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マヂカルラブリー「M-1」制覇、ブレずに貫き続けたスタイルの勝利

  • 2020.12.28
マヂカルラブリー(C)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.
マヂカルラブリー(C)YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.

漫才日本一を決める「M-1グランプリ2020」の決勝が12月20日に行われ、史上最多5081組のエントリーを勝ち抜き、マヂカルラブリーが16代目の王者に輝きました。

マヂカルラブリーは、ボケの野田クリスタルさんとツッコミの村上さんのコンビで2007年に結成。野田さんは今年3月に決勝が行われた「R-1ぐらんぷり2020」でも優勝し、霜降り明星・粗品さん以来2人目となる2冠を達成しました。

マヂカルラブリーは2018年の「キングオブコント」でも決勝に進出しており、野田さんは「M-1」「R-1」「キングオブコント」の3大会全てでファイナリストになった唯一の芸人となりました。

好みの分かれやすいネタだったが…

2017年以来2回目の決勝進出を果たしたマヂカルラブリーは、ファーストラウンドでのネタ冒頭で「どうしても笑わせたい人がいる男です」と野田さんがあいさつ。「3年前の決勝時、上沼さんに酷評されたことをネタにして笑いに変えてみせました」(ラリー遠田さん)

抜群のつかみで、観客やその場の雰囲気を味方につけ、「フレンチ」のネタを披露。ネタを終えると、笑いながら「あんたらアホやろ?」と賛辞ともとれる上沼さんのコメントが飛び出すなど、おいでやすこがに次ぐ2位でファーストラウンドを突破し、3位の見取り図を加えた3組による最終決戦で王者を争うことになりました。

マヂカルラブリーが最終決戦で披露したのは「つり革」というネタ。「フレンチ」と同様、野田さんがほぼ無言でシュールな動きを繰り返すボケに村上さんがツッコむ漫才を披露し、会場の笑いを誘いました。

その結果、7人の審査員による投票で最多の3票を獲得し、栄冠を手にしたマヂカルラブリー。彼らの勝因についてラリーさんは「お客さんや視聴者を巻き込めたことが理由の一つでは」と分析します。

「今回に関しては、お客さんや視聴者を上手に巻き込むことができた印象です。マヂカルラブリーは人によって好みが分かれる優勝しづらい芸風だったので、勝つのは難しいと思われていましたが、今まで以上にウケて見事に優勝を飾りました」

「3年前の決勝で上沼さんにネタを酷評されたりもしましたが、それでもブレずに、自分たちのスタイルを貫いてきたことが実を結びました」

マヂカルラブリーが16代目王者に輝き、幕を閉じた「M-1グランプリ2020」。しかし、大会終了後、マヂカルラブリーが披露したネタを巡って、ある議論が繰り広げられることになります。

それは「漫才の定義とは」というもの。共に最終決戦に残ったおいでやすこがは「歌ネタ」、正統な漫才のスタイルは見取り図だけだったという声が多く聞かれましたが、この議論についてラリーさんは、議論が起こること自体はよいことであると話します。

「『漫才』の定義については、人それぞれの考えがあるのは当然のことです。そんな議論が巻き起こったのは『M-1』がそれだけ影響力の大きい魅力的なイベントだからだと思います」

「コロナ関連の暗いニュースばかりが連日報道される中で、『漫才か、漫才じゃないか』といったたあいもない議論が盛り上がったのは、むしろ、平和的で明るいニュースだったと言えると思います。危機的状況が続いた2020年でしたが、さまざまな制限がある中でも、笑いを取るための努力と工夫を続けてきたお笑い芸人の底力を再認識することができました」

また、コロナウイルス流行の影響で、お笑いライブの中止やテレビ収録の形も変わったりするなど、前例のない年になった2020年ですが、ラリーさんは「お笑い界にとっては明るい兆しも垣間見えた1年だった」と振り返ります。

「コロナウイルスの影響で何かと制限も多く厳しい1年ではありましたが、各テレビ局でお笑い番組が少しずつ増えているのはいい傾向だと思います」

「そして、また新たな芸人もどんどん世に出てくるでしょう。賞レース、劇場、YouTube…など、いろいろなルートから、いろいろなタイプの芸人が出てきてほしいと思っています」

オトナンサー編集部

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