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「喧伝=せんでん?」読めそうで読めない漢字3選【ベテラン国語教師が解説】

  • 2020.12.11

CLASSY.ONLINEで連載している「漢字に関する記事」では、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」とされている「常用漢字」の範囲内で、読み間違いやすいものなどを集めて出題するというのを毎回、基本としていますが、私たちが普段目にする漢字は、もちろんそれだけではありませんね。
今回は「常用漢字」の枠を超えていますが、読み間違いやすいと思われるものを集めてみました。

1.「喧伝」

最初は「喧伝」です。常用漢字表には「宣」の字はありますが、この「喧」はありません。意味は、「盛んに言いふらして世間に知らせること」です。何て読むでしょうか?

前振りの説明につられて、「センデン」と読んだ方はいませんか?正解は「ケンデン」です。「喧」の字そのものは「やかましい」の意味を表わし、熟語「喧伝」以外だと、「喧噪(ケンソウ)=生活音などがやかましくて落ち着かないこと」や「喧嘩(ケンカ)」などで使いますが、こちらは恐らく誤読はないでしょう。やはり、よく使う「宣伝」にひかれての誤読と考えられます。

2.「伝播」

次は、「伝播」です。「伝わり広まること」という意味ですが、「播」の字は常用漢字表にはありません。さて、何と読みますか?

「番」にひかれて「デンバン」と読んだ方はいませんか? 正解は「デンパ」です。「播」の字のもともとの音読みは「ハ」で、「伝(デン)」と「播(ハ)が結合することで半濁音化して「パ」となったものです。この字は「種をまく」という意味から、「ま・く」という訓読みもします。「種をまく」から「広く及ぼす」という意味でも使われるようになったのでしょう。
ちなみに、旧国名「播磨(はりま)国」と言えば、現在の兵庫県の一部のことですね。

3.「椿事」

最後は、「椿事」です。「椿」の訓読みは、植物の名前として「つばき」と読むのはご存じですね。しかし、この字は常用漢字に含まれていません。手元の国語辞典の例文では「政局を揺るがす椿事」とありました。さて、何と読むでしょうか?

「春」にひかれて「シュンジ」と読んだ方はいませんか?「思いがけなく起こった重大な出来事」を意味するこの熟語の読みは、「チンジ」です。ほぼ同じ意味を表わす熟語に、同じ音読みをする「珍事(チンジ)」がありますが、この「珍事」が「珍」の字の意味「めずらしい」というニュアンスを強く含むのに対して、「椿事」にはもともとそれはないとも言われていますが、国語辞典では同じ見出し語として、くくられているものもあります。

《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「1秒で読む漢字」(青春出版社)

文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室

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