年末に向けて、心を整える映画３作品 【土曜日のシネマサロン】

クリエイティブチームDo it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。

第37回目のテーマは「年末に向けて、心を整える映画」です。クリスマスが終わり、あっという間に年末年始がやってきますね。

Do it Theaterのやべさやです。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

2020年も残りあと僅かです。今回は「年末に向けて、心を整える映画」ということで、1年の移ろいを楽しめる映画、何気ない日常の中に楽しみを見出したくなる映画、家族集まってご飯を食べたくなる映画をセレクトしました。
整理整頓や掃除をして心穏やかに、あったかいお茶を淹れてのんびり映画を観ながら一年を振り返ってみてはいかがでしょう？

 

変わっていくことと受け入れていくこと。

title：『Daughters』

【story】
目黒川沿いのマンションの1室でルームシェアをする小春と彩乃は、仕事も遊びも全力で楽しんでいた。ある日、ランチに出かけた席で、小春は彩乃から突然の妊娠告白を受ける。そのことをきっかけに少しずつ二人の生活は変化していき…。

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三吉彩花さん阿部純子さんダブル主演で2020年9月に公開されたばかりの本作。ファッションイベント演出家でもある津田肇さんが監督した作品ということもあり、映像の切り取り方、美術、衣装、音楽など、どのシーンも記憶に張り付くような印象的かつ魅力的なカットがたくさんあります。また、本作は彼女たちの変化と共に、1年通して撮影を行っているところもポイント。日常のいろんな出来事と共に人が変化していくように、ゆるやかに移ろう四季の素晴らしさも改めて思い出させてくれる作品です。そして、tiit tokyoの岩田翔さんが衣装監修＆一部オリジナルで衣装制作もされていて、彼女たちの気持ちの変化などが服装や色使いに表れているところも見どころです。

 

何でもない1日が愛おしい。

title：『パターソン』

【story】
ニュージャージー州のパターソンに住むバス運転手のパターソンの1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをすることから始まる。いつものように仕事へ向かい、乗務をこなしながら、心に浮かんだ詩を秘密のノートに書きとめていた。

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『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『コーヒー＆シガレッツ』などのジム・ジャームッシュ監督が、アダム・ドライバー演じるパターソンの何気ない日常の出来事や人間模様を描いている本作。心を落ち着けたいときや、ホッと一息つきたいときなどの鑑賞にピッタリの作品です。（そして本作のアダム・ドライバーがめちゃくちゃかっこいい…！）朝起きて、仕事へ行って、時々誰かと食事をして、帰宅して、眠りにつく。そんなあまり代わり映えのないような日々の中でも、こうして切り取ってみると、小さなドラマや発見がたくさん詰まっているんだなと、本作は気付かせてくれます。観ると、きっと明日からの日常がなんだか楽しみになってきますよ。

 

誰かとご飯を食べることの大切さを改めて想う。

title：『最初の晩餐』

【story】
カメラマンの麟太郎は、父・日登志の訃報を受けて帰郷し、姉の美也子と共に葬儀の準備を進めていた。そんな中、母・アキコは頼んでいた弁当をキャンセルし、目玉焼きを筆頭に、父との思い出の料理を提供しはじめる。そこから、少しずつ家族の秘密が見えてきて…。

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染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏という日本映画に欠かせない役者の方々が集まり、第34回高崎映画祭でも最多4部門を受賞した本作。序盤のカットから懐かしいような、忘れたくないような大好きな邦画の香りを感じ、グググっと心を掴まれました。本作では、家族という存在や、誰かとご飯を食べることの大切さをじんわりと思い出すような、人の心の機微や、どこか懐かしい食卓の様子、些細な何気ないやり取りを、丁寧に描いています。観終えたあと、この映画自体がまるで「あの懐かしい味」のような感じに。年末年始家族に会う予定がある方も無い方も、本作を観て、大切な人たちのことを想ってみてはいかがでしょうか？

 

今回は「年末に向けて、心を整える映画」というテーマで、『Daughters』『パターソン』『最初の晩餐』の3作品をご紹介いたしました。世界的にはいろんなことが起こった2020年でしたが、あなたにとってはどんな1年でしたか？心を整え、気持ちを切り替えて、新たなことをはじめるのにピッタリな年末年始。この3作品を観ると、何気ない毎日の素晴らしさや大切さ、日常に潜む面白さに気付けるかもしれません。ぜひ映画鑑賞のセレクションのなかに組み込んでいただけたら嬉しいです。