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「中学受験をしなければ」富裕層の通う私立卒業も……「大学奨学金400万円」の借金を背負う女性の告白

  • 2020.12.28
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“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

「中学受験をしなければ」富裕層の通う私立卒業も……「大学奨学金400万円」の借金を背負う女性の告白の画像1
写真ACより

読者の皆様もすでにお気づきだろうが、この国の教育費は高い。

平成30年度の文科省の調査によると、教育費(授業料、入学金、修学旅行代、制服等の学校教育費+学習塾、学習参考書代などの学校外教育費+学習塾以外の習い事、留学費用などの学校外活動費)は幼稚園(3年保育)から高校まで、オール公立に行かせるとすると、合計で約543万円。中学から私立中高一貫校に行かせる場合は約972万円かかる計算になる。

さらに、その先の大学まで見てみると、国公立大学(4年間・文系理系同額)自宅通学の場合で約500万円、国公立大学で自宅外通学の場合だと約950万円。

私立大学に自宅通学する場合で文系・約720万円、理系・約820万円。私立大学に自宅外から通う場合は文系・約1200万円、理系・約1270万円という試算が出ている(医薬系は含まず)。

このように日本の教育費は高額ではあるのだが、今年度からは高等教育無償化により、一定の収入以下の家庭では、大学・短大・専門学校の入学金や授業料が免除または減額される制度も始まっている。もちろん、以前より返済不要の給付型奨学金制度もある。しかし、一方で貸与型の奨学金制度を使っている大学生もまた、かなりの割合で存在しているのだ。

千尋さん(24歳、仮名)も貸与型奨学金制度を利用した学生の一人である。彼女は中学受験を経て、私立中高一貫校に進み、大学は現役でMARCHの一つに進学。4年でその大学を卒業した優秀な女性である。

「私の母は異常にプライドが高いんです。例えば、車は外車がいいとか、子どもはブランド校に在学させるとか。ただ、ウチの父は平凡な平社員で、母も専業主婦ですから、お金持ちとはとても言えません。でも、母は私にバイオリンやバレエを習わせて、小学校受験も体験させました。私は習い事より友達と鬼ごっこをして遊んでいたかったのですが、幼稚園時代はほぼ毎日が習い事だったんです」

千尋さんはため息をつきながら話を続けた。

「でも、私は小学校受験に失敗して……。いまだに、その時の私を睨みつけるような母の眼は忘れられません。母はリベンジに燃えて、今度は小学1年生から中学受験塾に行かされました。母の言い分ですと、今度こそC学園に入らないといけないっていうことで……子どもだった私は母には逆らえず、渋々、勉強していた感じです」

ところが、そこで子育てに無関心な父の浮気が発覚。もともと冷めていたという夫婦仲はより一層険悪となり、千尋さんは理由がわからぬまま、受験塾をいきなり、辞めさせられたのだそうだ。

「5年生の冬だったと思います。母が九州の実家に帰るのなんのという大騒ぎになり、いきなり、『今日から、もう塾には通わなくていい!』って言われて……でも、塾が嫌いだったので、これ幸いと辞めました」

結局、母親は実家には帰らず、両親は家庭内別居となったそうだ。しかし、どういうわけか6年生の夏休みになると、再び、母からの「受験命令」が下ったという。

「わけがわかりません。『やっぱり、あなたはC学園に行くのよ!』といきなり言い始めたんです。多分、母はC学園に通っている我が子がほしかったんだと思います。私は私で、学校の友達はみんな受験組だったので疎外感が半端なくて。もし今からでも、人気のあるC学園に行けるのであればうれしいな……くらいの感覚で、塾に復帰しました」

千尋さんは、小学校受験のリベンジを果たし見事、合格。そして、C学園での楽しい生活が始まったという。

父親のリストラ! 親に都合で振り回されて……

雲行きが再び怪しくなったのは千尋さんが中学2年生になったあたりだったそうだ。

父親がリストラとなり、勤めていた会社を早期退職。再就職がうまくいかず、収入が激減してしまったという。C学園は学費が高いことで有名な学校だけに、「学費が工面できなくなった」と父から伝えられ、公立に転校するように促されたそうだ。

「その時は本当に泣きましたね。親の都合で私立に行けと言われたり、行くなと言われたりで、『勝手すぎる!』って思いました」

結局、C学園の学費は母方の祖母が工面してくれ、なんとかそのまま通学することができたという。

「ご承知のようにC学園は富裕層が行く学校で、入学時もウチは相当、背伸びをして学費を払っていました。ただ、当時の私は子どもだったので、その辺の事情まではわからなかったんです。父の収入は激減したままなので、生活するだけでやっと。それで、年金暮らしの祖母に大学の費用までをも負担してもらうことはできず、私は貸与型奨学金で大学に通いました」

その額、400万円。就職で一人暮らしを始めた千尋さんにとっては、とても大きな借金だという。加えて、このコロナ禍の影響により収入は減るばかりで、貯金をする余裕はまったくないそうだ。

「もちろん、C学園は楽しかったですし、卒業させてもらったことは感謝もしています。ただ、父のリストラは致し方ないにしても、もしかして、あの高額の習い事や、中学受験塾やC学園の入学金などを使わずに、親が大学進学のためにプールしておいてくれていたら、こんな借金を背負う必要もなかったのかなぁ? って。親に対しては疑問に思うこともあります」

「お金がないなら無理はしない」を痛感する

千尋さんは、「私が小学校受験や中学受験をしようかと迷っている親御さんに伝えることがあるとしたら……」として、こんなアドバイスをしてくれた。

「『お金がないなら無理はしない』ってことでしょうか。私立小学校も、私立中高一貫校も、どうしても行かなければならないものではありません。正直、お金の余裕がない家庭は、最初から寄り付かないほうが子どものためだと思います。教育方針は経済的に『身の丈に合った』ものにすべきだと、今になって痛感しています」

冒頭で説明したが、家計における教育費の占める割合はかなり大きい。子ども一人を育て上げるのに、どのくらいの教育費が必要で、自分の家計の場合、どこまで出せるのかをシミュレーションしておくことはかなり重要なことだ。

もし、我が子の大学進学を念頭に置くのであれば、その費用から逆算して貯蓄なりを進める。それが問題なく負担できそうだという確信のもと、余力があったら私立中高一貫校、さらには、その準備として中学受験塾という選択をする。子どものために、リスクの少ない教育計画を練るのも、親の役目といえるだろう。

鳥居りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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