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「半沢直樹」「BG」「朝顔」…2020年は「続編」の年、その理由と今後の展望は?

  • 2020.12.28
上野樹里さん、深田恭子さん(2020年2月、時事通信フォト)
上野樹里さん、深田恭子さん(2020年2月、時事通信フォト)

新型コロナウイルスが猛威を振るい、テレビドラマにも大きな影響と変化をもたらした2020年。各テレビ局は撮影スケジュールの見直しや放送ラインアップの変更などさまざまな対応に追われながらも、今年のドラマシーンが終わりを迎えようとしています。

2020年は「半沢直樹」(TBS系)、「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)、「ハケンの品格」(日本テレビ系)、「監察医 朝顔」(フジテレビ系)など前作に好評を博したドラマの続編が各局で多く制作された年にもなり、また、10月期に放送された「七人の秘書」(テレビ朝日系)は平均視聴率14.5%を記録し、今後の続編が期待されるような作品も新たに生まれました。

2020年のドラマシーンで「続編」が相次いで制作された理由について、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんに聞きました。

日常を描く作品こそ意味あり

続編ドラマが多く制作されたことについて、田幸さんは「各局が2020年の東京オリンピックに向けて準備を進めてきた背景があるのでは」と分析します。

「2020年は本来、東京オリンピックが開催されるはずでした。特に7月期の夏ドラマは開催期間中と重複するだけに、話数の減少や視聴率の苦戦も想定されていたため、堅実に視聴率を取りにいくために続編ドラマの制作を決めていたと思われます」(田幸さん)

一方で、続編ドラマは制作側にとってもメリットがあるそうです。

「前作を見ていた一定数のファンが初めから付いているというのは大きなメリットです。加えて、作品の世界観やキャスト、スタッフを含めた“チーム感”をスタートから生かせるのはドラマ作りをする上でプラスに働きます」

田幸さんは、日常を描く作品こそ続編を作る意味があると考えています。

「現在放送中の『監察医 朝顔』は法医学教室が舞台となっていますが、一方で、主人公・朝顔の家庭や日常のシーンも多く描かれています。前作に比べて、よりリアルでナチュラルな日常の親子のシーンが描かれており、続編の今作も好評です」

ただし、デメリットの存在も危惧しなければならないといいます。

「どうしても前作と比較されてしまうという点は続編ドラマの宿命で、また、前作とのギャップでファンが離れてしまうというリスクもあります。前作でインパクトを残したキャストが出演しなかったりすると、続編でありながら別物の作品のような印象を与えてしまい、一気に批判の対象となってしまうことも」

「今年、放送された『ハケンの品格』は前作で存在感を見せた大泉洋さんがなかなか登場せず、前作からのファンにとってはやや物足りなさを感じさせてしまったのかもしれません。作品自体も前作に比べて、エンタメ要素との両立や視聴者のニーズ、共感を得ることに苦労していた印象でした」

昨今のドラマは視聴率以外のさまざまな要素も相まって、続編の制作が決まるのではと田幸さんはみています。

「『ルパンの娘』の前作の平均視聴率は7.1%、今年10月期に放送された続編が5.7%という結果でしたが、2021年に映画化の決定が発表されました。このことからも、視聴率だけではなく、SNSの盛り上がりや視聴者の熱狂度などが近年、無視できない一つの大きな指標になっていると考えられます」

「ドラマの放送開始後に出演キャストの書籍が重版されるなど、ドラマの存在自体がいろいろなものに派生して、他の経済効果を生み出すことも続編が制作される理由の一つではないでしょうか。もちろん、視聴率が大事な指標であることに変わりはないのですが、全てを視聴率だけでは判断しない傾向が今後もさらに続いていくと考えられます」

オトナンサー編集部

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