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「友達以上恋人未満」な関係に耐えられない男性の弱さ

  • 2021.2.7
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ふたりで食事にも行くし、何でも話し合えてお互いに好意がある。でも告白はしない。いわゆる「友達以上恋人未満」な状態は、相手をどこまで信じれば良いかわからず悩む人もいるでしょう。このグレーゾーンに耐えられない男性は、女性を傷つけることで「そっちから関係を進めて」と迫ります。その焦りはどんな心理なのか、お話しします。

■距離が縮まるときは何も考えない

ある男性の話です。

サークルで知り合った年下の女性とは、趣味や好きなものが合い、会話していると話題が途切れない居心地の良さがありました。最初はサークルで顔を合わせるたびにどちらからともなく寄っていき、ずっと話していられる楽しさを共有していましたが、そのうちLINEのIDを交換し、プライベートでも連絡するようになり、彼女が観たいといっていた映画のDVDを貸すなど距離が縮まっていきます。

男性の中では、やりとりを重ねてふたりのつながりが濃くなっていく時間は、ただ楽しくて嬉しくて、このときは何の不安もありませんでした。こちらからメッセージを送れば必ず彼女は返信をくれるし、サークルがあるときは「今日来ますか?」と尋ねられてテンションが上がるし、休日も彼女から他愛ない話題のLINEが送られてくる。

元気でアクティブな姿ばかりでなく、料理が得意でお菓子作りが好きな一面もある彼女は、彼のためにクッキーやマフィンを焼いてくることもあり、照れくさそうに「もし良かったら」と渡されるたび、彼の中で好意が育っていきました。

それまでまともに女性とお付き合いしたことがなかった男性は、彼女から関わりを求められるたび、「俺って好かれているのかな?」とちらりと考えます。

もちろん、ふたりきりのやりとりが続く時点で、「人間として好感を持ってくれている」のはわかるけど、彼が知りたいのは「恋愛感情の有無」。ふたりの距離が縮まるのを感じる間は、特に恐れもなく踏み込んでいました。けれど、いざ「男性として好かれているか」を考えてしまうと、彼は彼女の行動の中にその確信が得られるものを見つけようとします。

俺のことを、そんな意味でも好きでいてくれたらいいな。

それが彼の願いであり、彼のほうはとっくに彼女のことを好きになっていました。

■「俺だけじゃない」ことの苦しさ

サークルではいつも明るくいろんな人に気さくに声をかける彼女は、彼以外にも親しくしている男性がいました。その人は彼が入会する前からサークルに所属していて、彼女との付き合いも彼より長く、ふたりが一緒にいるときは「他の男性と比べて」彼女の笑顔が多いな、と彼は気づきます。

笑いながら男性の腕を叩く彼女の様子を目にして、彼の胸がざわっと動きました。

俺より楽しそうだな。
何の話をしているんだろう。
ていうか、距離が近すぎないか?

それは紛れもない嫉妬でしたが、今までひとりの女性と向き合ったことがなかった彼は、彼女の気持ちがわからず混乱します。自分が来ているのに、自分よりそいつのほうに行くのか。そう思うとなぜか怒りが湧くし、話が終わってこちらに気づき、笑顔でこちらに近づいてくれる姿を見るとほっとする。

彼女のほうは、特にこの男性に恋愛感情を持っているわけではありません。仕事を通じた知り合いでもあるため親しく、話題が多くあるだけですが、そんなことは彼にはわかりません。

「自分以外の男にもいい顔をする彼女」を見ると、重苦しい気持ちになって彼女に対して憎しみのような黒い感情が生まれる。でも、ほかの男性と仲良くしていても、自分とも変わらず距離の近さを感じさせるやりとりをしてくれるから、安心するし突き放すことができない。

感情の振り幅が大きくなり、彼は疲れてきます。親しくなる前はこんな自分じゃなかったのに、彼女に恋愛感情を持っている自分に気づいてからは彼女の一挙一投足に意識が向いてしまい、自分以外の男性と仲良くできる彼女に「なぜ」「どうして」と悔しい思いを抱いてしまう。

それは、ふたりの関係があくまでも「友達」の枠から出ていないことへの焦りであり、どんなに親しくても「恋人」ではない事実が、彼の中で彼女の存在をネガティブなものにしていました。

■友達以上恋人未満の「曖昧さ」が運んでくる不安

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彼女とは、好きな食べ物も行きつけのカフェも週末の映画デートも共有している。でも、恋人ではない。彼女からは、過去の恋愛で失敗した話も理想の彼氏は「趣味を邪魔しない人」であることも、聞かされている。

毎日LINEで「おやすみ」を言い合うような仲なのに、俺は彼女の「彼氏」ではないの? 関係の曖昧さが、彼を不安にさせていました。

他の男にとられたくないのなら、もっと彼女と親しくなれるように努力することを考えれば良かったのですが、彼の場合はひたすら彼女の気持ちに集中していました。

毎日LINEで話すのはなぜか。サークルでもそれ以外でも変わらず仲良くしてくれるのはなぜか。他の男と楽しくしていても、俺のことを忘れないのはなぜか。

要は、「恋愛感情で彼女に好かれている」確信が欲しかったのですね。でも、目の前の彼女は俺以外の男にも笑顔を振りまくし、俺の知らない話で盛り上がる。その姿を目にするたびイライラして、彼女にもつい邪険な態度をとってしまう。

