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『TAKE FIVE』と花組新人公演。新旧交代劇の裏側で、受け継がれて行くもの

  • 2015.6.9
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どんなジャンルにおいても起こる新旧交代劇には、いつも深い感慨を覚えます。去り行くものへの寂しさはあるけれど、いつまでも旧体制のままでは、やがて飽きられ、時代に取り残されてしまう。新しい息吹が加わることで活性し、より良いものへと進化していくのはこの世の常です。かといって、新しくなればそれでいいというわけではなく、前人が築いた伝統やノウハウを受け継ぎながら、今という時代性を活かして行くーー。長く続くものには、そういった共通の仕組みがあるといってもいいでしょう。

先月のことになりますが、奇しくも私は、そんなことを考えさせられる二つの舞台に出会いました。一つは、東京と大阪で上演された『TAKE FIVE』。2013年にTBSで放送された連続ドラマの舞台版で、主演は元宝塚歌劇団花組トップスターの蘭寿とむさんと、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷 太輔さん。蘭寿さんは、宝塚歌劇を卒業して約1年。その間、数々の舞台に恵まれてきましたが、魅惑的な女泥棒 ブルー・バタフライというこの役柄こそ適役。ときには大人っぽくセクシーに、ときにはアクション バリバリに女泥棒を演じ、観るものを多いに惹きつけました。男役として脚光を浴びた人は、ときとしてその呪縛に囚われてしまうこともあるようですが、蘭寿さんの場合は、もうすっかり解き放たれ、"女優さん"としての一歩を歩みだしたよう。それが、寂しくもあり、微笑ましくもありました。

そして、その数日後、日比谷の東京宝塚劇場で観たのは花組新人公演『カリスタの海に抱かれて』でした。舞台を踏んで7年目までの下級生(研究科生)が、本役と同じ作品を演じる新人公演は、宝塚歌劇ならではのもの。今回、主役に抜擢されたのは、研究科6年目の水美舞斗(みなみ・まいと)さん。初主演でしたが、持ち前の明るさと元気いっぱいの魅力を活かした健闘を見せ、とてもフレッシュなシャルル(主人公の名)を演じていました。ヒロインの城妃美怜(しろき・みれい)さんとのキスシーンもういういしくて、「若いっていいなぁ〜」と思ってしまったほど。大劇場と東京、それぞれたった1回だけの本番のために、本役さんたちが指導をしたり、仲間同士で演技をチェックしあうのも宝塚歌劇の伝統。水美さんは、蘭寿さんから直接指導などをされたことがあるかどうかは知りませんが、こうしてさまざなな男役芸が伝承されて行くのですね。

化粧品界においても、長きに渡り愛され続けられるものと、最新の知見をもとに新開発されるもの、そのどちらもがあります。たとえば、ロングセラーの代表といえば『SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス』。ブランドが創設された30年以上前から変わらないのは、変わる必要がないくらい完成されているため。酵母の発酵代謝物を配合し続け、その間、ぶれることなく伝承し続けられているのも信頼の証し。けれど今年は、その『SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス』のボトルデザインだけが変更になることが発表されました。ボトルは変わっても、中身は変わらないってことですね。そして8月には、医学界や美容界でもまだレアな「マイクロRNA」の働きに着目した美容乳液『SK-II R.N.A. パワーラディカル ニュー エイジ』が誕生。伝承されているものと新しいもの。このご時世の中、決して安価な製品ではないのに、人気を集めているものには、バランス感覚のよさがあるようです。

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