えるだけではなく内容に対して自分の意見を持ち表現出来ることが必要です。その為、日常的にニュースなどをよく知った上で自分の考えを表現する機会を作り観察眼を養いましょう。

子ども新聞などを取るのがいいですが、テレビのニュースなどでも良いので普段から家庭で話し合う時間を作るといいですね。

・資格や検定を受ける

漢検や英検など、資格や検定を受けておくといいでしょう。級を取得することが合否に関わるかは各学校の判断基準となるため明確ではありません。しかし、資格という目標に向かって勉強することは前向きな姿勢としてとらえることが出来ますし、それにより得た知識は決して無駄にはなりません。

また、知らない場所での試験に慣れることも出来ます。勉強が本格化する5~6年には資格勉強の時間をとるのが難しくなりますから、その前に取り組み始めるのが良いでしょう。

・計算処理能力をつける

適性検査には、私立受験で出るような特殊な公式や演算は必要ありません。しかしグラフ系の問題を読み取り必要な計算を判断して行うことが必要です。ですので、基本的な四則計算をミスなく素早く出来ることが必要です。特に割合はよく出ますので、文章を読んだだけで「これは〇に対して大体△%だな」などがすぐに読み取れるようになると良いでしょう。

また、難関校では小数第5位までの%を問われる問題もあります。割合や小数、そして概数などは基本をおさえた上で日々ドリルなどを使い練習する必要があります。

・小学校で習う漢字は先取りしておく

適性検査に漢字の問題は出題されませんが、記述の際に漢字ミスがあったり小学校で習う漢字を平仮名で書いたりすると減点になります。6年生になってから漢字の対策をしていては間に合いません。少なくとも漢字の読みは4年生までに小学校で習う分が出来るようにし、書きも早めに取り組んでおくと良いでしょう。

同様に、算数・理科・社会も、私立の様に小学校で習う範囲を超えた問題は出されませんが、少し学年を先取りして6年生まで取り組んでおくと、受検学年となった時に非常に楽になります。

・過去問をやりこむ

公立中高一貫の過去問「公立中高一貫校適性検査問題集」、いわゆる「銀本」には、全国の学校の問題が掲載されています。合格している子は、この本を何年ぶんもやりこんでいる子がほとんどです。

4年生までで過去問に取り組むことはないのが普通ですが、中にはパズル系の問題や、知識がなくても資料を読むことで4年生でも解ける問題があります。過去問に慣れるために短いものに親子で取り組む時間を作るといいでしょう。

5年生になったら、月1回でもいいので簡単なものから解いていきます。銀本は3年分ほどを揃え、解きやすそうなものを選びます。最初は大問1だけ、などでいいので適性検査に慣れていきましょう。その際塾に通っている場合は、志望校やその周辺校のものは対策授業で解く可能性があるため避けておきます。

5年の後半になったら、志望校と偏差値が近い学校・出題傾向の似た学校を10校ほどピックアップして、数年分を何度も解いてみます。適性検査は慣れることが大事であり、慣れると出題傾向も分かってきます。1問を解くのに時間がかかる為、塾での対策だけでは慣れるための時間が全く足りません。家庭でどれだけ取り組めるかが重要になるのです。

公立中高一貫受検は人気が高まっているとはいえ、情報がまだ不足しているのも事実です。適性検査自体が「これをやっておけば大丈夫」という明確な基準がないことも、対策するにあたり難しいことの一因です。

しかし確実なのは、「中学受験は親の受験」と言われるほど親のサポートが必要なものですが、公立においてはそれが私立より顕著であるということです。塾に通っても通わなくても、家庭での対策がより重要となります。それは、適性検査に慣れるには家庭で数をこなす必要があり、解く問題のピックアップやその採点が必要だということです。

実際、塾通いを週3~4日して合宿に参加・毎週合判テストを受けるという子よりも、塾は週1~2日であとは銀本を中心とした家庭学習をしっかりやった子の方が実績に結びついているようです。塾に通わない子もいますが、数年前と異なり全く塾通いをせずに合格している子の割合は減少しています。家庭学習を基本にしながら、塾で疑問を解消できるというスタンスがいいのかもしれません。

適性検査を知ることで、4年生までに対策することも見えてきます。早くに公立受検を考えた場合は、子どもに勉強させるのは先だとしてもまずは親が必要なものを取捨選択し、その為の情報収集をしっかり行っていくことが必要だと感じました。

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