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がん診断を受けたのに保険金が下りない?保険加入時のまさかのミス

  • 2021.1.31
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病気やケガに備えて多くの方が加入している医療保険ですが、もしものときに受け取れないケースがいくつかあることをご存知でしょうか。保険を申し込んだときのミスが原因でトラブルになってしまったSさんの事例を見てみましょう。

■まさか!保険金が受け取れない!?

同世代の友人で大きな病気が発覚する人が続き、不安に思ったSさんは医療保険に加入することにしました。加入から約1年後、毎年受けていたガン検診で初期の乳がんが見つかります。

さっそく保険会社に給付金を請求するも、返答はまさかの「給付金はおりない」。それどころか「この保険契約は解除になる可能性がある」とまで言われました。

驚いたSさんがその理由を尋ねると「告知義務違反」とのこと。そんな言葉を聞いたこともなく自覚もないのに、わけがわからないまま「違反」と言われ、責められたように感じたSさん。大きなショックを受け、途方に暮れてしまいました。

■なぜ保険金が下りない?告知義務違反とは?

Sさんはなぜこのようなことになってしまったのでしょうか。そのカギはSさんが申込をした時点にありました。

●過去の通院歴を告知していなかった

Sさんは、申込書に記入するべきだった通院歴を記入していなかったのです。保険加入時に、保険会社に対して過去の病歴、障害や妊娠の有無といった健康状態や職業などについて申告することを「告知(こくち)」といいます。

Sさんは以前に高血圧で病院に通っていたことがありましたが、申込書を記入するときに告知に関する欄をよく読んでおらず、見落としてしまっていました。

●病歴を正しく告知するのは義務

正しい告知をするのは保険に加入する人の義務です。もし故意に病歴を隠して保険に加入して、すぐにお金を受け取る人がいれば、長年ずっと保険料を納めてきた健康な人とのあいだで不公平が生じます。そうなると保険の存続にも関わってくるので、告知はとても重要視されているのです。

保険金や給付金を請求したとき、保険会社は保険証を使った履歴などを確認して調査することができます。告知の内容と違う通院歴などがあれば、そこでわかります。

保険会社の判断にもよりますが、正しい申告ができていなかった場合は、お金が受け取れなかったり契約が解除になったりする可能性があります。Sさんの場合は保険会社と話し合った結果、幸いにも今回の給付金については受け取れることになりました。

■告知義務違反にならないために

告知は、病気やケガの保障があるならどこの保険や共済でもほぼ必ず必要です。申込が終わって契約が始まってから「正しく告知できていなかった」「告知が漏れていた」と気が付いた場合は、「追加告知」というしくみがあります。できるだけ早く保険会社に連絡して、書き漏れていた内容を申告するようにしましょう。

ちなみに、「保険の営業担当者から病歴を隠して申し込むように言われた」といった場合や保障が始まってから2年を超えている場合は契約の解除はされません。

■保険の申込は漏れなくミスなく慎重に

保険料をずっと支払い続けているのに、いざというときにお金を受け取れないのではまったく意味がありません。保険申込は重要な手続きですので、「多分こうだろう」「これくらいならいいか」と思わず、パンフレットや申込書をしっかり読んで内容を理解したうえで、正確に済ませましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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