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「最悪な学校です」中学受験直前、憧れの志望校がネットで酷評! 「本当に苦しかった」掲示板に踊らされた母語る

  • 2021.1.11
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“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

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写真ACより

首都圏では1月10日の埼玉県の私立中学入試を皮切りに、いよいよ中学受験本番を迎える。

今年はコロナ禍の影響も相まって、保護者の心労はピークに達しているが、この時期、特に問題となるのが「フェイクニュース」である。

もちろん、この場合のフェイクニュースは、政治的な世論操作を目的とした類のものではなく、SNSやママ友発信も含む“中学受験での不確実な情報”という意味だ。

例えば、受験関連の匿名掲示板や生徒たちが書き込む学校掲示板では、特定の学校に対する「ディスリスペクト(disrespect)=無礼を働く」……いわゆる“ディスり”というものが散見される。また、同じ受験ママ同士での会話の中でも、真実とは言えない情報が駆けめぐることも稀ではない。

これらの情報は、言うならば「伝言ゲーム」の様相を呈していくので、尾ひれがつき、真実からはドンドンと遠ざかるのだ。

さらに付け加えるならば、学校がネットで誹謗中傷をされることは、特に珍しいことでもなんでもない。よくあるのが、「先生が大量に辞めている」「残っているのはクズ教師ばかり」「指導力のない先生が多い」といった先生関連のもの、また「いじめがひどい」「学級崩壊した」「子どもが不登校になった」「生徒の家族が学校側に裁判を起こすらしい」といった生徒関連もので、しばしば炎上にも発展する。

これは極論、「誹謗中傷されない学校はない」ということなのだが、実際にその学校を本命校としているご家庭にとっては、見過ごせない問題であろう。

聖子さん(仮名)も心ないネット情報に踊らされた一人である。

聖子さん親子の意中の学校はC学園であった。親子で小学3年生の時から、何度もC学園に足を運び、その雰囲気に魅せられ、「ここしかない!」と憧れを抱いていたそうだ。

我が子が6年生の秋になるまで、「学校掲示板」なるものがあることを知らなかったほど、「ネット事情には疎かった」と語る聖子さん。

「うちの塾はオープンなせいか、6年後期になると、クラス編成も『A学園&B学院&D女子志望者で1クラス』といったくくりで分けられるので、友達同士、どこを志望しているのかも薄っすらわかるシステムではあったんです。それで、ある日、ママ友にこう言われちゃったんですよね。『もしかしてC学園志望なの?』って。それで『すごい評判悪いけど、大丈夫?』と心配されてしまい……」

「最悪な学校です」学校掲示板の内容に衝撃

ママ友はその根拠として、あるネット掲示板を教えてくれ、聖子さんは帰宅後、食い入るようにそのページを見たという。

「ショックというか……。信じられないっていうか……。生徒さんと思しき人たちの『入らないほうがいいです』『入学して後悔しています』『最悪な学校です』という書き込みのオンパレードだったので、立ち上がれないほどの衝撃を受けました」

時は小6、12月になろうかとしている時期に差し掛かっていたため、聖子さんはうろたえた。

「いまさら本命校を変えるといっても、ほかの学校のことは詳しくわからないですし、一番大きな問題は、C学園に特化して、過去問などもやり込んできたので、他校を受けるというには準備期間が足らなすぎる! ってことでした。思わず真っ青になりましたね」

おまけに聖子さんには、「朝から晩まで、あらゆる受験関連のネット掲示板でC学園の情報を検索しまくる」という症状が出てしまったそうだ。

「あれはどういう精神状態だったんですかね。自分でも『見てもいいことは一つもない!』ってわかっているんですが、見ないと落ち着かないっていうのか……。でも、いいことなんて書いてないので、余計に不安になるだけで、本当に苦しかったです」

「誹謗中傷されない学校はない」塾長の言葉

年末、塾では最後の保護者面談が行われたという。そこで聖子さんは思い切って、塾長にC学園の評判の悪さについて相談したのだそうだ。

塾長はその場で、C学園の誹謗中傷原因として考えられることを教えてくれ、さらに、さまざまな学校のネット情報を実際に見せてくれたそうだ。

「塾長が『誹謗中傷されない学校はない』『C学園はいい学校』『親子の直感が一番正しい』と言ってくださったので、腹をくくれました」

そして、聖子さんの子どもはC学園に無事に入学。私の「実際のC学園はどうですか?」との質問に聖子さんは笑顔でこう答えてくれた。

「もう最高です! うちの子には本当に合っているいい学校です!」

聖子さんは今現在、C学園の保護者向けサークルであるコーラス部に入っているそうで、新型コロナ前の年には発表会もあったという。

「お母さん同士で、もしかしたら子どもよりも母の方がC学園を楽しんでいるかもね? って言い合っているんですよ(笑)」

もし、今、意中の学校がありながらも、ネットの不確かな情報に振り回されている人がいるならば、その時間がもったいないので、私は「その真偽を確かめろ!」とアドバイスする。

聖子さんのように塾の先生に相談するのもいいし、直接、その学校に行き、学校の先生や在校生に聞いてみることをお勧めしたい。

私の長年の取材経験から言わせてもらえば「真実はネットよりも現場にある」のだ。

鳥居りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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