彼は混乱し、しばらく彼女との連絡を控えるようになりました。疲れるからです。

彼女に向ける好意が満たされない。
自分の思い通りに彼女は振る舞ってくれない。
「好きなのは俺だけかも」という不安が消えない。

これらが彼にとってはストレスであり、「100%好かれていると実感できない」自分を感じるたび、絶望感ばかりが心を満たしていきました。

不安なら、確かめてみればいい。彼女が向けてくれる好意の意味を、自分から探ってみればいい。関わっていけばいい。その「打開策」を思いつくことができず、ただ彼女からの行動を待つばかり。彼女から「確実な」好意が向けられるのを探すばかり。

こんなに苦しいのは、彼女のせいだ。

本当は好きなのに、恋人になりたいのに、「自分にとってネガティブな存在」となってしまった彼女に対して、心を開いて接していくすべを彼はなくしていました。

■「脅迫」で関係の進展を迫る弱さ

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彼女との関係にストレスばかり感じるようになった彼ですが、好意を捨てることはできず、結局彼女から連絡がくれば相手をし、ふたりで食事にも行き、悶々とした時間を過ごします。

「俺のことをどう思っているの?」という不安はいつしか「俺を不安にさせるな」の怒りに変わり、彼女の口から他の男性の話題が出るたび、不機嫌さを隠さなくなりました。

その日ふたりで立ち寄ったカフェでも彼はいっこうに楽しそうな様子を見せず、そんな彼の変化に、「私、何か悪いことした?」と彼女は素直に尋ねます。

が、この言葉を聞いたとき、彼から出たのは「俺よりほかの男がいいみたいだし、俺たちの関係、もうやめる?」でした。

彼女はびっくりしてしまい、「俺たちの関係って、何?」と訊き返します。確かに淡い恋心のようなものは以前持っていたけど、自分といても楽しそうに見えない彼を見ていて、彼女は「これ以上好きになるのはやめよう」と思っていました。

「関係って、だから、今みたいにふたりで会ったりとか」

「あなたがそうしたいなら、いいけど」
彼女はそう答えるしかありません。「友達関係」を終わりにしたがっているのは何となく感じていたので、自分に友人としての魅力がないのだと彼女は思っていたのですね。

ですが、その答えが彼を激高させました。
「なんだ、君にとって俺たちの関係ってやっぱりその程度のものか」

「いいんだね? 終わりにするってことは、他人に戻るってことだけど」

「別に俺はそれでもいいんだけどね」
止まらない憎まれ口は、すべて気持ちと正反対のもの。

でも、長い時間一方的にストレスを感じ続けた心は、「恋人として付き合ってください」と素直に伝えるより、自分の思い通りに振る舞ってくれない彼女への憎しみが先に出てしまいます。

そんな彼の姿を目の当たりにして、彼女の中から彼に対して残っていた好意が完全に消えました。
「あなたこそ、終わりにしたがっていたじゃない。あなただって、『それでもいいんだけどね』って言える程度のものじゃない」

「そんな、脅迫みたいに言われたって怖いんだけど」

「他人に戻りたいならどうぞ」

「あなたよりまともな男なんて、たくさんいるから」
彼女はそう言うと、彼を残しひとりで席を立ちました。こうして、彼は本当の願いを自ら潰してしまったのです。

■心を開けない弱さが幸せな恋愛を遠ざける

彼は、彼女が出ていったドアを見つめながら、苦い失恋の痛みを感じていました。

「ああこれで苦しまなくて済む」と心を納得させようとしても、彼女から初めてぶつけられた自分を拒絶する言葉、初めて向けられた嫌悪感を浮かべた表情、どれも鋭い痛みばかりが彼を苦しめます。それでも、素直になれなかった自分を彼は認めることができません。

「俺がこうなったのは彼女のせい」。

自分の苦しみの責任は彼女にあるのだと、そのひとりよがりな心のせいで今までも女性とうまくいかなかったのだと、彼は気づきません。こんな男性は、心を開いて傷つくことを無意識に恐れます。

それが自分を守ることだとしても、「そっちから関係を進めてよ」と迫られる女性の痛みには無頓着になります。

もし、好きな男性がこんな態度を見せてきたら、考えたいのはまず彼が抱える不安です。「100%好かれていないとダメ」な彼らは、自分の満足だけを優先して、相手を傷つける発言や言動を繰り返します。

それを許せるかどうか、そんな扱いを受ける自分をよしとできるかどうか、彼の不安と向き合うには、相当の覚悟が必要です。好きだからこそ、曖昧な関係に耐えられない。でも、こちらから心を開くのは怖いから、女性のほうから関わってきてほしい。満足させてほしい――。

この途方もない願いは、一度受け入れてしまえば際限なく続く「弱さの連鎖」になることを、あなたはまず考えなければいけません。

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