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グルメ堪能やアイテム目当て!? 東京の神社仏閣の新しい楽しみかた

  • 2020.12.15

神聖な神社仏閣は、静謐であったり、荘厳であったり、日常のありさまとは一線を画す凜とした空気に包まれている。きっと、昔からそうであったことだろう。だからこそ、年に数回の特別な時に行く場所だ。しかし近年、新しいアプローチで魅力を増した神社仏閣が増えている。体にいい食事がとれるカフェや、ユニークなアイテムを取りそろえているところもある。お参りやお祈りだけでなく、美味しいご飯を目当てにや、可愛いアイテムを買いに行くことを目的に神社仏閣を訪れるなど、新しい楽しみ方ができそうだ。日常的に、気軽に足を運ぶことができる東京の神社仏閣を紹介しよう。

仏に祈りを捧げる静謐な場所……というイメージがあるかもしれないが、東京の神社仏閣はさまざまな取り組みを行っている。たとえば飲食スポット。カフェを併設したお寺を最近よく耳にするが、ただ「食を提供する」ためだけの場所ではないらしい。

精進料理ではなく、“人を良くする”ための食事を提供

「5年前からカフェを始めました。もともと庭があった場所で、弘法大師さまの尊像を眺めながらコーヒーや食事を楽しめるカフェを作ろうと考えたのです。それに個人的にもコーヒーが好きでしたから」

こう語るのが、赤門テラス なゆたを営む真言宗豊山派 金剛院のご住職・野々部利弘さん。とはいえ、最初は反対する声も多かったのだとか。でもいまはランドマークとなっている。

「人と人との関係が希薄になっているなか、点と点を繋げて面にするためにできることはないかと、ずっと考えていたのです」
辿り着いたひとつのアプローチが、このカフェなのだ。檀家のみならず、誰もが利用することができる。またお店で提供しているのは、マクロビ系の精進料理ではないバランスを考えた「お寺ご飯」のほか、和洋のスイーツも多く取りそろえているとか。

「食という字は(人を良く)と書きますよね。でも添加物の食材が多い中で、それが長い間に体内に蓄積していくことは、どうなんだろうか・・・?そんな大切な(食)(体)(健康)についても、ちょっと考えていける場所でもありたい」という。
腹八分目で健康、腹六分目で医者いらず、腹四分目で悟りを開くそうだ。

また、定期的にさまざまなイベントも実施していて、お寺が地域のコミュニティ、サードプレイスとしての場所作りもしているとか。

カフェでのイベントは、人の縁を広げていく取り組み

「今はコロナで開催を見送っていますが、イベントは週に10本やっていました。年間通して何万人にもご利用いただいています。ヨガ、子ども食堂から婚活、がんカフェ、親子保育など、できることをすべて取り入れていました」

参加者に有意義な時間を過ごしてもらうことで、誰かを誘ったり、イベントを開いたりするモチベーションに繋がり、さらに人の輪を広げてもらう「ご縁」の取り組み。これこそ野々部さんがカフェを通して叶えたかった、新しいお寺のあり方のひとつだという。

「この先はリモートでできる取り組みも行っていきたいと考えています。お寺もこれからリモートは必須になりますが、それがすべてではないじゃないですか。そこに選択肢があることが大事だと思います。カフェは形としてはできてきたので、次はセカンドステージかなと考えています。この先には、だれも経験したことのない高齢化社会となり、在宅医療の時代となります。そんな中で「終活」ではなく「修活」を考える方向性を、ご縁を頂ける方々と様子を見ながら考えていきたいですね」

SNSで人気に火が付いた、カラフルな月替わり御朱印

さて、神社仏閣に訪れると、霊験あらたかな空気にほだされて、なぜだかゆかりのものがほしくなることがある。販売コーナーにはお守りやキーホルダーが並んでいることが多いが、近年は少し工夫を凝らしたアイテムに注目が集まっている。
たとえば御朱印帳は、スタンプラリー感覚で集められることから老若男女を問わず人気のアイテムだが、多摩川浅間神社のものは毎月御朱印のデザインが変わることで話題だ。

季節のモチーフやカラフルな色彩は、SNS上で人気を博している。月替わりのデザインを求めて毎月通う人がいるというのもうなずける趣向といえる。

御朱印料金500円Harumari Inc.

手持ちのアイテムを鮮やかに彩るこのような趣向がある一方、それ自体にデザインが施されたものもある。なかでも豊富に取りそろえているのが、大田区山王にある成田山圓能寺。成田山新勝寺の直末という由緒を持ち、地元では「大森のお不動さま」と親しまれているお寺だ。

思わず欲しくなる。“円”をモチーフにしたお守り

「圓能寺という名前のお寺ですので、“円”をモチーフにお守りを作りたいと思ったのがキッカケです。それこそヒノマル弁当のような丸から考えたのですが、そういえばドットも円だなと思いつきまして、たくさん“ご縁”がありますようにと願いを込めました」

身代わりお守り 全6種類 各700円Harumari Inc.

こう語るのが、ご住職の髙橋照和さん。世の中のお守りが華美なものが多く、シンプルなものを求めている人も少なくないだろうと考えたご住職のアイデアは好意的に受け止められ、コムデギャルソンのようなデザインアプローチから、いつしか“ギャルソンお守り”の愛称で親しまれるように。現在は全6色のラインナップだ。

半袈裟 3,000円Harumari Inc.

「また半袈裟というグッズも新たにご用意しました。お坊さんがかけるお袈裟の簡易的なものなのですが、鎌倉や京都などの参拝の際に身につけるといいと思います。お参りを楽しんでもらいたいという思いで作りました」
これらのグッズは、なにも収益を上げようと考えたわけではないそう。あくまでお寺に足を運んでもらうキッカケになればいいという願いから生まれたアイデアだと語る。

ユニークな取り組みは、コミュニケーションに繋げるため

「お寺に、日常とは違う場所というイメージを持つ方が多いと思います。でも、元々はそうじゃなくて、コミュニケーションの中心であったり、地域のハブであったり、そういった特別な場所だったのです。こういったアイテムから足を運んでもらい、少しお話をすることで、『お坊さん面白かったな』とか『楽しかったな』といった感想を抱いていただいて、何かあったらお寺に来てもいいんだなという考え方に繋がってほしいと考えています」
まさに、ご縁を結ぶための円のモチーフ。神社仏閣で手に入れたアイテムがきっかけにコミュニケーションに繋がるとしたら、普段のショッピングとは一線を画す豊かな体験といえそうだ。さっそくご加護を得られた気分になるに違いない。
カフェもアイテムも、神社仏閣が本来備えていた人を繋ぐ“コミュニケーションの要”という役割を現代的な解釈で取り戻すためのアプローチといえそうだ。いいかえれば、誰もが気軽に利用できるということ。広く門戸が開かれた神社仏閣に訪れることで、もしかすると思わぬ発見があるかもしれない。

 

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