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清原果耶、蒔田彩珠、森七菜…2020年、並外れた演技力が光った「ティーン女優」

  • 2021.1.23
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清原果耶さん、蒔田彩珠さん(2019年6月、時事通信フォト)、森七菜さん(2019年11月、時事)
清原果耶さん、蒔田彩珠さん(2019年6月、時事通信フォト)、森七菜さん(2019年11月、時事)

いつの時代も新進気鋭の若手は時代に新しい風を吹かせる。今回の記事では、2020年、特に活躍が目覚ましく、並外れた演技力や魅力を感じた10代の女優(ティーン女優)を振り返っていきます。

映画での活躍が目立った清原果耶さん、蒔田彩珠さん

10代の女優といえば、主演級で出演されている作品も数多くあり、幅広い役柄を安定感のある演技と独特な魅力を放ちながら演じる清原果耶さんが挙げられます。2019年以前も、映画にドラマにとすでに引っ張りだこだった印象ですが、2020年は特に、映画における活躍が目覚ましかったです。

「第43回日本アカデミー賞」で最優秀作品賞を受賞した映画「新聞記者」を手掛けた藤井道人監督の「宇宙でいちばんあかるい屋根」では主演に抜てきされます。どちらかというと年齢よりも大人っぽい雰囲気を持つ彼女ですが、本作では、まだあどけなさの残る思春期の少女を好演。思春期ならではの恋愛や家族の在り方について悩みながら、感情が移り変わっていく様子やその時々における気持ちを表情や動きでしっかりと表現し切っていました。

10代の中でも、繊細な心の動きを演技で体現できる数少ない女優だと感じます。

また、映画「望み」では兄が加害者であるか被害者であるかの間で、どうあってほしいかを思い悩む受験生の妹を好演。兄の事件が起こる前の明るく天真らんまんな姿と事件が起こった後に様変わっていく姿の演じ分けが見事で、主演の堤真一さんと石田ゆり子さんに負けず劣らずの演技を見せました。

さらに、清原さんの声優としての可能性を大いに感じたのがアニメ版「ジョゼと虎と魚たち」のジョゼ役です。なかなかクセが強いキャラクターで、まだ、声優としての経験が少ない彼女にとってハードルが高いのではと思いましたが、上から目線の物言いや関西弁、変わっていく声色までの完成度が高く驚かされました。

2021年はすでに映画の出演作が5作品、さらに朝ドラ「おかえりモネ」のヒロイン役が決まっています。間違いなく、今後の映像業界を引っ張っていく存在になるでしょう。

続いて触れたいのが蒔田彩珠さんです。2019年以前も静かに存在感を出してきた彼女は、2020年に飛躍したと言っても過言ではないでしょう。

特に映画での活躍が目覚ましく、数ある出演作の中で特筆したいのが「朝が来る」での片倉ひかり役の演技です。同作は、子どもを授かることを諦めた栗原清和(井浦新さん)と佐都子(永作博美さん)夫婦が「特別養子縁組」を利用して、男の子を迎え入れることになり、その男の子を14歳で産んだのが片倉ひかりです。

中盤から後半にかけては実質、主役と言っても過言ではないほど物語の軸となり、作品をリードしていく存在となっています。

自分の好きな人と付き合うことができて、幸せの絶頂にいるような輝きを放つ、きらびやかな青春の日々から、10代で妊娠することになり、さまざまな葛藤や感情を抱えながら後ろめたく生きなければならなくなる日々の変化が、同一人物とは思えないほど生々しく演じられています。

さらに、それをなかなか分かってもらえずに思い悩んでいく姿から、打ち明けられる人に出会ったときに見せる表情や動き、しぐさなどその一挙手一投足が素晴らしく、その演技が高く評価され、「第45回報知映画賞」「第42回ヨコハマ映画祭」の両方で助演女優賞を受賞しています。2018年の「第43回報知映画賞」で新人俳優賞を受賞してから、わずか2年での助演女優賞獲得と18歳での2冠は史上最年少の功績でもあります。

2020年は「朝が来る」以外に、映画「星の子」「#ハンド全力」にも出演し、2021年には朝ドラ「おかえりモネ」で清原果耶さん演じるヒロインの妹役も決まっています。

10~20代で最もブレーク?森七菜さん

続いて、注目したいのが森七菜さんです。2020年、10~20代で最もブレークした俳優は誰かと聞かれたら、彼女を挙げる人も少なくないでしょう。

映画やドラマで引っ張りだこの一方、バラエティー番組にも数多く出演。また、歌手としての活動も積極的に展開するなどタレント性をも持ち合わせる女優として、ひときわ多くの人に知られる存在となりました。

いずれの作品においても、彼女が作り出す独特の空気感や表情、声だけでなく、全身で訴えてくる表現の幅広さに驚かされます。弱冠19歳ながら、年齢を感じさせない堂々たるたたずまいを見せるかと思いきや、年齢よりも若く見えるあどけない一面も兼ね備えている、まれな才能を持つ女優であると感じるのです。

映画では特に「ラストレター」での演技が印象深いです。名だたる俳優陣がひしめく中でも負けず劣らずの存在感を放ち、作品にさまざまな感情を軸とした、彩りを与える豊かな感情表現を見せました。同作は全体的に作家性が色濃く出ていた作品ですが、彼女の存在がさまざまな場面で鑑賞者との橋渡しとしても機能していたように感じます。

さらに、ドラマでは「この恋あたためますか」(TBS系)で主人公の井上樹木役を演じ、人気を不動のものに。勝ち気な性格で、自分のやりたいことに対して貪欲に突き進んでいくキャラクターですが、良くも悪くも周りを巻き込みながら、新しい風を職場に吹き込んでいく天真らんまんな女性を見事に演じ切りました。

特に印象的だったのは、普通の中に何か特別なものを感じる女性像を体現していた点です。ただ生意気なのではなく、彼女が動けば、なぜかできそうな気がする、普通と特別を行き来するヒロインをしっかりと形にしました。

2021年もすでに、映画「ライアー×ライアー」への出演が決まっており、今後も目が離せません。

今回の記事では、特に活躍が目覚ましかった3名のティーン女優を挙げましたが、それ以外にも注目のティーン女優はめじろ押しです。

子役の頃から人気で映画「星の子」の主演を務めた芦田愛菜さん、映画「もみの家」やドラマ「これっきりサマー」で主演を務めた南沙良さん、映画「映像研には手を出すな!」をはじめとした作品や、娘役として数多くの作品に出演した桜田ひよりさん、映画「罪の声」で犯行テープに使用された中学生として確かな存在感を残した原菜乃華さんなど、今後、目が離せない注目の若手女優がさまざまな作品で活躍しています。

ライター 岡田拓朗

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