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2021年は衆議院選挙イヤー “選ぶポイント”と“政策の裏”を堀潤が解説

  • 2021.1.1
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‘21年、必ずある衆議院選挙。選挙が欲望の装置に大化けする可能性も。堀潤&五月女ケイ子が語り合います。

菅政権の行政改革。ちゃんと見極めて。

堀:‘20年は7月に東京都知事選挙がありましたが投票率は低いまま、小池百合子さんが圧勝しました。‘21年には衆議院総選挙が予定されていますが、ちょっと警戒しなくちゃいけないなと思ったのは、政治家に求める一番が経済、景気を良くすることになってきていることです。

五月女(以下、五):やっぱり景気は良くなってほしいし、そこを求めてしまいますよね…。

堀:誰にとっての景気か、というのもあります。ある程度資産を持ち、運用収入のある人たちにとっては、いまもものすごく景気がいいんです。コロナ禍にもかかわらず株価は上がってバブル期を超える勢い。アメリカではニューヨークダウが初の3万ドル突破というようなことまで起きました。

五:そうなんですか!

堀:一方で、資産がなく、仕事も住む場所も奪われ、生きる希望を絶たれてしまう人もいる。激しく二極化して、パラレルワールドのようなことが起きているんです。選挙で象徴的なのがアメリカ大統領選挙なんですが――。

五:バイデンさんが勝ちましたね。

堀:はい。ギリギリのところでトランプさんが負けたという感じでしたね。もともと、トランプさんを支持していたのは、「ラストベルト(錆びた工業地帯)」と呼ばれる地域の、格差の底辺のほうにいる人たちです。「メディアも投資家も敵だ。自分たちのアメリカを取り戻そう!」と言って、支持者を熱狂させました。目先の欲望の装置として選挙が働くと、またたく間にトランプさんのような急進的なリーダーを生んでしまいます。バイデン大統領になっても、格差はなくならないので、「富裕層のための政治をしている」という不満は今後も根強く残るでしょう。

五:アメリカって、はっきりと勝敗がついていいですよね。日本は選挙をしても、政治があまり変わらない感じがしちゃいます。

堀:国民が大統領を直接選んでいるということが大きな実感につながっているかもしれませんね。日本は政党を選んで、選ばれた与党から総理が選ばれますから。日本の歴史家が指摘していましたが、平家が負けて以来、古い封建社会、武家制度に慣れきってしまい、「お上の文化」として、上が決めたことに従う体質が日本人はなかなか抜けないそうです。

五:選挙のときも、普段、政治についてあまり気にしてないので、よくないと思いつつ、投票前日に候補者を考えたり、いつもどう選んだらいいかわからないんです。

堀:選ぶポイントの一つは、「自分がどういう社会を求めるか」ですよね。9月に菅さんが新しい総理になりましたが、安倍さんの任期満了までなので期限つきの1年間なんです。次の選挙ではその働きも問われます。菅さんにしてみれば短期間で結果を出さなければならないので、実現させやすい小さな成功を積もうとしています。脱ハンコ、不妊治療の保険適用、選択的夫婦別姓の実現、携帯電話の料金値下げなど…。

五:それは嬉しい!

堀:そう。みんなが反論しないようなことを次々に実行する。ただ、考えなくてはいけないのは目の前の問題だけではないはずです。

五:でも、小さなことでも、そんなふうに一つ一つ実現していってくれたら、それはそれで気持ちがいいし、「やってくれている!」という感じがしちゃいます(笑)。

堀:そうですね(笑)。でも、携帯の値下げがどういう文脈で始まったか。消費税を10%に上げて消費が落ち込みました。みんな、何にお金を使っているか調べたら、携帯や通信費。携帯会社ばかり儲けさせるなんてとんでもない、ほかにも消費を回せ! と値下げを迫ったんですね。

五:みんなの生活のために安く、ではなかったんですね(苦笑)。

堀:携帯会社の料金が高いのは、5Gの開発に投資しているからです。IT関連は、日本は完全に世界に出遅れて、AmazonやGoogleに国民のデータをごっそり預けている状態。それで本当にいいのでしょうか? 国も携帯会社も、なぜ料金が高額になるのか、明確な説明をすればいいと思うんです。

五:たしかに。高い理由がわかれば納得して払います!

堀:「脱ハンコ」も経済のスピードを上げるためです。役所と民間の取引で、役所側の決済に時間がかかると民間の事業のスピードも落ちてしまう。だから、無駄な押印は省略することになりました。不妊治療の保険適用は、女性がもっと働いて社会で活躍できるようにするため。経済活動人口を増やして税収を上げたいというのが本音です。経済を回すのに阻害されている要因を逐一洗い出しているのが、菅政権の行政改革なんです。

五:全然知りませんでした(笑)。良さそうに思える政策も、裏の意味を考える必要があるんですね?

堀:いまはコロナなど、不安要素がたくさんあるので、なんでもスピーディに解決することを求められます。でも、効率ばかり重視されると、民主主義にとって一番大事な熟議、じっくりといろんな意見を交わして確かな選択をしていくということが見過ごされてしまいます。

五:みんなの意見を聞いていたら、たしかに時間はかかりそう。

堀:デジタル庁を立ち上げて、デジタル化を進めても、私たちの個人情報をどう管理し、透明性はどれくらい担保されるのか。そういう議論をすっとばすことに危険が潜んでいるかもしれないことを忘れないでほしいです。誰もが「いいじゃない」と思える政策に落とし穴がないか、そこを検証するのがメディアの役割だと思います。

堀 潤さん 1977年生まれ、兵庫県出身。ジャーナリスト。監督したドキュメンタリー映画『わたしは分断を許さない』が公開中。同名著書も刊行。ほかに『堀潤の伝える人になろう講座』等。

五月女ケイ子さん 1974年、山口県生まれ、横浜育ち。イラストレーター。WEBサイト「五月女百貨店」では、‘21年のカレンダーほか、楽しいグッズが絶賛販売中。

※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。イラスト・五月女ケイ子 取材、文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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