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中国人の理解を超える、孤独な日本の入院患者

  • 2021.1.9
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中国の医療は“医は算術”エピソードの宝庫です。今回はそれらの中から、日本と中国の入院事情を取上げます。筆者は両国の病院で入院しました。その経験を生かし、比較文化論を講じてみようと思います。

■中国の入院……食事は自分で準備

筆者は、中国駐在時、高血圧で1週間の検査入院をしました。総合病院のトイレ付き4人部屋でした。一番閉口したのはそのトイレです。私は心電図を始め、たくさんのチューブに巻かれていました。看護師は、それらを取り外し、再度消毒して装着するのが面倒なため、大小便はオマルでやってくれ、と言い放ちました。

しかし、中国の場合それは可能です。ほとんどの時間、家族の誰かが付き添ってくれるからです。オマルは、妻の姉が「私、買ってくるわ」と軽いフットワークで手配してくれました。さらに病院食はありません。妻の一族や友人が、弁当を差し入れてくれました。日本食の出前も取りました。大病院にはレストランがあり、そこへ行く患者もいます。

■日本の入院……少ない面会者

それから数年後、大腸ポリープが見つかりました。中国の大総合病院の診断は、開腹手術、1週間~10日の入院でした。そんなバカなと思い、日本へ帰って受診すると、内視鏡で切除でき、日帰りまたは1泊2日の入院で十分とのことでした。

結局、中規模の総合病院に入院しました。妻にとって、患者の状態に合わせた食事メニューが提供される、というのは驚きでした。世話をするつもりでいたため、出鼻をくじかれたようです。そこで彼女は、日本批判へ走りました。「高齢者ばかりなのに、どうして家族は見舞いに来ないの?」それに何度も憤っていました。

■中国スタイルは変質か

日本の病院はフルサービスです。社会的な要請に応えてきた結果でしょう。しかし、それは家族の分解していく過程だったともいえます。

中国の病院では、家族による医者や看護師への付け届けが、今も行われています。それによってナースコールの反応速度が違うそうです。家族が力を合わせて、病気と病院に立ち向かう構図です。

しかし、中国の独身者は2億人、1人暮らしは7,700万人に達しました。今までのような手厚いフォローは可能なのでしょうか。家族総出の中国スタイルは、すでに正念場を迎えているかも知れません。

文・高野悠介

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